レンタル版を字幕で視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。
【あらすじ】
“ニューヨーク中心部で今まさに核爆弾テロが起きようとしていた。テロを工作したのはノーベル賞受賞の科学者ローク。 政府やCIA、軍、警察は民間人に事態を知らせぬまま爆弾解除を計画するも、任務は失敗し、街は壊滅、死者900万人が犠牲となってしまう。 テロ事件から1ヵ月―。 事件で妻を亡くし、失意のどん底にいたCIAのショーンは、政府からある極秘任務を命ぜられる。 秘密の施設に集められたのは軍人のジョン、CIA仲間のダニー、民間の歴史学者、科学者、数学者のエリートたちだった。 チームの目的は、密かに開発された時空の流れを変えられる装置を使い過去に戻り、テロを阻止すること。 歴史への悪影響を出さず、任務を遂行すべく選ばれた3人が今=現在を救うために、装置により発生した過去への時空の扉へ飛び込むが・・・。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………C
キャラクター……C
設定………………D
総合………………C−
おすすめ度………C
【良い点】
・描きたいテーマがしっかりと伝わってくる構成
【悪い点】
・盛り上がりに欠ける
タイムトラベル物として、こういうテーマが描きたいという筋が通っているというか、最後まで軸がしっかりとしているので見どころもなかなかあるのですが、ご都合主義道具の連発と盛り上がり不足が痛手となり、総じて惜しい映画でした。暇つぶし程度に見るならば悪くはない映画ですが、もう少し時間配分や構成の仕方を変えれば化けそうなポテンシャルを持っているだけに若干残念に感じてしまいます。
【以下、ネタバレ注意!】
というわけで、早速詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。今作の良い点は、やりたいことや作品のテーマがしっかりと伝わってくることです。
今作はタイムトラベルを扱った映画、かつ話のテーマとしては結構ありがちなのですが、過去を変える事による影響やその意味と向き合い、未来を変えるためにどんな選択をして行くのか、という話の根幹にある部分は終始ぶれず、描きたいテーマはしっかりと伝わってくるというのはなかなかGood. またそれだけでなく、その構成や設定には一定の工夫があるので、きちんとした見どころもいくつかあります。
まず本編開始と同時に始まる核爆弾テロの描写ですが、これがまた緊張感満載に描かれているので開幕の掴みはバッチリ。また、肝心要のタイムマシンは移動先の時間場所指定が出来ないタイプのものであるため、テロ犯を単に殺すというのではなく、飛ばされる時間に応じた作戦を練る描写なども見どころの一つ。
また、今作は謎原理とクッソ便利な秘密道具のおかげで、過去改変の影響が瞬時に分かったり、現代にいる人たちとリアルタイムで連絡を取り合いながら過去で行動を起こしたり……という描写が入るのも特徴の一つと言えるでしょうか。いずれにせよ、今作はテーマはありがちながらも独自の仕様の取り入れをしっかりしてくれており、それでいて肝心のテーマ部分についてのブレは少ないので、「これをやりたい!」という部分はしっかりと伝わってきました。
良い点は以上です。続いて悪い点を。今作の悪い点は、どうしても盛り上がりに欠けるということです。
まずこの映画、タイムトラベル後に過去改変を起こすための行動をするという部分こそが肝心なはずなのですが、過去に飛ぶまでの描写が無駄に長い。今回核テロを起こした犯人がクッソ優秀な学者なので、安易な過去改変は世界全体の歴史を変えてしまう、という部分を説明したいのは分かるのですが、それにしたって無駄な説明や描写が多い気がします。
また、その説明に関する部分もだいぶガバガバで、先述しているような原理不明ガバガバ秘密道具が多数登場するだけでなく、「過去改変の影響を一瞬で算出できる」だの「タイムトラベル用マシーンがあるこの施設内だけは時空の歪みのせいで過去改変の影響を受けない」だのかなり無茶苦茶なことをバンバン言うため、正直引いてしまいました。この時点で、なかなか話にのめり込んでいけません。
そもそも、「過去改変の影響瞬時に算出マシーン」なんてものが存在するせいで、現実に戻ってきた時の結果が分かりきっているためハラハラ感も何もあったもんじゃなく、都合良くし過ぎて結果緊迫感が削がれた、という事態を引き起こいています。これがそのまま盛り上がり不足に直結しています。
また、主人公の取った過去改変の方法が「原因となった人物を迫真の説教で更生させる」という方法だった、というのも盛り上がりを削がれた一因。別にこのやり方自体は全く問題ないんですけど、これに至る過程が雑というか、絶望の現実を塗り替えるために過去世界来たのにあんまり緊迫感がないというか、見ていた私は「説得するのはいいんだけど言ってることがちょっと強引なんじゃないかな……」と思っているのに、それを言われた犯人はひどく感動した様子で素晴らしく聞き分けが良いものですから、ちょっと温度差を感じて冷めてしまったり……まあ、これは付いていけなかった私が悪いのかもしれません。
他にも、開幕を除けば行動範囲の大半はタイムトラベル用マシン内臓施設内か過去世界であり、肝心の外の現実世界は、『過去改変の現実への影響を瞬時に算出する演算マシーン』が映し出すCG映像によるものか、テレビ映像でしか確認できず、話のデカさの割にはどうにもスケールが小さく感じてしまう、というのも個人的には気になったところ。この辺は予算の関係もあるのだとは思うのですが、施設内にいる時間がかなり長いためどうにも気になりました。
総評ですが、テーマというかやりたいことはしっかり伝わって来るし、独自要素もあってなかなか楽しめる映画だと思うのですが、無駄の多い描写や時間配分のミス、また構成の仕方に難がある上、ご都合主義設定連発の展開により冷める部分がいくつもあるのでなかなか話にのめり込んでいけず、それがそのまま盛り上がり不足として現れてしまっているかのような、そんな映画でした。