「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

女子高生チェーンソー のレビューです(総合評価B or D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

「女子高生」というワードにトラウマを抱えながら、レンタル版を吹き替えで視聴しました。

まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【あらすじ】

ミニスカ女子高生が猟奇連続殺人事件に巻き込まれるホラーコメディ。男子校の生徒たちとのダンスパーティに繰り出すため、車を走らせていた女子高生・パーカーと仲間たち。途中、車が故障し仕方なく近くのスクラップ工場で夜を明かすことになったが…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………BD
キャラクター……C
設定………………BD

総合………………BD
おすすめ度………B


【良い点】
・飽きそうで飽きない絶妙なギャグバランス
・オチが完璧すぎてそこで評価が跳ね上がる

【悪い点】
・オチまでは基本つまらない
・オチが受け入れられなかったらクソ

オチオチうるさく連呼してますが、まさに「オチが命」「終わり良ければ全て良し」の道を突っ切ったかのようなギャグ映画でした。とにかくオチのインパクトが命な映画なので、オチを知ってしまってからこの映画を見ると評価は間違いなくダダ下がりです。以下ではオチも含めたネタバレを書きますが、この映画に少しでも興味を持ち、「ちょっと見てみるか」と思った人は必ずいったんここで読むのをやめてください。

【以下、マジでネタバレ注意!】

こんなクソ映画のレビュー真剣に書いたら負けゾ(正論)

でも真面目に書きます。

さて今作ですが、女子高生グループがレズ教師同伴の下、男子校のダンスパーティーに参加しようと車で移動を始めたところ、車が故障して通りかかったキチガイの経営する怪しい廃車場で車の修理をしてもらっている間に殺人事件が発生し、金田一も裸足で逃げ出すレベルのガバガバサスペンスが繰り広げられるという内容の映画です。

ちなみに今作、チェーンソーは登場時間が十数秒&犠牲者なしという詐欺っぷりなので一応ご注意ください。間違ってもスプラッター映画だと思って見ちゃだめだよ! 死亡シーンなんて一部を除いて失笑が零れる程度のギャグシーンしかないからね!

では、さっそく今作の詳細な内容を見てゆきましょう。さて、いつもならここから良い点悪い点を見て行って総評、という形なのですが、今作は開幕~オチ直前までの展開と、オチ突入後の数分間の展開で、評価を分けたくなるほど複雑な構造を持っています。そこでまずは、オチを除いた部分の良い点悪い点を挙げ、そしてオチについて語って総評、という形にしたいと思います。というわけで、まずは良い点からです。

今作の良い点は、飽きそうで飽きないレベルの絶妙なギャグバランスが保たれているということです。

この映画、お察しの通りサスペンス映画として見るとかなりお粗末、かつ非常に残念な出来で、性能としてはギャグ面にかなりステータスを振っているような映画なのですが、そのギャグセンス自体は一概に悪いとも言えず、作中に声を出して笑えるシーンがいくつかあります

その笑えるシーンというのも、死体の出来があまりにお粗末だとかいうクオリティ面に関するものから、狙って入れたであろう部分に突っ込みを入れたくなってしまうタイプのものや、キャラの言動に対するものなど内容的にもそこそこ豊富。まあ、ギャグシーンの2割くらいは面白かったと思います。このバランスが非常に絶妙で「飽きて倍速ボタンを押したくなる衝動に駆られるレベル~嘲笑しながらだらだら視聴を続けられるレベル」の間を行ったり来たりしてくれるので、とりあえずオチまでの間をつなぐことが出来ます。

半面悪い点としては、笑える部分は確かにあるけれども、オチまでは基本的につまらないということですね。たまに面白いギャグこそあれど、基本的に寒いノリとくっだらない会話シーンを軸として進んでゆくので、見ていて真顔にならざるを得ない展開が続きます。また、開幕からの前振り部分も長めで決して話のテンポが良いとは言えないというのも痛いところ。

総じて、オチに入る前までは、「笑える所もあるけれどもごくごく普通のクソ映画」というような評価で落ち着くと言ってよいでしょう。事実、このまま終わっていれば総合評価としては良くてD
程度の作品

でした。

しかし、先ほどから何度も述べていることですが、この作品は神がかったオチ一つでそのような評価を見事払拭してみせるのです。……まあ、これ以上あまりハードルを上げてもあれなので、とりあえずそのオチについて書きたいと思います。それでは最終警告になりますが、「これから見ようかな」と思っている方については、先に本編を視聴してくることを強くお勧めします。

それでは、今作のオチについて。内部で起こる連続殺人事件と、10数秒しかないチェーンソーの出番に対して疑心暗鬼に陥る女子高生たち。1人、また1人と仲間たちがお粗末な殺され方をされる中、ついにスクラップ場には、主人公ポジの女子高生と地元の池沼のおっさん、そして、露骨に怪しい転校生の女子高生という3人だけが残ります。

まあ、この映画も一応サスペンスですから、お約束通り真犯人との対面がこの物語のクライマックスを飾る展開だったのですが、正直かなり前の段階から、転校生が犯人であることはびっくりするくらいバレバレでした。殺人事件が起きるたびに姿を消し、ことあるごとに周りを煽るというケンカ腰を見せ付け、露骨に怪しい行動をとり続けるという犯人失格レベルの言動をこれでもかというほど繰り返していたため、「これ逆に犯人じゃないんじゃないの?」という疑問を抱かされたほどです。事実最後のほうは、「この転校生が犯人」説か、「全く関係ない外部犯が犯人でしたー」説の2択を迫られたほどです。

結果としては案の定彼女が犯人だったので、「やっぱクソ映画だったな!」という結論を出しかけたのですが、この映画はそんな評価を出そうとした私を嘲笑うかのように、まさかの方向へと舵を切ります。何がびっくりしたって、今作の真犯人が転校生の彼女ではなかったことなのです。

「いやいや、さっき彼女だったって言ったじゃん?」と思われることでしょうが、いろいろと説明が面倒くさいのでぶっちゃけてしまうと、今作の犯人は序盤に一瞬だけ出てきた校長です。その校長が、転校生のスレンダー美女の中から出てくるのです! は?

もう少しわかりやすく言うと、スレンダー美女転校生が追い詰められたとき、彼女はなんと顔につけたマスクをベリベリと剥がし、その下には校長の顔があった、というのが今作のオチなのですが、彼女の中から校長が出てくるという表現はあながち間違いではなく、顔はもちろんのこと腕と足は一瞬で毛むくじゃらになり、腹は大きく飛び出て四肢もずんぐりとする他、なんと身長も縮むというルパンもびっくりの変装解除をかますのです。

スレンダー美女の中からチビデブハゲのおっさんが登場するというまさに真逆の事態には、「変装は体格の近い者でないと出来ない」という常識を見事覆され、度肝を抜かされました。もう驚くより呆れるよりなによりも早く、思考を停止させられて爆笑させられましたね、うん。

ここで何よりも重要なのは、この、コメディだからこそ許させる、いや、ごく普通のコメディ程度では「は? なんやこのクソみたいなオチ」となってしまいそうなところを、それまでに積み上げてきた絶妙なまでのギャグバランスとくだらなさ、そして真面目に考えることを強制的に止めさせられてしまう間の抜けたシナリオなどの細かな積み重ねにより、これを見事に爆笑のオチへと昇華させているということです。

普通に考えれば、こんな意味の分からないオチなんてコメディ映画でされても真顔必至のクソシナリオですよ。それを、そうなっておかしくないところを、このシナリオ、キャラ、設定などのバランスがあってこそのオチである、ということが最も重要かつ素晴らしい部分で、もしこれを狙ってやってのけたのだとしたら制作陣は天才だと思います(絶賛)

半面、そのような積み重ねがあるといっても本編が面白くないことに変わりはないわけですから、途中脱落者はもちろん、募りに募ったイラつきや呆れなどにより、このオチに対して「は?」と真顔になってしまう人ももちろんいると思います。そうなってしまった場合、今作の評価は問答無用で「クソ」となりますね。この人を選ぶ部分、オチが受け入れられなかった人を容赦なく刺し殺す部分こそが、今作の抱える闇です。

総評ですが、クソ映画であることは間違いないくせして、オチにはまってしまった人を一瞬で魅了させる魔力を秘めたタイプのクソ映画です。オチが受け入れるかどうかで評価が180°変わってくるというのは間違いなく、神映画にもクソ映画にも成り得るフレキシブルさを持っていました。

まあとはいえ、オチのインパクト一本で勝負をかけている映画であり、そこまでの展開はほぼ前座であるため、普通に考えて前振り部分が長すぎますね。30分くらいのコント映画としてなら、テンポも良く進められたでしょうからもっと楽しめた気はしますが、まあしょうがないね。

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