「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

SMILE のレビューです(総合評価B-)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 
序盤完璧だったのに終盤で完全にやらかした、実に惜しいホラー映画のレビュー、はじめます。

なぜ最後まで我慢できなかったのか。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2022

あらすじ

患者の身に起きた怪奇で衝撃的な事件の目撃者となった、医師のローズ・コッター(ソシー・ベーコン)。その日を境に彼女の身の回りで、説明不可能な恐ろしい出来事が次々と起こり始める。底知れぬ恐怖が次第に彼女の生活をむしばんでいく中、ローズは突き付けられた恐ろしい現実から逃れるため、過去の問題に向き合う。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ホラーの質
設定
総合 B-

良い点

  • 序盤のホラー描写、緊迫感の演出は神がかっている
  • ストーリーの組み立て方が上手いので2時間飽きない

悪い点

  • 終盤のホラー描写で完全にやらかした

正直、序盤〜中盤手前までくらいはマジで神映画です。ホラー描写、緊迫感の演出の仕方が素晴らしく、正直、この辺を見ている時は「いや、これはまさかのA評価なのでは……?」と本気で考えたほど。
しかし、中盤以降は少々パターン化された演出が目立ってきて先が読みやすくなり、そして終盤、完全にやらかしたせいで「だめだこりゃ」となりました。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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OP〜誕生日会くらいまでのシーンを切り取ってショートムービーとして出されてたら満点だった。

さて今作ですが、「無言で満面の笑みを浮かべながら、じっと見つめられるのって怖くね?」をモチーフとしたホラー映画です。本国の方では、「満面の不気味な笑みを浮かべたまま微動だにしない人を、野球中継の観客席に立たせる」というあまりにもユニークな宣伝方法でバズり散らかした、というニュースがあったのは、記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。
参考
https://www.buzzfeed.com/jp/jasmineoliphant/baseballgame-smile-promo-1

というわけで、さっそく今作の評価を、まずは良い点から。

今作の良い点は、序盤の演出があまりにも神がかりすぎていて素晴らしいこと、何を差し置いてもまずはこれです。

今作はまず、精神科医の主人公が、1人の患者と対するところから物語が始まります。その患者は、数日前にある人物の自殺を目撃して以降、人間ならざる何かが見える、と主人公に訴えーーそのカウンセリング中に、突然満面の笑みを浮かべて、自殺。そこから、主人公の身にも不可解な現象が起こり始める、という感じの内容。

この今作のキーとなる「満面の不気味な笑顔」のインパクトがね、もうかなり強烈で素晴らしい。カメラワークや音の使い方など演出もかなりハイレベルで、この開幕のシーンで、まずグッと引き込まれる。

そしてこれ以降の怪現象がこれまた心臓に悪くて、詳しくは割愛しますが、警備会社から電話かかってくるシーンとかね、もう余裕で鳥肌立ったよね。

てな感じで、今作の序盤は、ホラー演出のレベルがかなり高いです。個人的には、開幕〜誕生会くらいまでのクオリティは、もう満点あげてもいいレベル。それくらい、ちゃんとホラーしてた。

それに咥え、ストーリー自体もなかなかよく出来てます。「自分にしか見えない、聞こえない怪現象に心身ともに蝕まれる主人公」の心労がまずあり、それを話しても誰にも受け入れてもらえない孤独のパートへと続き、そして何とか解決の糸口を見つけ、解決へと動き出す展開へ。そしてその中で、自分の抱える幼少期のトラウマの話を上手に織り交ぜてくるなど、2時間という長めの時間を、あれこれ話を停滞させずに進める、ひいては、視聴者にちゃんと飽きずに完走させるパワーを持った作品でした。

今作を見る前は、「笑顔ってアイデア一本勝負で2時間は流石に長すぎるわ、途中でダレそうだな……」と思っていたのですが、そんな心配は不要だったと見た後に確信した次第です。

と言うわけで、良い点は以上。いやー、本当に、序盤部分だけなら150点(当社比)くらいのポテンシャル、クオリティの作品だと思ったんですがーーと言うわけで、今作の悪い点なんですが、それは中盤以降の失速感、そして、ラストで完全にやらかすことです。

先に述べた通り、今作は序盤だけならまさに完璧な出来栄え(個人の感想です)なんですが、この完璧が中盤以降、少しずつ崩れてきます

というのも、今作は怖がらせ方の演出が結構パターン化されており、特に「怖いシーンが来る→夢オチ」のパターンが結構多い。まあ、正確には夢オチというより、少し時間が巻き戻った場面で意識が戻って「い、今のは……?」みたいになるんですけど、これのせいで、展開が何となく読めてしまう場面がちらほらとあるんですね、特にラストシーン。

ですがまあ、それだけなら多少の失速は感じるものの、そこまで減点の対象にはなりません。今作一番の問題点は、何と言っても終盤の盛大なやらかし、こっちなのです。

今作が扱う怪現象というのは、中盤までは基本的に、こちらに物理的な攻撃を仕掛けてくるものではなく、精神的に攻撃してくるタイプのものでした。実体があるのかないのかもよく分からない、不気味な何か。それが巻き起こす怪現象の数々に当てられ、主人公は疲弊していきます。

なんですけど、今作は終盤で、一体何を考えたのか、あろうことか、バリバリに実体があるモンスターを召喚し、主人公を追いかけ回して来ます。そしてそいつが主人公に対してペラペラと語りかけてくる。挙句、何と最後には、そのモンスターがグロテスクな見た目に変貌したかと思うと、主人公の口を大きく開かせ、彼女の中に(物理的に)侵入して憑依する、という展開が待ち受けています。

いや、そういうのが見たいんじゃねーわ、と思ったよマジで。もちろん人によっては、「怪現象で引っ張って最後に怪物出てくるのたまらん」という方もいらっしゃると思うので一概に悪いとは言えない、というのは重々承知の上で、個人的にはこれはないですわ。もちろんあの怪物も、実際には実体のない、幻覚みたいな存在だったんでしょう。でもさぁ……だからってモンスター出して欲しいわけじゃなかったよ。大幅減点不可避。

序盤が120点のクオリティだったとしたら、終盤は25点。もうそのくらい残念だった。なーんでそれまで大事にして来た、精神的に来る怖さ、不気味さを全部投げ捨てて、何で最後の最後にグロい怪物出して満足してんねん、と言いたくなる。いやほんとこれは……クソデカため息が出たのをよく覚えています。

というわけで総評。もちろん、個人による好き嫌いはあるでしょうけど、個人的には、「序盤完璧、中盤まあまあ、終盤はマジでない」という評価に落ち着きました。良い部分もしっかりある&2時間飽きさせない構成力は間違いなく評価できるのですが、だからこそ、終盤のガッカリ感によるダメージが大きかったように思います。

しかし、終盤の展開を難なく受け入れられる人にとっては超良作の立ち位置になることも十分考えられるので、気になったら試聴されるのをお勧めしたい映画です。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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