「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ビジター 征服 のレビューです(総合評価D-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

レンタル版を吹替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

40年も前から地球外生命体と交信を図っていたビル。異常者と見做され、人里離れた場所で暮らすも、その後、天体観測における自説をブログで公表し、カリスマ的人気を誇る天文学者となっていた。ある日、太陽の活動現象が観測され、史上最大のソーラーストームが発生。同時に、未確認飛行物体が、ビルの所有地に墜落した。その情報はすぐに地球外生命体の極秘プロジェクト組織に渡り、彼らはサンプル確保のため、特殊部隊を現場に派遣する。するとそこには、意識不明のビルの姿が。彼らは、ビルを拘束し事情聴取を行うも、その後、想像を絶する現実が待ち受けていることなど、誰一人として知る由もなかった…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………D
キャラクター……D
設定………………E

総合………………D-
おすすめ度………D

【良い点】
・オッサンの拷問シーンがたくさん見られる

【悪い点】
・一切進展しない退屈ストーリー
・ガバ設定

オッサンを椅子に縛り付けて、ドヤ顔で取り出した原理不明のスーパーマシンを使いながら拷問して一転攻勢される映画です。それだけ。見なくていいと思います。

【以下、ネタバレ注意!】

こんなひっどい脚本でOK出した製作陣こそが頭の中をエイリアンに弄られている可能性が微レ存……?

さて今作ですが、かつてエイリアンに連れ去られた経験があるとかいう胡散臭い記事をブログにアップしていたおっさんを、自称特殊部隊員のおばさんが原理不明の胡散臭い拷問器具を使って拷問してたら、湧いてきたエイリアンに一転攻勢されるというお話です。

ぶっちゃけ結論から先に言ってしまうと、今作は紛れもない駄作です。理由はいくつかありますが、主な原因として挙げられるのがストーリー構成の酷さと思考停止から繰り出されるガバ設定の数々でした。他にもキャラクターにろくなのがいないという欠点もありましたが、先に挙げた二つに比べるとまだ許容範囲です。それほど先述した二つのレベルは低い。

まずストーリー構成の雑さについて。今作のストーリーというか大まかな流れは、上のあらすじ等を読んでいただければ分かると思うのですが、逆に言えばたったこれだけの内容しかないんですよ。エイリアン被害にあっているおっさんを特殊部隊員が拘束して、尋問するだけ。たったこれだけの内容で82分を持たせようとしているのですから、もう頑張って引き延ばしている感がガッツリ伝わってきます。

しかし、おっさんが小部屋で延々と尋問されている様を垂れ流すのも申し訳ないと思ったのか、今作はおっさんの尋問映像と、おっさん拘束前に起きたエイリアン襲撃事件の映像が交互に流れます。2つの異なる時間軸のストーリーを交差させることで重厚な展開を表現しようとしたのか、単に時系列ごとに話を進めるだけなのが味気なかったからこんな構成にしたのかは知りませんが、とにかくこの演出については見事に失敗

そう言える理由は実に簡単で、今作は異なる時間と場所で発生した2つのストーリーを、なーんにも考えずにチョキチョキとブツ切りにし、それを並べ替えてベタベタと糊で貼り付けた小学生の図画工作レベルの完成度でしかなく、現在と過去の出来事を交互に見せることの意味やメリットというのをまるで考えていないというのが透けて見えるからです。むしろこうしてしまったことによって、序盤は2つの話の導入部分ばかりが流れるために一向に話が進まず、後半は後半でポンポン話進めてハイおしまい!というアンバランスが産まれてしまったという残念さ。

もちろん、序盤ゆっくりめ進行→後半急展開系の映画がダメだと言っているわけではありませんが、中身がスッカスカかつ無駄で雑な二層構造がグッダグダな展開を巻き起こしているという特徴を持つ今作に限って言えば、このストーリーの構成の仕方は失敗だったと言わざるを得ないと思います。

これと併せて大問題なのが、今作の設定の雑さ。これはもうハッキリ言って擁護不可。この映画はエイリアンによる侵攻を取り扱ったSFで、話の多くを個室での会話で済ませてしまうタイプの映画なのですが、この個室での会話というか尋問・拷問シーンの出来は恐ろしくお粗末

途中まではまだ見れたんですが、突然
『原理は不明だが開発に100年かかったスーパー記憶を吸い出すマシーン』が登場した時点で「この映画実はなんも考えてないんじゃ……」という疑惑が産まれ、その後『仕組みは全く不明だがこの世で一番の苦痛を与えるすっげマシーン』が登場したことで疑惑が確信に変わります。

要するに今作、やりたいことだけ考えたはいいけれど、面倒くさかったからなのかこれでいけると思ったからなのか、それに関する最低限の設定を考える事すら放棄しているという態度が丸見えなんです。当然、こんな雑な態度をとっている手抜き映画ですから、本命のエイリアンに関する設定がしっかりしているとも言い難く、総じて設定周りの適当さ、雑さについてはまさに一級品でした。

頭空っぽにして楽しむタイプのアクション映画ですらもっとマシな設定持ち出してくるというのに、仮にもSFエイリアン映画でこの雑さは致命傷と言っても過言ではなかったと思います。先述の両万能マシーンが出てきた時は、マジで脚本小学生が書いてるんじゃないかと思いました。

総評ですが、1台のハンディカメラに収められた映像と、一人の男を尋問して得られた情報を基にしてエイリアンの目的や正体を探って行くという趣旨の映画であるのに、よくまあこんな適当な設定で塗り固められた構成にOK出したもんだと感心してしまうような映画でした。いくらなんでも、尋問重視の映画で『この機械は原理は分からないけれど~』のセリフが2回も飛び出すとかいう異常さにストップかける人はいなかったんでしょうか。

ストーリーも死ぬほど退屈、設定もガバガバで、見どころといえばエイリアンが特殊部隊の基地に乗り込んでくるシーンくらいしかないので見る必要ないと思います。こんな残念で適当な映画も世の中にはあるんだなぁ、と実感したい人向け。

>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊