「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

シャーク・プリズン 鮫地獄女囚大脱獄 のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

シャークザウルス(笑)

レンタル版を字幕で視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

サメパニックと女囚アクションを組み合わせた異色作。アーカンソー州女子刑務所を脱獄し、森の奥深くに逃げ込んだ女囚たち。ところが、そこで待ち受けていたのは地の底から現れた古代鮫の大群だった。女囚たちは次々と鮫の餌食になり…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
サメの質…………C
キャラクター……C
設定………………D

総合………………C-
おすすめ度………D

【良い点】
・全体的な纏まりがまあまあ良い

【悪い点】
・こちらが見たいものをまるで理解してくれない

イベントそこそこ多し、キャラの出来そこそこ、サメの出来悪くない、と全体的に見ると決して悪くない映画なのですが、いかんせん脚本に問題が……。ただでさえ少ないサメの出番が後半に行くにつれて減少し、おまけにお色気シーンもなし。分かっておらぬ……分かっておらぬのだ……。

【以下、ネタバレ注意!】

ここまでこっちの見たいものをくみ取ってくれないなんてある意味凄いと思う。

さて今作ですが、刑務所から離れて野外作業を言い渡された女囚組が、一緒に来ていた刑務官を人質にとって脱獄してみると、そこには地底からよみがえったサメが地面を優雅に泳いでいたので爆破して地下洞窟に逃げ込んで鮫ガン無視でHappy Endするお話です。鮫が当然のように地面を泳ぐのはやめろ。

では早速、詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、全体的なまとまりがそこそこ良いということです。

この映画、まあ細かい部分の出来や脚本についてはともかく、全体的なまとまりを見ればそう悪くはありません。話のテンポは全編通してそこそこ悪くなく、仲間の加入や捕食シーン等をはじめとしたイベントもまあまあ多く起き、ダラダラとした意味のない会話シーンもそれほど多くないので、飽きてしょうがなかったということがないのです。中盤の小屋脱出シーンでの熱い共闘には盛り上がりもあったので、ここもまた評価できるところ。

キャラの出来についても、刑務官のオッサンやヒロインなどまあまあ悪くないキャラが前線を張っていますし、肝心のモンスターの出来についてもCG自体は見ごたえがなくはないです。……とまあこんな具合で、中身というか内容的には可もなく不可もなくな色が強い今作は、全編通して苦痛を感じるような出来ではありませんでした。完全に無駄なキャラが二人ほどいましたが、それを差し引いても、感想を言うなら「まあ、こんなもんか」というレベルで収まっています。

しかしそうは言っても、やはり今作には見逃すことのできない重大な問題点がありました。その、今作の悪い点とは、制作サイドがこちらの見たいものをぜーんぜん理解してくれていないということです。それはもう感覚のすれ違いにビックリするレベル。

この映画、サメ×女囚人 という文句を謳っていながら、ハッキリ言ってそれぞれの強みを理解した使い方がまるでできていません。まず大前提として、このタイトルを見て、パッケージを見て、あらすじを見て、見る人はこの映画に何を期待して見るでしょうか? 少なくとも私の場合は、女囚人たちの脱獄シーンサメとの戦闘シーンです。咥えて、開幕いきなり安っぽいお色気描写が入ってきたもんですから、「ああそう言うシーンも入れてくるのか」と思いました。ところがどっこいこれらの期待、完全に悪い意味で裏切られることとなります。

まず女囚たちによる脱獄シーンですが、これがもう刑務所側の体制がクッソガバガバなので自動的に半分成功しているようなところから話がスタートするんです。「てきとーに見繕った女囚人4人を集めて、山の中で穴掘りさせよう!」という意味不明な企画が始まるところから今作はスタートするのですが、この付添には刑務官二人のみ、スコップ(凶器)自動支給、山中散策可、おまけに鎖もGPSもなしという脱獄されない方が不思議なくらいのサービス精神あふれるクッソガバガバ体制なので、脱獄というよりは放し飼いに失敗したようなもんでした。これは責任問題で辞任不可避ですね……。付添のオッサン二人も、自分たちは囚人を運んでいるという意識の低い無能なので、総じて脱獄関連に見ごたえを求めるとドえらい目にあいます

ならば、と取り出したサメとの戦闘シーンについても、ハッキリ言って出来はかなり微妙。出来というより、鮫と絡むシーンの絶対数自体が少ないんです。前半……はまあいいとして、地面にサメがいることが判明する中盤、そこそこ戦闘シーンも出てきたな~、と思ったが最後、それ以降の後半ではサメとの絡みが激減、後半に行くにつれて目に見えてサメが空気化します。

前半は前半で、『ターゲットが一人に→サメが泳ぐ映像→嘘だろ……→バクー』の流ればかりで捕食シーンに変わり映えがなくワンパターン、中盤は銃撃戦や爆破シーン等ありますが、そういう時に限ってサメは地面から出てこず、背びれが映っているだけなのでどうにも迫力に欠け、後半に至ってはたまーに地面から突然出てきてバクーしていく以外は、基本的に完全に空気という酷い有様

しかも、折角地面を泳ぐという設定を附属して「安全圏がなくどこからでも襲ってくる恐怖」を作り出したかと思えば、『地面から一段でも高い場所にいればセーフ』というクソみたいな弱点があるので、基本的に小屋に籠城している限りは襲われないという頭の悪さにより緊張感は皆無。地面泳ぐ属性付いてるのに地上に安地があるとか何考えてるんですかね……。

さらに、開幕安っぽいお色気シーンで期待を煽っておいた割には、以降作中にそれらしきシーンは一切なしという無駄に硬派な作り。個人的にB級映画にエロシーンは不要派なのですが、こういうシーンを入れたいから、男の登場枠を削ってまで女囚設定付けたんじゃないんですかね……エロシーンの一つも入れないのなら、普通に男登場人物増やしてサメとの戦闘重視の映画にしてほしいんですが……。

総評ですが、こっちのしてほしいことをまるでしてくれない映画でした。サメと女囚をメインに立ち回る映画でありながら、サメ空気、脱獄シーンなし、お色気シーン無しという狂気の沙汰としか思えないクオリティ。キャラ同士の絡みはそこそこで、盛り上がりも多少あり、テンポ自体も悪くない……と内容的にはこれはこれでそこそこ悪くなかったのですが、「そうではないのだ……私が見たいのはそういう展開ではないのだ……」と言いたくなるような映画でした。

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