「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

CAGE ケージ のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“ハロウィンの夜、人里離れた郊外の屋敷にいやいやながらベビーシッターとしてやって来た女子高校生カイリー。 子供達を寝かしつけ、無事に役目を終えるはずだったが、静まり返った屋敷に鳴り響くベルの音。 恐る恐る覗くと、そこには不気味な豚のマスクを被った少年が立っていた。 お菓子をあげようとドアを開けたカイリー。しかし、彼女はそれが悪夢の一夜の始まりだと知る由も無かった…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………D
キャラクター……C
設定………………D

総合………………D+
おすすめ度………D

【良い点】
・ヒロインが行動的で展開を動かしてくれるので好感が持てる

【悪い点】
・犯人サイドの設定がガバガバ
・展開がありがちでストーリーがペラペラ

ネット上の意見では賛否分かれているような印象を受けましたが、私は否の立場です。とにかく犯人サイドに関する設定がガバっているというか、見事なまでに丸投げされっぱなしなまま進んでいくのでだれてくる、というのが最大の減点対象でした。見どころもあるにはありますが、全体的にありがちで盛り上がってこない映画だったと思います。

【以下、ネタバレ注意!】

犯人の行動がガバガバすぎる。

さて今作ですが、ハロウィンの夜にベビーシッターを任された家でガキどもの相手をしていると突然の来訪者、ドアを開けるとそこには豚のマスクをかぶった気味の悪いガキがいたので、お菓子を上げて追い払おうとしたところ脇に控えていた男に襲われ、住居に侵入されるも色々あって一転攻勢、返り討ちにしたりされたりするお話です。ジャンル的にはホラーですが、霊的なあれとかではありません。あくまで相手は人間です。

ということで、早速詳細な中身を見てゆきましょう。まずは良い点から。

この映画の良い点は、ヒロインがとにかく積極的に状況を動かしてくれるということです。

今作、家に変質者が入ってきて自分たちを連れ去りにかかるという内容のストーリーの映画なので、ともすれば逃げ回りっぱなし隠れっぱなしで状況が全く動かず見飽きてくる……という事態が容易に想定されますが、嬉しいことに今作はそのハードルをきちんと超えてきてくれます

今作に登場するヒロインは、か弱い(?)普通の女子高生なため基本的に息をひそめて隠れることを強要されているのですが、いざ子供たちを守るためとなればかなり積極的に行動を起こしてくれるため、話が防戦一方にならず状況が度々しっかりと動きます

震えて隠れているだけだった彼女が、連れ去られた子供たちを助けるために犯人の車に潜入したり、自ら外に出て隣家に助けを呼びに行こうとしたり、何よりも後半は犯人グループ相手に退くことなく自分から積極的に攻めにかかったりします。結果、犯人3人組を1人で全滅させてしまう始末。ゴリラかな?

とにかく、このようにヒロインは状況を動かすために積極的に動き、しっかり攻めにも行ってくれる一方で、犯人側の脅威も大きいため震えながら助けを待たなければならなかったり、子供たちを守るために逃げ隠れを強要されたりなど、動と静の立場、展開が本編中に何度も入れ替わってくれるため、見飽きたりだれてきたりすることが少ないのは好印象でした。

それでは、良い点は以上です。続いては悪い点を。今作の悪い点は、展開がありがちでストーリーが薄いということと、何よりも犯人さんサイドに関する設定がガバガバなことです。特に後者、君やで。

先述したように、この映画は攻めと守りの立場が代わる代わる展開されることで、見飽きたりだれて来ることが少ないのですが、そうは言っても内容的にはかなりありがちで何の意外性もなく、中身も薄いので、中盤に入る頃にはどうにも失速している感が否めませんでした。

例えば、ヒロインが電話口に話している警察が敵グループの人間だった、なんてことは露骨すぎて丸分かりですし、犯人たちの目的や正体が最後までさっぱり分からないまま進んでいくので、展開が動く割には話の肝心の部分は全然動いてくれない……という具合ではっきり言って盛り上がりに欠けます

この盛り上がりのなさを引き起こしているもう一つの問題が、犯人サイドの設定のガバガバさです。今作、ハロウィンの夜に3人グループの変質者に襲われるところから話が始まるんですけど、先に述べたように犯人たちの動機や正体が終始一切分からないのはもちろんのこと、警察への通信を妨害するマシーン用意したりとガチめな準備をしている割には計画性が全くなかったり、ヒロインに対して舐めプしまくっている割には何回も逃げられそうになったり、ラストシーンに至っては完全なる正体丸投げ虐殺エンドと目も当てられない有様

犯人側のガバガバさについて特に酷かったのは2か所で、まず1箇所目は犯人が舐めプしている間にヒロインが子どもたちを連れて車で脱出したところ、応援に駆け付けた警察の車両とたまたま偶然奇跡的に激突して犯人に捕まってしまうシーン。犯人はなんか余裕の態度で逃走するヒロイン車を見送ってたけど、あんな奇跡的なタイミングの事故がなかったら普通に逃げられて終わりだったからな? これは単純に話を引き延ばしたいという意図意外に何も感じない雑極まりないシーンで、ここでかなり萎えました。

もう1つ論外だったのが丸投げエンドのラストシーン。なんとか敵を全滅させ生き残ったヒロインは病室で目覚めるのですが、気が付くと病室の外の様子がおかしい。そこで廊下に出てみると、なんとそこには患者とナースたちの死体の山が。そして、窓の外には例のマスクをかぶった男が……というエンド。正直何の捻りもなくクッソありがちな展開な上、こんなガバガバな犯人グループが警察に保護されてるヒロインのいる病院のワンフロアを、警察に全く悟られることなく完全に壊滅させるとかいう「無理がある」意外の感想が何も出てこない酷い丸投げには、まさに開いた口が塞がらないという言葉が最もふさわしかったです。だから「含みを持たせる」「視聴者に想像の余地を残す」のと「説明放棄の丸投げ」とは天地の差があるって言ってんじゃねーかよ(半ギレ)

総評ですが、状況の動かし方は上手いので確かに最後まで完走することは容易ですが、それ以上にストーリー面、設定面での酷い粗が目だってしまい、お世辞にも楽しめたとは言えない作品でした。こんな、目的も分からずじまいで正体も丸投げされるような犯人たちが相手ですから、開幕はまだいいとしても話が進むほど怖さは皆無に近づいてゆきますし、ストーリー的にも有りがちで平凡でスカスカ、ラストの丸投げまで含めると、正直言って見どころが全然なかったです。

しかし、何度も言うように完走自体は割と容易なので、気になった方は見てみても良いのではないでしょうか。スカスカストーリーや丸投げどんと来いという方なら、楽しめるかもしれません。

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