ヒロインが強すぎるんじゃないんですかね……(射撃特化型格闘寄り万能機)
レンタル版を字幕で視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“無法の世界で少女は今、復讐を誓う。 水が枯渇し文明が崩壊した近未来。見渡す限り荒野が広がる不毛の谷で、17歳の少女ケンダルは、いつ枯れるとも知れない井戸を守りながら生きていた。 彼女は病に冒された同じ孤児院出身の少年ディーンらと共に谷から脱出するため、発見したセスナ機の修理を続けていたが、水のためなら殺人もいとわない凶悪な一団の魔の手が彼女たちに迫る。 一人、また一人と仲間が命を落としていく中、ケンダルは死んだ仲間に託された日本刀片手に決死の逆襲を試みるのだが……(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………C
キャラクター……C
設定………………C
総合………………C+
おすすめ度………C
【良い点】
・惹き込まれるからか最後までしっかり見られる
【悪い点】
・テンポが悪い
・少し盛り上がりに欠ける
話の大まかな流れとしては、ヒロインがレイダーグループに仲間を殺され、その復讐を果たすために戦いを挑む……という感じなのですが、この復讐開始までがとにかく長い映画でした。幸いにして見どころはあり、内容的にもしっかり作られているので退屈はしませんでしたが、今度はヒロインが強すぎて復讐開始後の盛り上がりに欠けるという問題点も。面白いかどうかで言うとそこそこ面白いので見る価値はあります。
【以下、ネタバレ注意!】
さて今作ですが、荒廃した世界で苦しい生活を強いられているヒロインが、レイダー集団に恋人を殺された上仲間をさらわれ、もう我慢の限界とばかりにブチ切れ、日本刀とライフルを引っ提げて単身敵陣に乗り込み、圧倒的戦闘力で敵を壊滅させてしまうというお話です。ちょっと強すぎたんとちゃう?
では、早速詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。
今作の良い点は、見どころ自体はなかなかあるので、最後までしっかり見られるという点です。
まず前提としてこの映画、話がなかなか進まないという弱点があるんですが、それを差し引いてもストーリーの出来自体はなかなかGood. 常にカッツカツの状況の連続なので、荒廃した終末世界で必死になって生きている、というある種の緊迫感のようなものはしっかりと感じられます。これのおかげで、見ていてもなかなか飽きることはありませんでした。
咥えて今作、敵の襲撃をはじめとしたイベント事がそこそこの頻度で起きるということも飽きにくさに貢献してくれています。しかもただの襲撃でなく、基本主人公たちには対抗手段がないため、「見つかったら殺される」という状況でのステルス描写がメインとなるので、これがまた緊迫感の演出に一役買ってくれていました。
そして、中盤まではずっとその「見つかると死ぬ」という状況を描いておいて、終盤になると突然ヒロインが日本刀と銃を手に狩る側に回って一転攻勢をしてくれるものですから、この落差にどうしてもテンションが上がってしまいます。この緊迫感の演出と一転攻勢展開のおかげで、基本的に飽きることなく最後までしっかり見られる映画になっていたのではないかと思います。
良い点は以上でした。では、続いては悪い点を。今作の悪い点は、そうは言ってもテンポが悪いということと、今一つ盛り上がりに欠けるということです。
先ほど、今作は緊迫感の演出がなかなかに優秀なので、最後までしっかり見られると言いました。しかしそれを加味しても、やはり話のテンポ自体は悪いです。というよりも、話の中身自体があんまりないのでどうしてもスカスカ気味に感じてしまうんです。これだけの内容の話なら、もっと詰めていろんなイベント入れれば良かったと思うんですが……。
例えば、主人公たちが略奪当たり前の荒廃した世界で必死に生きている感は伝わってくるのですが、サバイバル描写などに代表されるその世界の壮絶さが伝わってくるような描写が思いのほか乏しいので、その辺の描写をもう少し充実させてくれるだけでも印象は大きく変わったのでは、と思います。
また、本作一番の見どころである、ヒロインの復讐開始までがとにかく長いというのもいただけません。復讐開始までの内容もこれはこれでなかなか面白いのですが、やはり本筋までに間を置き過ぎな気がします。例えば、常日頃から彼氏がフラグを立てまくっているので、彼氏がどこかのタイミングで死ぬであろうことはすぐ分かるのですが、その死をとにかく引っ張るため内容のスカスカさが余計際立っていたり……という具合です。飽きるということは決してなかったのですが、どうにも間延びしすぎな気がしました。
またこれと関連して、復讐開始まではとにかく長い割に、開始してからはクッソあっさりと敵を全滅させてしまうので、イマイチ話として盛り上がりに欠けるというのも痛いところ。先述のとおり、ヒロイン覚醒の肝となる彼氏の死亡とガキの誘拐はそのだいぶ前から読めてしまうのでどうにも悲壮感に欠けますし、何よりヒロインが決意1つ決めただけで鬼神の如き強さを発揮し、並以上の剣捌きと百発百中の銃の腕で敵陣に単身乗り込み余裕でこれを壊滅させてしまう様には、見ているこちらは置いてけぼり状態。
それまで虐げられ続けてきたヒロインが覚醒して一転攻勢するという展開自体には確かにテンションが上がりましたが、一方で「そんだけ強いんならもっと最初の方から何とかしとけよ」と冷めた目で見てしまう部分も。正直、もっと別の魅せ方や盛り上げ方があったのでは……と思ってしまうだけに少々残念でした。
総評ですが、なかなかしっかりと作られており、ステルスに代表される緊張感等はなかなかバッチリと伝わってくるので飽きずに見ることは出来るのですが、反面内容自体はスカスカ気味で本筋突入までが長く、かと思えば唐突に鬼神の如き強さで一転攻勢してしまうため、イマイチついていけず盛り上がりに欠けるという弱点も。全体的に平均、ないしそれ以上のポテンシャルは秘めているのですが、あと一つ物足りない映画でした。ダメージは少ないので気になった人は是非!