「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゾンビシャーク 感染鮫 のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

「一粒で二度おいしい!」のキャッチコピーをつけたくなる映画です。まあ、実際においしかったかどうかはともかく……。

さて今作は、レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からです、どうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“風光明媚な観光地レッドプラム島には、廃墟のような巨大な建物があった。
そこは政府の研究施設で、負傷兵の回復のために細胞を再生させる研究が、サメを実験台に極秘裏に行われていたのだ。
ある時、実験過程で突然変異した、不死身のゾンビシャークが誕生し、研究所の檻を突き破り外洋に出てしまった!
ゾンビシャークは凶暴なだけでなく、そのゾンビウィルスの感染力が強力で、噛まれた生き物はことごとくゾンビ化してしまう。そのため急激に増殖するゾンビシャークと、噛まれゾンビ化する人間たち。折しも悪天候で孤立した島は阿鼻叫喚のゾンビ地獄と化した。
そして、ゾンビシャークとゾンビ、生き残った人間たちによる、三つ巴の戦いに突入していった・・・。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
サメの質…………C
ゾンビの質………C
キャラクター……B
設定………………C

総合………………C+
おススメ度………C

【良い点】

・ストーリーのテンポが良さげなので飽きずに見られる

・キャラクターの出来が結構良い

【悪い点】

・ゾンビの存在感が激薄

・なんだこのラスト(呆然)

いやこれ個人的には当たりの部類の映画だと思います。ストーリーは軽めで頭を空にしてても見られますし、戦闘も多いしテンポもよいので飽きずに見ていられ、キャラは魅力的でサメのクオリティも言うほど低くなく、設定や展開のペラペラさも「コメディだから」で済ませられるというなかなかにいい感じの配分だったのではないかと……問題なのはラストシーン。なんでこの内容で、ガッツリバッドエンドなんですかね……そこさえ改善できれば、そこそこの評価は保てた映画でしょう。

ゾンビ? 知らんな。

【以下、ネタバレ注意!】

今作ですが、「ズーンビ」に引き続き、ゾンビ設定いらないんじゃね映画筆頭候補です。まあ、ゾンビが出てきたという点だけで見ればズーンビよりマシですが。

では、早速始めてゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、キャラクターに魅力が結構あるということと、何より頭を空にしてても飽きずに見られるストーリーです。この二つの出来については、結構マジで良かったんじゃないかと思います。

まずはキャラクターについて。今作に登場するキャラクターたちの出来については、軒並み高水準に纏まってくれていました。ギャグもシリアス?もバトルもこなせる面白黒人おじさんを筆頭に、多少強引ながらも事態の解決に積極的に動いてくれる主人公姉妹、なかなか頼りになる軍人おじさん、そして途中退場こそしますが、この事態の中で人を気遣う気持ちを養い成長するギャル枠のねーちゃんなど、今作に登場するキャラはなかなか魅力的で好感の持てる人が多く登場します。彼らがしっかりと動き回ってくれるおかげで、ストーリーの面白さがしっかりと引き立っていました。やはりキャラが活き活きしている映画は、見ていて楽しいですね。

まあ、軒並み頭が弱いのが欠点ではありますが、それはそれでギャグシーンが多い今作の雰囲気と合致していた気もするのでお咎めなしにしておきましょう。

そして、今作におけるもう一つの大きな特徴が、ストーリーです。この映画、まあ題名にある通り、なんか既存のジャンルを混ぜてみたって感じの映画なのですが、意外にもストーリーはしっかり出来ていて楽しめました。いやまあ展開は結構ガバガバでペラペラなんですが、構成的には光るものがあります。

開幕からなかなかスピーディーな展開で始まり、そこからは多めの戦闘シーンと無駄をなるべく省いたテンポの良い進行で、全く勢いを落とすことなく最後まで駆け抜けてくれます。しかも、まあ空気気味ではありますが一応人間ゾンビとの陸上戦も用意されているため、戦闘シーンがサメだけの対処に傾かず、多少ではありますが単調さの回避に一応成功しているのもまあまあ嬉しいところ。というわけで、今作は飽きずに最後まで視聴すること自体は比較的容易に出来るでしょう。これは結構ポイントが高いところでした。

というわけで、今作の良い点でした。以下には悪い点を。

今作の悪い点は、ゾンビの存在感がとにかく薄いということと、ラストの展開が悪い意味で意外すぎることです。

まずはゾンビの扱いについて。先ほど、今作は一応ゾンビとの陸上戦もあるため、戦闘の単調さの回避に一応は成功していると言いました。しかしこれ、マジでほんの申し訳程度でしかありません。なぜって、そもそもゾンビがほとんど出てこないから、理由としてはこれに尽きます。

こちらとしてはあらすじにもある通り、「海にはサメ! 陸にはゾンビ!」な状況を期待して見始めたわけですが、蓋を開けてみれば、陸上でのゾンビ戦はほぼ皆無というなんとも期待外れな仕上がり。もちろんゾンビ君もいるにはいますが戦闘においてはほぼ空気で、海岸でサメと戦っている際の陸上からの奇襲要員としての活躍くらいしかありませんでした。

まあそもそも、今作におけるゾンビ第1号はサメなわけなので、サメに噛まれたらゾンビ化って言ってもそもそもサメに襲われた時点でもう人間としての原型がですね……てか、襲われる場所って言ったらそれはもう海中ですから、そんなところでゾンビ化してもね、うん。

とにかく、予算上の都合なのかストーリー上の都合なのか、陸上にはゾンビがほぼいませんでした。そこはさぁ、研究所からウイルス漏れたからとかなんとかてきとーな理由付けてでも陸上にゾンビを溢れさせてくださいよ。確かにゾンビがいることで、戦闘の単調さはほんの多少回避はされていましたが、「違うんだよ! 俺は普通のゾンビとの戦闘もしっかり見たいんだよ!」と言いたくて仕方ありませんでした。

さらに言うと、海にいるサメが次々とゾンビ化していく、とは言いますけど、そもそもサメがゾンビ化したところであんまり意味がないんですよね。サメって、元から固いし強いし凶暴だし。ゾンビ化することで得られる恩恵が生前からすでに揃っているわけですから、なんか目が白い凶暴なサメが襲ってくるぞー、くらいのインパクトしかありません。陸上にダイレクトアタック仕掛けてくる上に異様にしつこいサメなんて、サメ映画界ではゾンビでなくてもわんさかいますし。この辺の、「ゾンビ化という設定を上手く活かせていない」というのは、ズーンビに共通するものがあります。こっちは「ゾンビ&サメ」を見たいのに、内容的には「ゾンビ+サメ」というこのすれ違い……。

だから動物ゾンビだけじゃなくて、戦闘に幅を出すためにも普通のゾンビもしっかり出せっつってんじゃねーかよ! その辺については、バイオハザードアウトブレイクFile2を見習って、どうぞ。

……まあ、咆↑哮↓ステージには普通のゾンビはあんまり出ないんですけどね。おう移植リメイク大好きカプコンとっとと仕事しろや(半ギレ)

そして、今作におけるもう一つの問題点、というか、こっちこそ大問題なわけですが、それはこの映画のラストシーンについてです。なんか面白黒人キャラとか、ガバガバなアタックを仕掛けてくるサメたちとか、全体的にギャグへのバイアスが強くかかっているのが今作の大きな特徴の一つではありますが、そんな今作、衝撃のラストを迎えます。なんというかもう、見事に期待を裏切られました。もちろん悪い意味で

今作のラストシーンは、敵のボスであるゾンビシャークに主人公の妹が丸のみにされることに端を発します。そしてこのゾンビシャーク、妹を丸のみにした後は、海岸沿いにいる主人公たちに向け、自分から陸に打ち上げられながらも何度も何度も執拗に特攻を仕掛け、結果ビーチで動きが鈍っているところを返り討ちにされるという当然な結末を迎えるのでした。自ら不利なフィールドに赴いて決闘を申し込むボスキャラの鑑。

しかし、全編通してギャグに比重が置かれている上に、こんな「サメが自分から陸に上がってくる」というガバガバすぎるラストバトルを超えた先に待っていたのは、まさかまさかのガチバッドエンド。なんと、そのサメの腹を裂いて丸のみにされた妹を助け出してみると、すでに妹はゾンビ化しており、そんな彼女の頭を主人公が泣きながら銃で撃ち抜く、というガチの鬱展開。これがもうびっくりするほど冷めました。

いや、別にバッドエンド自体を否定しているわけではないんですよ? ゾンビ映画だとこれ、割と普通の展開ですし。ただ、本編中は完全にギャグしてるくせに、ラストシーンだけ唐突にバッドエンドで終わるので、このラストだけものすごく浮いて見えると言いますか。例えるなら、それまでガチのギャグ漫画だったのにラストだけ急に何の脈絡もなくクソ安っぽい感動展開をぶち込んでくる、あのすごい滑ってる感じをやらかしてしまった感があると言いますか。まあ言ってしまえば、「その作品に合った、ふさわしい終わり方じゃない」と感じたんです。

いや、そこはさぁ……「丸のみにされたけど噛まれてないからセーフ」とかなんとかてきとーな理由付けてハッピーエンドにしとけよ、と。おいふざけんじゃねぇてめぇ今まで本編ほとんどギャグだったじゃねーかなんで最後だけガチのバッド展開仕込んでんだ別映画でやれ別映画で。

総評ですが、なんだこのラスト(ドン引き)。この一言に尽きる映画でした。キャラ結構いいじゃんとか、サメの質感結構好きだよとか、ゾンビあんまり出てこねーじゃねーかとか、それまでに抱いたこの映画の感想を全部ぶち壊すレベルの大罪ですよこれは。そのくらい、映画本編中の雰囲気から浮きに浮いたラストだったと私は思います。

だから、バカ映画はバカ映画らしく終わっとけって! こんなラスト、キルミーベイベーがソーニャちゃんの殺人罪投獄エンドで終わってしまうくらい展開から浮いてるんだよなぁ……。それ以外の点については、個人的にはそこそこ満足のいく作品でした。まあ、気になったら見てみてください、程度のおススメ度です。

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