「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

JUKAI-樹海- のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

アメカス「ジャパニーズは動いてるままのエビを寿司にして食べる」
ぼく  「んなわけねーだろ勝手にヘンテコジャパン妄想して盛り上がってんじゃねーぞボケが!」
youtube「あるンゴ」

ヴォエッ!

活きがいいとか高級とかそれ以前に食べ物として全く食欲をそそられないんですがこれは大丈夫なんですかね……。

というわけで、劇中に一瞬出てきた「活海老寿司」というものがマジで存在したことに最大の衝撃を受けた映画です(無知)

あ、映画本編の方は別に。

レンタル版を字幕で視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。


【あらすじ】

アメリカで暮らすサラは、日本で教師として働く双子の妹ジェスが失踪したとの連絡を受ける。ジェスは、富士山麓にある青木ヶ原樹海に入り、行方がわからなくなったという。サラは、妹を捜すために青木ヶ原まで辿り着く。そんな中、日本を訪れていたオーストラリア人の記者エイデンと出会う。彼は、取材のために日本人のガイドを連れて樹海に行くという。サラは、エイデンに同行させてもらい、樹海に足を踏み入れるのだった…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
キャラクター……C
ホラー度…………C
設定………………D

総合………………C-
おススメ度………C


【良い点】

・映像の出来はそこそこ


【悪い点】

・ホラー部分の出来がチープ

・日本が舞台(日本とは言ってない)

・話の構成がグダっている

ヒロインがウザかったりとか話の構成ガバガバじゃねーかとかお前の日本のイメージどうなってんだよとか色々と言いたいことはありますが、まあ内容的にはともかく映像的にはなかなか悪くなく、とりあえずクソつまらなくはないというのは救いでした。

【以下、ネタバレ注意!】

海老の活寿司のシーンが一番ホラーだった(呆然)

さて今作ですが、樹海で行方不明になったとかいう自殺志願者の妹を探しに、アメリカ在住の姉がエセジャパンまでフライトしてきて樹海モドキで死ぬお話です。今から森に入るっつってんのにクソ舐め切った装備で特攻した挙句、ガイドの忠告無視してヒスってガッツリ道迷って死亡とか幽霊関係なく死んで当然だと思う。

では早速、今作の詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点……からです。

今作の良い点は、映像的な出来はそこまで悪くはないということです。

後述しますが、この映画はあらゆる点においてそれはもうなかなかにガバっています、特にシナリオ関連において。しかしその反面、単純に映像的な出来栄えだけを見ればそこまで悪くはありません。なんか幽霊的なのが出てきて、わぁっ! と驚かせる時の映像ですとか、そこら中に実体付きの幽霊的な物が立っていたりするその造形ですとか、演出的に怖いかどうかはともかくとして、映像的な出来栄えは決して悪くないのです、本当に。

実際、今作は全体的に怖くはありませんが、ビックリシーンがふんだんに盛り込まれているため、心臓の弱い私は序盤~中盤あたりまでは何回かビックリさせられました。この、映像的な出来栄えとビックリシーンが定期的にぶち込まれている関係からか、全体を通してどうしようもなく飽きて見る気が起きないという事態には陥らず、クソつまらなくはありませんでした。

以上、良い点です。続いて悪い点を。今作の悪い点は、ホラー部分含めて話のシナリオがガバっていることと、日本を舞台にしていながら日本らしさがまったくないことです。というよりも、どう見てもエセジャパンにしか見えないことでしょうか。

まずはエセジャパン関連の文句について。これは、ネット上で今作の評価を調べてみればほぼ必ず目にするくらい各所で言われていることなのですが、今作は日本が舞台でありながら、登場するのは完全なるエセジャパンです。

まず気になるエセジャパン要素は、何度も取り上げているように海老の活寿司。いやまあこれについてはガチで存在したのでエセってわけでもないんですが、普通アメリカから渡ってきたばっかのねーちゃんにさ、出さねーだろこんな寿司。

他にも、樹海の案内所の地下には当然のように遺体安置所があることや、主要人物だけでなく樹海に巣食うユーレイも英語を余裕で嗜んでいることなど、首をかしげてしまう描写が特に序盤は酷いため、なかなかすんなりと話に入っていけません。

その中でも特に、「案内所の地下に遺体安置所」の描写、これは決定的にいけません。これから「樹海に入っていくぞ」という緊張感を出さなければいけないシーンで、日本人のうち百人が百人「なんやこの描写」と思ってしまうような設定を入れてしまっては、「あー、この映画はマトモに日本を描く気ないな」と思われても仕方がありません。その結果、「こんなガバガバな設定持ち出してくるなんて、これはギャグ映画かな?」という方向で受け取られてしまっても文句言えないと思います。

まあ、これがキルビルみたいなアクション映画ならともかくですよ、仮にもホラー映画で「これギャグだな」と思われることはとんでもない不利益なはずです。緊張感がその場でプッツリ途切れてしまうこともさることながら、それ以降のホラー描写のインパクトがギャグに持っていかれてかなり弱くなってしまいますし……まなじ映像的な出来栄えは悪くないだけに、これは本当にいけないと思いました。まあ、勘違いレベルの描写ミスならともかく、なんで意図的なエセジャパン要素をガッツリぶち込んでしまったのか。

まあ、今作のメインターゲットであろうアメリカ人的には「どうでもいいわ(レ)」な点かもしれませんが、日本人的にはね、どうしてもここで一回切れちゃうんですよ、緊張感というか、視聴意欲が。

しかし、今作における問題はそれだけでは終わりません。次は、今作のシナリオのガバさについて語ってゆきましょう。まず今作、シナリオ的には、①ヒロインが日本到着→②樹海にイン→③妹探す→④ホラー→⑤死ぬ、という単純明快な構図になっています。この中で、①~②の部分についてのダメな点は先に述べたとおりです。ホラーと関係のないところで、すでに「これギャグかよ」という印象を与えてしまっていることですね。

では、それはさて置き③以降の展開はどうなのかというと、これもお世辞にも良いとは言えません。③以降はギャグ要素も落ち着いてきてホラー要素が顔を覗かせてくるわけですが、ギャグが引っ込んだ代わりにとにかくヒロインのクソウザさが際立ってきてホラーどころではなくなってくるのです。

いやもういくら、いくら妹が心配だからとは言えですよ、いくら樹海の瘴気にあてられて感覚がおかしくなっているからとは言えですよ、クソ舐めた装備で樹海に入り、ガイドの忠告ガン無視で森にとどまり、同行してくれた男に疑いの目を向け、かと思えば急に助けろ連呼してホイホイ行動を共にした挙句、その男を殺害したりともうやりたい放題。もうね、「なんやこの自分勝手な屑死んで当然やろ」という気持ちにね、なってしまうんですよ。特に、同行してくれた男とのやり取りに関して。

それにプラスして、そもそも今作はホラー描写があまり上手くないということも、中盤にだれてきた大きな要因でしょう。確かに、映像的な出来栄えは悪なく、ビックリシーンも多いのでクソつまらなくはないと言いましたが、そもそも「ビックリする=怖い」ではないということは、ホラーをご覧になる方なら分かってくださることだと思います。そりゃ、画面外からなんか急に出てきて、てきとーに音でも出しとけばビックリしますよ。でも、その後に「うわ今の怖かった」と思わせるか、「は?」と思わせるかでホラー的には雲泥の差がありますよね。その分類で言えば、今作は後者の色が強いです。

とまあそういうわけで、③~④の部分に関してはいろいろとあってホラーどころではないですし、⑤のオチに関してもヒロインに対してはちっとも同情の念がわかず、しかもそれまでめちゃクソ丁寧すぎるほどに幻覚に対しての伏線を張りすぎたせいで今一つインパクトに欠け……と、今作は全体通してシナリオ的、設定的な問題を多く抱えていました。後ホラー描写の残念さ。さては、ビックリさせればいいと思ってるな?

総評ですが、残念かそうでないかというと残念なタイプの映画です。とてもホラーとは語ることができない出来だったと思う。

しかしまあ、映像的にはそこまで悪くはないですし、少ないながらもいくつか「おっ」と思わせる部分もありました。例えば、オチは丁寧に伏線張りすぎたからか、確かにインパクトに欠けますが、「あー、なるほどそういうことか」くらいには思いましたし、なんか川が逆流してたシーンの描写はちょっと好きだった。

というわけで、そんな今作、内容が気になった方と海老の活寿司見たい方はどうぞ。マジで他のホラー描写差し置いて、本編中一番のホラーシーンだった(世間知らず)

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