なんと、ガチで全編PCの画面上が舞台の映画です。というか、スカイプでグループ通話してる画面を見る映画です。イメージがわかねぇって人は予告編、見よう! 見事発想で勝利した映画。
レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“泥酔したときの恥ずかしい動画がネットにアップされ、自殺してしまった女子高生ローラ・バーンズ。
あれから1年。彼女の幼馴染とその友人達はSkypeに集い、他愛もない会話を交わしていた。
しかし、その中に見知らぬアカウントが存在することに気付く。やがてそのアカウントが
死んだはずのローラとしてメッセージで話しかけてくる。誰もが悪質ないたずらだとその存在を信じなかったが、
ローラの死にまつわる隠された真実がPC画面上で徐々に暴露されていく。
そして、そのひとつひとつが明かされる度に一人、また一人と謎の死を遂げていく。
果たしてローラ・バーンズの呪いから逃れる術はあるのか―! ?(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………C
キャラクター……C
ホラー度…………C
設定………………A
総合………………B-
おススメ度………B
【良い点】
・全編PC上という着眼点が◎
・自宅でお手軽に抜群の臨場感が味わえる
【悪い点】
・内容的にはクッソ平凡
内容だけを純粋に評価するならば、総合評価C~C-程度のごく平凡なホラー映画です。しかし、こいつをパソコンで再生し、ヘッドセットを着けながら見ると総合評価はご覧の通りに。ご自宅の自室でお手軽に臨場感マックスの状態で楽しめるクッソ珍しいタイプの映画なので、パソコン持ってる人は是非見てみてほしい。
【以下、ネタバレ注意!】
というわけで、さっそく詳細な評価に入ってゆきましょう。まずは良い点から。
今作の良い点は、何より着眼点が良いということと、ご自宅でお手軽に抜群の臨場感を味わうことができるということです。特に後者については、もうすごいね。
さて、もう何度か述べてはいますが、まずは今一度今作の内容について確認しておきましょう。この映画は、ネット上に自分の脱糞動画(直球)をアップされたことで悶絶した末に自殺したローラという女学生が、その動画をアップした疑いのある友達のスカイプグループに単身乗り込み、一人ずつてきとーな理由をつけて処刑していくというストーリーです。
これだけなら、まあ別に特筆することもない程度の内容なのですが、今作がすごいのは、ストーリーの最初から最後まで、マジでPCの画面上だけで話が進んでいくということです。パソコンでスカイプを起動し、カメラ付けてビデオ通話をグループでしているあの画面を想像してください。それが今作の舞台です。簡単に言うと、主人公のパソコン画面を録画したものがこの映画の本編の全てなのです。
もちろん、グループ通話の映像しか流れないわけではありません。グループに、一年前に自殺したはずの女の子のアカウントが表示されており、次々とおかしな現象に見舞われる中、ヒロインはスカイプからフェイスブックに飛んだり、他のメンバーにメッセージを飛ばしたりと、画面上では様々なイベントが起きます。
視聴は絶対にPC(最低でもタブレット)、部屋には一人で視聴中は邪魔の入らない環境を整え、ノンストップで視聴をすること。ヘッドホン装着の上、マイクも装備しておくと面白いでしょう。これだけの環境を整えれば、今作の世界観にハマる準備はバッチリです。どうせ、せっかく見るのなら、臨場感抜群になれる準備を整えてから見てみてくださいね! 自室のPCで見るだけで、劇場で見る以上に楽しめる映画なんてかなり数少ないですから、ここは是非手を抜かずに準備してほしいところです。
最後の方は注意事項になってしまいましたが、お手軽に抜群の臨場感、これこそが今作の良い点でした。
それでは、以下には悪い点を。今作の悪い点は、内容自体はありきたりでクッソ平凡であるということです。
さっきから今作を絶賛している気がしますが、確かにね、PC上で全部やるっていう着眼点的にはこの映画は大勝利なんですよ。ただですね、その着眼点自体の斬新さとは裏腹に、内容的にはそれはもうかなり平々凡々で、ホラー映画として面白いかというとちょっと答えに詰まってしまう部分があるのも事実なんです。特に後半の大暴露大会以降な。
ここで、今一度今作のストーリーについて、もう少し詳しくお話しておきましょう。この映画の主な流れは、脱糞系自殺少女ローラがスカイプのグループに殴り込んで復讐開始→一人ずつ処刑する流れだと先に述べました。問題はこの処刑方法で、最初こそ「自分の言うことに従わなかったら殺す」的な感じで展開の主導権をローラさんが握っているのですが、なんか中盤から後半にかけては友達同士でお互いの秘密について大暴露大会を開催させるっていうなんかよく分かんねぇ方向に話が進んでいき、その間ハッキリ言ってローラさん空気。
いやね、この話はあくまでもローラさんの復讐ストーリーですから、その方法としてはお互いに暴露大会させて仲間割れ的なことさせるって言う趣旨は分かるんですよ。実際、この暴露大会を霊界のPCから見てさぞ楽しんでるんだろうなぁ、って思いますし、自分を貶めた人間同士がお互いに言い争ってる様なんてローラさんからしたら愉快でしょうからね。人間同士の醜い部分を描きたいなぁ、っていう意図も分かります。
でもね、少なくともこれホラーじゃないよね。なんかすっげー長かったし、暴露大会パート。確かにこれはこれでつまらなくはないんですが、前半でホラー的な演出をしっかりと入れて稼いできた恐怖値が、このパートに来ると一気に回復しちゃうんですよ。そりゃそうだよ、みんなが暴露大会してるだけなんだもの。どこにも怖い要素はないです。
ですがそれだけならまだいいんですよ。実際、暴露大会パートはつまらないわけではないんです。最初はPCの持ち主である主人公の視点からホラーとして楽しんで、暴露大会以降はローラさんの視点に立って、復讐対象同士の醜い争いをあざ笑うかのように楽しむことができたので、ここまではむしろ満足でした。問題はね、オチなんです。
最初ホラー視点で見てたのが、大暴露大会以降はホラーの緊張感がブツ切れるのでローラ視点からの復讐劇として見始めていたのに、この映画はその後またしても話を急激にホラー路線へと戻し、オチではローラさんが目の前に出てきちゃって、驚かせようと言わんばかりに襲ってきて終わるんです。でもね、そんな急にホラー視点に戻されても、ホラーの緊張感は大暴露大会で完全に切れちゃってますから、序盤ほどホラーに入り込めないんです。なんか、大暴露大会のシーンで登場人物たちからは一歩引いた視点に立ってしまったので、それからまたヒロイン側に立ってホラー楽しめ、っていうのはちょっと無理でした。暴露大会は暴露大会でそこそこ面白いんですけど、如何せん長すぎた。どんだけ尺使うんだ。
他にも、着眼点はいいわりに、2人目以降の殺し方はかなり雑なため途中から見慣れてきてしまうことや、ストーリーの流れを見ても分かるように、内容自体にこれといった斬新さはないことなど、問題は何個かありました。序盤こそ、ホラー描写はかなり良く出来ていたと思うだけに、2人目の犠牲者であるデブの死亡シーンが雑だったあたりから暗雲が立ち込めはじめ、それ以降は暴露大会の件もあってホラーとしてはあんまり……という感じになってしまったのが残念です。
総評ですが、ダメな部分も挙げていけばそれなりにあるものの、基本的には発想と着眼点で勝利しているので、環境を整えて見ることさえできれば、かなり楽しんでみられる映画なのではないか、と思いました。純粋な内容だけで評価するなら、まあ総合C~C−くらいの映画だったと思いますが、全編PCという設定を考えて、それを本当に一本の映画にしてしまったこと自体もう評価できると思います。実際、序盤のホラー描写とPC画面の相性はかなり良く、特に1人目の死亡シーンであるフリーズ、これは本当に良かったです、ビビりすぎて脱糞しかけた。
まあ、大暴露大会以降はね、好みが分かれそうな展開ではあると思いますが、全編通して決してつまらなくはありませんでした。後半に行くにつれ、序盤ほどのパンチ力はありませんでしたが、反面ローラさんの立場に立って復讐を楽しむことができたので個人的にはなかなか満足できました。だからこそこのオチは許さん。いっそのこと、最初から最後までホラーで通すとか、逆に暴露大会以降はホラーを捨てて、ローラさん視点からの復讐劇を楽しめるようにするとか、なんかそのあたりをもう少し工夫してほしかったと個人的には思います。
でも、とにかくこの臨場感をお手軽に体験できる作品は極めて稀ですので、是非良い部分に目を向けて、視聴していただきたいと心から思います。ほら、見ろよ見ろよ。
それと、最後に一つだけ付け加えさせていただくなら、この作品、ローラさんは結構な確率で主人公のPCにハッキングを仕掛けてくるのですが、その中で「その場面に合った音楽をチョイスして再生させる」という気配りを見せてくれるんですよ! しかもこの選曲がなかなかイカしてて「うわローラさん脱糞したくせにお洒落」と思わさせられてしまうんです。霊のくせに、お前なかなかお茶目なところあるじゃねーか(感心)