「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

監禁 レディ・ベンジェンス のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

” 若い女性イブはある日、何者かに監禁される。隔離されたスペースの中、汚れたマットレスの上でチェーンに繋がれる日々。下着姿で撮影されて辱めを受けながらも、彼女は毎日の幸せだった日常、そして最愛のボーイフレンド、ロニーのことを忘れずに脱出のチャンスをうかがう。そして6か月の監禁生活が経過した時、犯人フィルの僅かな隙を突いて、レンガで殴り、逆にその変態男をチェーンで繋ぐ。犯人の家を捜索すると驚きの事実が。なんと自分以外の何人もの若い女性がそれぞれ別の家で監禁されており、しかも犯人はフィル一人ではないことを知る。イブはここで覚醒する。自分が逃げるだけでなく、同じ被害者の女性をレスキューするのが自分の使命なのだと。そして憎き犯人に対しては、究極の復讐を遂げるために自らが恐ろしき“復讐の天使”となることを。果たして夜明けまでにすべての被害者の監禁場所を突き止めて、彼女たちを救い出せるのか?「お前が…(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー……C
キャラクター…C
設定……………C

総合……………C
おすすめ度……C

【良い点】
・とにかくテンポが良いので飽きずに楽しめる

【悪い点】
・キャラに感情移入できない

特に序盤は余計な前置きもなく話が恐ろしいスピードで進み、それ以降も定期的にイベント事や話の進展が見られるため、見ていて全く飽きることなく楽しめました。しかしその代償か、描写すべき部分すらも省いてしまっており、終始主人公のしたいことに共感が持てないというか、感情移入しにくくなってしまっているのは難点。

【以下、ネタバレ注意!】

ヒロインが強すぎる。

さて今作ですが、なぜか監禁されてしまったヒロインが開幕五分で一転攻勢、犯人を煉瓦で殴りつけてボコボコにし、車で拉致して連行、自分の他にもいるという監禁女性の収容場所を案内させて回るというお話です。これもうどっちが監禁犯かわかんねぇな?

というわけで、とりあえず詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、何はともあれ飽きずに最後まで見られるという点です。

この作品は監禁からの復讐ものという、まあある意味ありがちなテーマを題材にした映画なのですが、明らかに他の作品と差別化されている点として、とにかく展開がクッソ速いという特徴があります。それが最も表れているのは最序盤で、監禁状態から逃れるまでの時間が何とたったの5分。それも、監禁がスタートしてから5分というわけではなく、映画がスタートしてから5分です。

ヒロインが幸せな日常生活を送っているらしき映像が少し流れた後、映像が切り替わってヒロインがどうも監禁されているらしいということに気が付いた次の瞬間には、彼女は手元にあった煉瓦で犯人をぶん殴り逃走開始という監禁映画にあるまじきスピーディーさ。しかも地味に、監禁から半年が経っている時点の出来事です。

こんなシーンでスタートする今作ですから、その後の展開のテンポの良さについては折り紙つき。無駄な会話シーンや冗長な展開などは少なく、基本的にポンポンと話が進んでゆき、また話の進展を感じさせるようなイベント事もそこそこ豊富なので、基本的に飽きることなく話を楽しめます。良い点は以上です。

それでは、以下には悪い点を。今作の悪い点は、キャラ、とりわけヒロインへの感情移入がしにくいということです。

先に述べたようにこの映画、ヒロインが監禁犯をボコボコにして一転攻勢するまでの展開が恐ろしく速く、とてもではありませんが半年間も監禁されていたという悲惨さを感じさせる気が全くありません「まあ、あえてオチや話の山場を最初に持ってくる映画は珍しくないし」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、この映画は基本的に(極一部のフラッシュバック映像等を除いては)時系列順で話が進んでいくため、彼女の6か月間にわたる監禁生活について描写されることはほぼありません。フラッシュバックや犯人の語りでその内容が判明するだけで、監禁もの特有の重苦しい描写などは皆無です。

そのため今作、ヒロインが「自分と同じように監禁されている女性を助けねば」という使命感に突き動かさるという展開は、状況としては理解できるんですが、そもそもヒロインが映像的に全く悲惨な目に合わないためどうにも見ている側との温度差が激しく、イマイチ共感ができません。

この、監禁映画でありながら監禁描写をすっ飛ばすという斬新極まる構成は、先述したような良い点もあるにはあるのですが、正直言うとその弊害はかなり大きく、総合的にはマイナスだったと思います。やはり、ヒロインの悲惨さを表現する描写が一切ないので、犯人に復讐したいのか、他の監禁されてる人たちを助けたいのか、という今作一番のテーマである部分が薄くなっているというか、ヒロインの本気の部分がどうにも見えてこないので、ヒロインの行動を一歩退いたところから見てしまうんです。

他にも、ヒロインの彼氏の行動動機など描写不足と思われる部分も多く、犯人の行動もあんまりしっくりこない、そして何よりもヒロインの行動に結構無茶があるので、終始違和感というか、制作サイドとのズレを感じてしまう映画でした。フラッシュバックでチラチラ映る監禁時の映像に映っていた同居人が、実は妹だった……とか勿体ぶってクライマックスで言われても、「そう……(無関心)」としか言えないんだよなぁ……。

総評ですが、ただの監禁リベンジ物で終わらせようというだけではなく、いろいろと工夫を凝らした構成になっていることや、かなりスピーディーな展開、飽きさせないストーリー構成など評価できる点は結構あるのですが、逆にそれがマイナスにも強力に作用し、全体としてどうしてもヒロインの行動に共感が出来ず、のめり込んでいけませんでした。また、そんな調子なので話全体として盛り上がりに欠けるというのも痛いところだったと言えるでしょうか。

内容的には面白くないことはないので、気になられた方はどうぞ。

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