「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ひぐらしのなく頃に(実写ドラマ版&実写映画版)の紹介です

(画像:Amazon商品ページより引用)
 最近、某錬金術士の実写化など、実写映画化で大盛り上がりの邦画界。あのハリーポッターに続く名作になる予定らしいので、某錬金術士の実写映画は非常に楽しみですね!

ちなみに、先日早速見てきたのですが……うん、クソ映画ではなかったですよ!(面白かったとは言ってない)

 まあそれはさておき、今回はこちらの名実写版作品をレビューしてみたいと思います。その名も、「ひぐらしのなく頃に(ドラマ版)」。放送されたのは割と最近で、2016から開始だったようです。私は最近、TSUTAYAでこれのDVDをクッソたまたま見かけたので、興味本位で見てみた次第です。これがまあなかなか意外に面白かったので、せっかくだから過去に製作されていた実写映画版とも比べつつ、レビュー、というか紹介してみたいと思ったのでした。
というわけで、今回のメインは一応ドラマ版です。ただ、最近映画版も2作続けて見直したので、そちらの話も積極的に織り交ぜていきますよ〜郁郁。
 【①事前準備】
 というわけで、まずは両作品の紹介にあたり事前準備をば。まずは「ひぐらしのなく頃に」について、超簡単におさらいしましょう。
 この作品は、元は同名の同人ゲームが原作です。そのあまりの面白さに話題沸騰、一躍人気になり、サウンドノベル化、小説化、漫画化、アニメ化、家庭用ゲーム機でのゲーム化など、様々なメディアミックスが展開され今日に至ります。もちろんその中には、今回ご紹介する映画版とドラマ版も含まれています。

以下にはこの、「ひぐらしのなく頃に」のあらすじを……貼りたいんですけど……ぶっちゃけこの作品、構成がものすごい複雑で、とてもでないですが一言で紹介しきれません。というか、作品の紹介文書いてたらそれだけで記事が一本まるまる埋まってしまうので、ひぐらしを知らなくて気になった方は、もうアニメなり漫画なり見てください(丸投げ)
 さて、これ以下の内容はこの作品の内容全て、もしくは最低限概要だけは知っていることを前提に書いています。ですので、ひぐらし自体を全く知らない人は、この記事をここで読むのをやめてくださいね!
というか、初見はマジで凄い面白い作品なので、そんな初見の感動をこんなクソ紹介記事で潰してしまうのは冗談抜きでマジでもったいないから絶対読まないでください。アニメでも漫画でも小説でもゲームでも、なんなら今回紹介するドラマ版でもいいんで、自分に合う形でいいから一回見てきてください、マジで。話はそれからや。あ、でも映画版から入るのは……やめた方がいいです……(小声)

さて、じゃあ原作の紹介もしたところで……次は、今回の紹介者である私のことにも触れないといけません。この手の実写化作品は、原作勢かどうか、事前に内容を知っているかどうか等によって、評価が大きく変わってくるものだからです。
 まず、私は原作ゲーム未プレイです。漫画版は全部読みました。アニメも全部見ました。面白かったです。ですので私は、ひぐらしガチ勢ではありませんが、内容は一通り把握しています。その状態で映画とドラマ両方見ました。ですので以下は、ガチ勢視点からの感想ではないということを事前にご了承ください。

【②映画版&ドラマ版を完走した感想】

さて、前置きが長くなりましたが、お待たせしました。いよいよ以下では今回の本命、ドラマ版と実写映画版の紹介に入ります! ぶっちゃけ見る人からすれば「で、結局面白かったの? つまんなかったの?」という部分が一番気になるところだと思うので、それを中心に両作品の紹介&感想を書いていきますね。

【映画版】

【ちょーかんたんな内容解説】

鬼隠し編と罪滅し編にあたるエピソードについて、それぞれ一本ずつで映画化。2本目に当たる誓がものすっごい中途半端な終わり方をしていて、いかにも続編がありそうな感じだったが、1本目の製作が2008年、2本目の製作は2009年で、それ以降音沙汰はない。あっ……(察し)

【見た感想】 

一応今回の記事を書くにあたって、もう一回見直しました。見た当時は「ひっでえ」と思った記憶がありますが、今見返してみると、「誓」については結構面白かったと思います。でもまあ、1作目の内容はお察しレベルですし、「誓」についても、総合してみると結構悪い部分が目立った
ような印象を受けました。 まあその分、誓には良い点も多いんですが……。

最大の問題は、日常描写がとにかく省かれていることでしょうか。それに咥えて、かなりホラー色が強く調整されているからか、主人公の圭一が村に着いた段階から、もうすでに「めっちゃ不気味な村」的な雰囲気が全開で漂っているんです。なんか、カーテンに顔こすりつけて校庭の圭一を覗いてるやつらがいたり、魅音&レナの過剰なオヤシロ様信仰描写いきなりぶっこんで来たり、速攻でバラバラ死体の件突入したり、何よりかなり重要な「部活」描写がほぼないので、日常わいわいパートがほぼないこととか……まあこんな具合で、かなり悪意ある描写の仕方をされているせいで、ひぐらしの醍醐味である「平和な日常があることをきっかけに崩れ去り、惨劇へ」という急転直下な感じはビックリするほど表現されていません。もうしょっぱなから、どう考えても惨劇に突入しそうな雰囲気満載なのです。これが実写化において、一番残念な部分だったと思います。誓についても、レナが信頼できる仲間たちとの楽しい日常を取り戻すために云々、というよりは、自分の身を必死に守るためにやったこと、という感じが強く出ており、この感じがあまり好きになれませんでした。

また、実写化に際してのキャストについての不満もよく挙げられる部分です。まあ、演技がどうこうとかはとりあえず置いておくとして、問題なのはキャラ描写。ひぐらしのメインキャラと言えば、その個性的な口調や仕草が特徴であることはご存知でしょう。魅音なら、自分を「おじさん」呼びであること、レナは「かな……かな?」「かぁいい」「お持ち帰り」などの口癖、沙都子はお嬢様言葉ですし、梨花ちゃんの代名詞は「にぱー☆」ですよね。しかしこの映画では、これらの特徴的な口調や仕草がほとんど出てこないどころか、服装も全く違えば、沙都子が髪長くて梨花がショートだし、圭一はなんかコミュ障気味だしと、もう原作に似せようという気が微塵も感じられないのです。もはやこれは、ひぐらしのキャラの名を使った別人。
唯一、魅音だけはなんとなくしっくり来たんですが……。

とまあ、個人的に残念だと思う主な部分を書いてみましたが、ただしですよ。ただこれ、ひぐらしの内容を知っている側からの意見であるため、ひぐらし初見であれば気になる部分ではないでしょう。しかし、逆に初見の方に対しては、今度は「2本見ても意味が分からない」という大きな問題がつきまとってくることになります。

1作目は、内容的には鬼隠し編に準拠しているはずなので、そんなに意味分からなくならないはずなんですが、この映画ではちょこちょこといらない部分でオリジナル色を出そうとしているせいで、物語が必要以上にややこしくなっている印象を受けます。特に、圭一発症以降の描写は酷かった。なんせ、おはぎの裁縫針は現物を手で掴んじゃうせいで、もう完全に本物が入ってたとしか思えませんし、レナは扉を閉めても室内にワープしてくるし、村人一行には突然追いかけられて神社境内駆け上がりレースが始まるし、魅音とレナの撲殺描写に至っては、なぜか1回多く寝て起きての描写を挟むこと&直接的な撲殺表現がないせいで、全体的にどこまで幻覚でどこまで現実なのかよく分からないことなど、いろいろと酷かったと思います。

なお、誓ではこの傾向がさらに顕著になり、雛見沢症候群はともかく、リカちゃんがループしてる設定の説明すらもまるでなかったせいで、なんで前作が何事もなかったことになってるのかよく分かんないことや、疑心暗鬼の一言で片付けるには幻覚が多すぎる&リアルすぎるせいですんなりはいってこないことなど、おそらく初見では全く持って意味が分からないであろう構成になってました。前作の謎が解けるどころか、そもそも謎が余計に深まってるんですが……。

まあ、なんかパラレルワールドっぽいことは示されているので、恐ろしく理解が早い人ならすんなり飲み込めるのかもしれない。たぶん。

後、誓を見て何よりビックリしたのは、首掻き毟ってどう見てもL5状態のレナが入江診療所に運ばれてきたにもかかわらず、そんなクッソ危険な状態のレナをそのまま帰したことです。なんだ入江機関お前ら無能だな。

また、「おいで、鉈女」のくだりに至るまでの梨花ちゃんの境遇の描写なんかが全くないせいで、マジで梨花ちゃんがただただ時間稼ぎするために頑張ってるようにしか見えないことも残念なポイントでした。

というわけで、結構文句ばっかりあげてきましたが、私が感じた映画版の評価としては「原作へのリスペクトが全く感じられないキャスト&内容的にもホラー寄りにしすぎて、ひぐらしの大きな持ち味を殺していた」というものでした。ちなみに、1作目があまりにもあれだったので、そういうものだと割り切って見た「誓」は、そういうものとしては結構面白かったです。役者の演技レベルが劇的に改善されたことや、それ単体の話の構成の仕方自体も(1作目の解答編としてはともかく)良くなっていたことなども「誓」を面白く感じた要因でしょう。

 いや、誓自体はマジで結構面白いんですよ。前作を見たことで「これは俺の知ってるひぐらしとは切り離して考えたほうがいいな」という思考に陥らせてくれるので、「ひぐらしの名前のキャラが出て来る罪滅し編っぽいストーリーの何か」として観ると、演技レベルの激的な改善と、単体映画として見た時のなかなか良くできたストーリーに唸らせられました。そして何より、屋上でのレナトのラストバトルの迫真っぷり。これは非常に良かったですね。
 ですがまあ、2本まとめての評価としては、個人的には映画版は実写化としては失敗だったと言えると思います。

では、続いてはドラマ版の評価です。

【ドラマ版】

(画像:Amazon商品ページより引用)

全10話。鬼隠し編、綿流し編、祟殺し編、目明し編、罪滅し編の5本について、1話60分で各2話ずつを放送した。放送は2016~なので結構新しい。

【見た感想】

 続いてはドラマ版の感想。こちらは実写映画版とは打って変わって、「原作に忠実に」「世界観を大切に」をモットーに製作されたようです(公式サイトより抜粋)。そして、その触れ込みは伊達ではなく、原作リスペクト度合、原作再現度合は、近年の実写化としては尋常ではない出来でした。先に触れたように、私は原作未プレイなのでどうしても漫画版との比較になってしまいますが、漫画版と比較してもかなり丁寧に作ってあったと思います。

まず、映画版は各所にオリジナル要素を詰め込んでいたせいで(特に一作目は)どえらいことになっていましたが、ドラマ版はその逆で
「とにかく原作の流れそのままにドラマ化する」という姿勢が説明されなくても見えました。もうストーリーの流れがものすごい忠実なんですよ。そりゃ、基本的に1編につき2時間ですから、時間の都合で削っているところはありますが、特に出題編3編なんかはもうなかなかの原作リスペクト姿勢でした。部活描写あり、みんなで楽しく遊ぶ描写あり、と日常パートにもかなり力を入れており、それが一気に崩れ落ちていく様子の再現も良く出来ていたと思います。唯一、祟殺し編では結構削除された描写が散見されましたが、日常→崩壊→惨劇、の図式はしっかりと保たれており、尺の割に良くできていたと思います。

 では、何がどう具体的に原作に忠実なのかというと、それはもちろんストーリー展開もさることながら、ひぐらしの大きな魅力であるキャラクターたちの再現についてでした。キャラの性格がしっかり描写できていることはもちろん、服装や口癖に至るまですごく頑張って再現されています。梨花ちゃんとかめっちゃ「にぱー☆」って言いますよ。
 また、ストーリーの流れが原作準拠である以上、やっぱり全体的に面白いです。映画版に対しては「こんな編成にでもしないと時間が足りないから正解」という意見もあるようですが、このドラマ版は鬼隠しも罪滅しも、原作に忠実な内容で、かつ2時間以内でまとめていますからね。この意見に対しての、ある種の「解答」を示したのではないかと思います。ドラマ版は映画版に対しての解答編だった……?
 唯一、罪滅し編だけは時間の都合による削除でないオリジナル要素の追加が多々ありましたが、これはこれで結構面白かったです。沙都子を助けるために、学校に詩音が乱入して来たのにはびっくらこきましたとも。この罪滅し編が、一応ドラマ版の最終話であることを考慮した改変なのでしょうね。
 とまあ、ここまでドラマ版に対してかなりのベタ褒めですが……あるんですよ。ドラマ版にはドラマ版で、それはもう大きな大きな問題が。なんと今回のドラマの女性メインキャラは、全員NGT48のメンバーで構成されているのです!
つまり今作は、近年の邦画にクッッッッッッッソ多い、アイドル主演ドラマだったんだよ! ウワーッ!(絶命)
 と言うわけで、今作が抱える最大の問題点はキャスティングミスと演技レベルに他なりません。魅音(詩音)にレナ、沙都子に梨花ちゃんは勿論のこと、鷹野さんに至るまで主要女性キャラは全員アイドルだぜ! なんてこった。
 しかし一応擁護しておくと、みなさん日常パートでの演技力は特に問題なく、楽しんで見られました。しかし、ひぐらし特有の迫真闇落ちパートになると、やはりプロとの差が顕著に出ます。部活メンバーの中で唯一の俳優である圭一役の方が、日常&闇落ち時共にバッチリな演技なだけに、余計他の部活メンバーのアレさが際立つ結果となってしまいました。具体的に言うと、罪滅しでのレナ、綿流し&目明しでの魅音(詩音)の迫真パートはやっぱり不満が残ります。特に、罪滅し編でのレナに関して言えば、実写映画版の方が迫真っぷりは格段に上だったと言えるでしょう。屋上でのラストバトルや雛見沢症候群発症時の具合など、あちらの方が数段上でした。
 また魅音については、やはり「園崎家当主」として凄みを見せなければならない部分や、逆に詩音として発症するあたりの迫真パートの出来があまりよろしくなかった。なんと言うかやっぱり、凄み&狂気っぷりが足りなかった。特に、ほぼ魅音(詩音)の独擅場とも言える目明しについては、時間不足によるカット&カットが相まって、5本の本編のうちで1番残念な出来上がりになっていたと思います。と言うか、綿流し、目明し編は何より「幼少時に入れ替わった設定丸々カット→魅音と詩音がお互いを逆の名前で呼ぶくだり丸ごとカット」という物凄い端折りを見せてしまったせいで、2人が君の名は。してることがものすっごい丸わかりになってるのが1番ダメなとこだったんですけどね……まあ、それは置いといて。
 さて、ここまでは魅音とレナについて触れて来ましたが、沙都子と梨花ちゃんについてはまた別の問題が。それは、原作設定そのままの口調で持って来たのに、年齢だけはガン無視してしまっていることです!
つまりどういうことかというと、どう低く見積もっても中学生くらいの2人が「にぱー☆」とか「おーっほっほっほ!」とか連発してくるってことだよ!
 特に、沙都子はまだしも梨花ちゃん、こいつが大問題なのです!

 それもそのはず! アイドルの皆さんの身長を調べて見たところ、レナ152、魅音156、沙都子151に対して、梨花ちゃんはなんと159もあるのです!

デカアァァァァいッ! 説明不要!!  1番デケェじゃねえかよ! 
つまり今作、部活女子メンバーで並ぶと1番デカい梨花ちゃんが、魅音やレナと並んでも断然デカい梨花ちゃんが、「にぱー☆」を連発してくるのです! こえぇよ、これが1番ホラーだよ!
 しかも、2人の年齢と身長がおかしいことを差し引いても、やはり回を進めれば進めるほど、やっぱりこの原作再現口調&3次元という禁断の組み合わせには大きな違和感を覚えました。
 つまりこのドラマ、見れば見るほど思い知ることになります。「原作口調は二次元だから許されるのであって、3次元でやっても痛いだけやな……」ということを。つまりこのドラマ、先の映画版に対する「原作のキャラ再現が全くなっていない」という批判に対する「解答」でもあったのです! やっぱり2次元は2次元、リアルはリアルの棲み分けというか、再現すべきところとそうでないところがあるんやな……ということを私は思い知りました。やはりドラマ版は映画版の解答編だった……?
 そんなこんなで、ドラマ版に対しての評価は「原作に対して忠実なため面白いし好感が持てるが、アイドル以外のキャストで見たかった」です。日常パートは本当になんの問題もなく、特に鬼隠し編の1話なんかはあまりの出来の良さにかなりワクワクし、鬼隠し2話は圭一の発狂具合の再現のクオリティに期待が大きく高まりましたが、綿流し以降の各発症パートでは、やはり演技力不足が出てしまった、という感じです。
 一応、祟殺しは発症者が圭一であるため、これまたなかなか楽しめましたが、この辺りからどうしても時間不足によるカットが目立ち始めたのも事実。唯一、罪滅ぼしは時間不足によるカットをしつつも思い切った改変を加えることにより、個人的にはかなりスッキリまとまって、盛り上がりもありですごく良かったと思うのですが、こちらはこちらでレナの演技力不足も大きく出ていました……。
 総合してみると、ひぐらしの実写化としては映画版より格段に出来が良かった一方で、「キャストが……」と思わさせられる部分が多かったです。ちなみにこれまた擁護ポイントを入れておくと、男性キャストについてはほぼ文句ありません。特に、大石と富竹は満点あげてもいいくらいハマってました。まあだからこそ逆に、女性キャストの残念さが目立ってしまったという部分もあるんですがね。

またドラマ版は、映画版とは違って、ひぐらしを知らない人がこれだけ見てもしっかりと全体の内容が把握できるようになっていたのも非常に良かったと思います。

【③雑なまとめ】

というわけで、ひぐらし実写版に対する感想をまとめてみましたが、どうでしたでしょう。私が言えることは、「ドラマ版は意外と面白いので、ひぐらしを知ってる人にも知らない人にも見てもらいたい」ということと、「映画版は(ひぐらしの内容知ってる人なら)誓だけ見ても話が分かるので、とりあえずそちらだけでも見てほしい」ということです。特にドラマ版は、主要女性キャラ全員アイドルということ以外は、マジでなかなかにクオリティが高いのでおススメです。

 さあ、みんなも久々にひぐらしの世界に浸ろう! では、こちらからは以上です。

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