こんなふざけたタイトルのくせにマジで面白くて草。
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 アメリカ
- 製作 2021
- 販売 ニューセレクト
あらすじ
カリフォルニアのある海辺の町では、廃炉にした原発を爆破処理した後、謎の行方不明事件が多発する。発見される白骨化した遺体に、保安官は人食いザメの出現を疑う。しかし被害者を食べていたのはサメではなく、放射能の影響で巨大化した狂暴なカブトガニで……
(Amazon商品ページより引用)
予告編
ストーリー | B |
キャラクター | B |
カブトガニの質 | B |
設定 | D |
総合 | B |
良い点
- 見所多数の飽きないストーリー展開
- モンスターの使い方が上手い
- キャラクターの完成度が高い
悪い点
- 説明無用の超展開の連続なので人を選ぶといえば選ぶ
「カブトガニっていうテーマ設定が珍しいだけで、内容自体は量産型モンスターパニックだろうな」と舐めてかかったら、あまりの高クオリティに見事に撃退されたモンスター映画のレビュー、はじめます。
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最近クソ映画が続いてたせいか、あまりの面白さに感動した。
さて今作ですが、世にも珍しい「カブトガニ」をテーマにしたモンスターパニック映画です。多分、他にないんじゃないかな?
ちなみにキャッチコピーは、「サメの時代は終わった。」というわけで、早速詳細なレビューに入っていきましょうーーと、言いたいところなのですが。
実はですね、今作、ぶっちゃけこれといった悪い点が見当たりませんでした。まあもちろん、設定のガバガバっぷりが酷いだとか、CGが荒いだとか、マトモな説明一切なしの超展開の連続が押し寄せてくるので人を選ぶだとか、文句をつけようと思えばつけられるんですけど……なんか今作、そういうところに文句を言う作品じゃない気がする。
というわけで珍しく、以下は基本的に絶賛の嵐です。まあ、私の視聴前の期待値がかなり低かったことの反動によって、これをとんでもない名作に感じてしまっている、という可能性はあるかと思いますが、正直今作、その辺を加味してもB級映画としてのクオリティはかなり高いです。
では今作、何がそこまですごいのか。
ざっと思いつく所を挙げると、完成度の高いキャラクター、飽きさせないストーリー展開、そしてモンスターの使い方の上手さ、この3要素で大方の説明がつきそうです。まずはキャラクターについて。何が良いって今作、メインキャラは基本的に全員有能です。というより、足を引っ張ってイライラさせてきたりだとか、ウザくて見てられないキャラがいません。そのため、変なストレスを与えられず大変快適に視聴できます。まぁ唯一、ラドゥというキャラクターだけとにかくクセが強いので人を選びそうではありますが……俺は好きなので、ヨシッ!
まあ、ただ無能がいないというだけでなく、ちゃんとみんなキャラが立っていて、積極的に行動、協力をしてくれるため好感度が高く、見ていて純粋に応援したくなる、というのもかなり好印象。
そして、そんなキャラクター達によって織りなされるストーリー展開、これも実に見事です。まず前半はキャラ紹介をしつつ、主人公と幼馴染の青春物語を中心に話を進めていきます。この主人公、実は歩くことが出来ず、車椅子生活なのですが、そんな彼が心優しい幼馴染と触れ合いながら、実に微笑ましい青春劇を展開。
さらに彼は、なんとか歩くために、持ち前の科学知識を使用して、超高性能エネルギー源を搭載した新型歩行機を自宅の納屋で作り上げ、それを使って自らの足で立ち上がり、幼馴染とダンス会場で一緒に踊る……という「あれ、これ何の映画だっけ?」となる青春全開ヒューマンメロドラマ、これがもうカブトガニとか関係なしに普通に良い。という具合に、前半はカブトガニ自体はちょこちょこと出しつつも、メロドラマ、ヒューマンドラマで見せてくる側面が強め。
それに対し後半は、カブトガニが街に押し寄せてくる事によるパニックホラーらしい側面をバッチリ見せてきます。ここからはとにかくやりたい放題で、カブトガニが人間の脳を操って街中で暴れ回る、バーでドリンクを楽しむ、音楽に乗って踊る、さらには突然脱皮?して人間大サイズになって襲い来る……などなど、マトモな感性をお持ちの方であれば頭が痛くなる展開の連続。
極め付けは、高層ビルくらい巨大化したカブトガニが現れたのに対し、主人公一派が素人数人で、一晩で作り上げた巨大二足歩行サメ型ロボットを持ち出してきて対決する、という大怪獣バトルへと発展。まさにやりたい放題。
この、前半はカブトガニを要所要所で出しつつも基本はキャラクターやストーリーで魅せ、後半はモンスターをメインに展開していく、というメリハリの利かせ方。さらに、後半は後半で、カブトガニを進化させ、ノーマルサイズ→人間サイズ→ビルサイズ、と体長を変化させることにより、絵面的にも刺激を与えてくる。この構成力はさすがとしか言いようがありません。
視聴者が見飽きないよう、違った見所を何度も提示して、最後まで飽きずに駆け抜けさせる。名作B級モンスターには、このように「モンスター以外の見所も用意しつつ、モンスターも見せ方を変えることで飽きさせないようにする」という工夫が施されている作品が多いですが、今作もその一つと数えて間違いありません。
総評ですが、これが初監督作品だとは思えないほどの完成度を誇る、カブトガニパニック映画のパイオニアにして傑作の、まさに「原点にして頂点」な作品だと感じます。個人的に、大好きなB級モンスターパニック映画というと「シャークネード2」「ラバランチュラ」「メガ・スパイダー」あたりが真っ先に思い浮かぶのですが、今後そのラインナップに加えても良いな、と思えるほどの出来でした。監督的には続編の構想はあるらしいので、そちらにも期待しつつ、今後カブトガニというジャンルが発展するかどうかにも注目していきたいですね。
今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!よければ、気軽にコメントしていってね