「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アマゾン・クルーズ のレビューです(総合評価E+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

レンタル版を字幕で視聴しました。吹き替えはなかったです。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】


【あらすじ】

ジャングルを舞台にしたPOVサスペンス。ガンの特効薬を作るため、アマゾン奥地に踏み込んだ製薬会社の研究チーム。探検8日目、クルーのひとりがバラバラに食いちぎられた死体となって発見される。さらに惨劇は続いていき、生存者たちは逃げ惑うが…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………E
キャラクター……D
設定………………D

総合………………E
おすすめ度………D

【良い点】
・ないでしょ

【悪い点】
・POVの利点を全く理解してない
・見どころ皆無

センスのかけらもない人間が映画作るとこうなるという非常に良い例だと思います。とにかくクソつまらないのでこんなもん見なくていいから(真顔)

【以下、ネタバレ注意!】

こんな紛れもないクソ映画掴まれた人は神に見放されていると思う(憐み)

さて今作ですが、ガン治療の鍵を握るというカエルを求めて、アマゾン奥地に足を踏み入れた研究チームの一行が、怪しい音におびえながら探索を続けてカエルをゲット、帰ろうとするも一人また一人と姿の見えない何かに殺害されていく……というお話のPOV映画です。うわーおもしろそう(棒読み)

さて、まず最初に言っておきますが、この映画は紛れもないクソ映画です。まず今作、アマゾン奥地で野生の動物たちに襲われる描写は一切ありません。そう言う映画ではなく、今作は森にいるという超自然的な何かが、姿を一切見せずに登場人物たちを襲っていくという内容の映画だからです。

その実力たるや、百人が見たら百人が「面白くない」と言うんじゃないかと思えるレベルの絶大なポテンシャルを秘めておりまして、当然良いと感じた点など皆無以下は酷評の嵐となっております。そのため、万が一これを見て「なかなか悪くなかった」というような感想を持たれた方がいらっしゃったら、ゴ・メ・ン・ナ・サ・イ・ネ。

というわけで、今作の悪い点について見てゆきましょう。この映画の悪い点は、POVを使うという利点を全く理解していないということと、何よりも話の中身がペラッペラすぎてびっくりするくらい見どころがないということです。

まずは今作の撮影方法であるPOVについて。ご存知の方も多いでしょうが、POVとは主に一人称視点で撮影される映画の総称で、今作では最初に「これは研究チームが持っていたビデオカメラで撮られた映像である」というような前置きと共に、取材映像が流れ始めます。つまり今作は、実際に現地に赴いた研究チームが体験した出来事を捉えたビデオカメラの映像をそのままお届けしている、という体の映画なんです。

この、いわゆるPOV方式という映画は、実際にその場にいるかのような臨場感や緊迫感を安価に、比較的簡単に演出できるという強みがあるのですが……この映画の製作陣が、そんな強みをしっかり理解してこの映画を作っていたのかと言われると、ハッキリ言ってNOと返さざるを得ない出来でした。では何が問題なのかというと、全ては緊迫感や臨場感の演出が下手すぎることに集約されてしまうのですが、具体的にはワンパターンな展開とサウンド周りのガバガバさ、この2点だったと思います。

まずワンパターンな展開についてですが、これはもう読んで字の如くです。とりわけ酷かったのは、死亡シーン周りの単調さでした。この映画、調査8日目にして初めて仲間の死体が上がり、その後はちょっとずつ死ぬ人が出てくるのですが、これがもうびっくりするくらいワンパターン

この映画には基本的に「気付いたらいつの間にか死んでた」パターンか、「カメラが画面外に→叫び声→死体発見」のパターンの2通りしかなく、直接死ぬシーンどころか敵である何者かに襲われるシーンすら全く入ってこないのです。そんなベタなものを映画終了まで延々と見せつけられるわけですから、緊張感も何もあったもんじゃありません

まあこれだけなら「センスないな」くらいで済むといえば済むのですが、さらに酷いのがサウンド関連のガバ。この映画は先述のとおり、「研究チームがビデオカメラで撮影した映像」をそのまま見せられているという体の作品なので、ホラーとかでよくある、何か出てきそうなシーンで効果音を流したりだとか、不安を煽るようなBGMが流れたりだとかは本来ありえないはずなんです。そんなことをしてしまっては、「その場にいるという臨場感」が台無しになってしまいますからね! しかしこの映画、何を思ったのか、POVで撮影しているくせにその利点を自分からぶち壊すという快挙を成し遂げています。

なんか不穏な雰囲気になってくるとちょこちょこBGMが流れ始め、「ヴォー…」だの「ドゥーン…」だのよく分からない効果音が付いたかと思えば、びっくりさせたいシーンではここぞとばかりに「デンッ!」とかぶち込んでくる始末。この「編集してるぜ!」感をあえて丸出しにすると言う極めて斬新な手法のおかげで、今作にはPOV映画特有の臨場感が皆無です。これについてはもう、センスがないとかそう言う問題ではありません。

これらの理由から、今作は「撮影費用が安く済むから」というクッソ安易な理由だけでPOVを選択したというのが透けて見えており、POVで作るのだからいろいろな見せ方をしたり、襲われる緊張感を上手く演出したり、臨場感を出したりしよう、というような工夫というものが一切見えないんです。

これだけでも大問題なのですが、今作は全編通して盛り上がりや見所が全くないというトドメの一撃もしっかりと用意してくれているので、撃ち漏らされることがありません。カエル発見までの前半50分は安っぽいインタビューとクッソ下らない会話シーンが大半を占めており、カエル発見からの40分は先述のようなワンパターン展開の連続が大半という救いようのなさ。

しかもそれだけに留まらず、今作は盛り上がりそうなシーンや見どころとなり得るしーんと、ごく普通のシーンとの差別化が全くできておらず、全編通して異様にのっぺりしているという追撃まであるのでさらにどうしようもありません。例えば、前半最大の見せ場となるはずのカエル発見シーンなど、何の探索シーンも挟まずに超突然「カエル見っけ」レベルのあっさりさで難なく捕獲できてしまい、感動を分かち合う暇もなく「さ、じゃあ明日帰るか」というくらいに超淡々としていますし、人が襲われるシーンは全部画面外の出来事、かつ怪物はその正体を一切見せず、ラストシーンなんて化け物みたいな顔したババアが一瞬映って終わりですからね、あまりにも酷くて失笑すら出てこない。

総評ですが、製作陣のセンスのなさが異常です。POVの利点を自らぶち壊し、話の見どころさえもあえて潰していくその姿勢は間違いなく才能だと思いました。一体何を考えてこんな作品を世に生み出してしまったのか理解できません。理解できるのは、この作品がクソ映画だということだけです。間違っても見ない方がいいでしょう。

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