「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

Mr.タスク のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

君はセイウチ人間になるんだ(迫真)

レンタル版を字幕で視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】


【あらすじ】

“ポッドキャストを運営するウォレス・ブライトン(ジャスティン・ロング)は、取材でカナダを訪れる。とあるバーに立ち寄ったとき、 航海の話を聞いて欲しいという元船乗りの老人がいることを知り、彼の家を訪ねることに。 老人はハワード・ハウ(マイケル・パークス)と名乗り、手厚いもてなしを受けるウォレス。ハワードが体験した壮絶な航海の話を 聞きながら紅茶に手を伸ばすが、それには睡眠薬が含まれていて、たちまち気を失ってしまう。目が覚めると車椅子に縛り付けられており、 さらには足の感覚がなく、パニックになるウォレス。そこでハワードは「これから君はセイウチになるんだ。“Mr.タスク(キバさん)””」と 告げる。連絡が途絶えたウォレスを心配して友人のテディ(ハーレイ・ジョエル・オスメント)と恋人のアリー(ジェネシス・ロドリゲス)は とある人物と協力し、彼の追跡を始める―。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
キャラクター……C
設定………………D

総合………………C+
おすすめ度………D

【良い点】
・中盤までの迫真のホラー描写

【悪い点】
・後半の書き込み不足な展開

「好きな人はすごく好き」なんだろうなぁ、という感想が一番しっくりくる映画ではないかと思います。前半はガッツリホラーですが、後半は脱力系ブラックジョーク多めの展開へとシフトしていき、なによりこの切り替えが突然訪れるので振り落とされる人も多そうな印象。私は振り落とされました(報告)

【以下、ネタバレ注意!】

いきなりですが、今作は一部界隈の間ではなかなかの知名度を持っており、劇場公開やブルーレイの発売、また超大物俳優(ジョニーデップ)のゲスト出演など、かなりのスペックを誇る作品です。ジョニーデップ出てたことは全く気づきませんでした。

また、「セイウチ人間を作る」というコンセプトや立ち位置的に、なにかとムカデ人間と並べられることが多いような映画でもあります。ゲオでもムカデ人間3と並べられていたような記憶がありますし、ネット上に散らばるレビューでも、ムカデ人間と比べるものが多くありました。

と言いつつ、内容的にはムカデとかなり毛色が違う映画です。こちらはムカデよりもグロさ激減、前ふり丁寧、コメディ色強めな調整。特に、今作はグロさを求めた内容ではないという点が大きな違いでしょうか。そのため、ムカデのような内容を期待して見ると肩透かしを喰らう可能性もあります。ということを踏まえて、以下のレビューをどうぞ。まずは良い点から。

今作の良い点は、中盤までの迫真のホラー展開です。

この映画、セイウチ人間を作るというアホみたいなコンセプトに咥えて後半はブラックジョーク展開が加速しますから、日本版予告でも半ばネタ映画的な扱いを受けていますが、反面前半のホラー描写の迫真具合はなかなかのものです。

特に、足切断後に目覚めるシーンや、サイコ爺との夕食会なんかでは爺の狂気が滲み出ていて、サイコパス特有の頭逝っちゃってる感じが凄く不気味でした。ジジイが本性を現す前のお茶会のシーンでも、「この人なんかおかしい……」と感じさせる前ふりがなかなか丁寧なのも相まって、前半は普通にサイコスリラーとして出来が良いと思いました。

なお、「後半のブラックジョーク展開こそ至高だっただろ!」という方も多いということは重々承知ですが、後半は良くも悪くも評価が分かれるところであるため良い点には上げないことにしました。というか付いていけなかったんだよオラァン!

では、良い点は以上です。続いて悪い点を。今作の悪い点は、後半の描き込み不足な展開です。

まずはじめに、先述のとおりこの映画は結構人を選びます。特に、後半のジョーク展開に移るに伴い、ブヨブヨセイウチスーツ登場の出オチは凄まじく、改造シーン等もすっ飛ばされる上にあまりにも作り物感があるため、痛々しさはほぼありません。その姿たるや、思った以上にセイウチ全開なので笑ってしまうほどです。

しかし、これ自体については製作側の計算通りでしょう。先に述べたように今作、グロさを追い求めた映画ではなく、出発点が完全にネタ(エンドロールで分かります)なので、この前半から後半への急激な切り替わりについては、受け入れられるかられないかの二択である、という以上の問題はありません。しかし、いくら出発点がネタであって、ジョーク展開を加速させたいと言っても、シーンの描き込み不足はどうしても気になりました。

この映画の後半の流れとしては、「セイウチにされる→変態博士に調教される→熱いセイウチバトル(意味不明)→恋人たちに発見される→精神までセイウチ落ちした主人公、保護施設でセイウチ生活」という流れなのですが、この調教シーンの描き込みがかなり足りないために、後半の展開がかなり薄っぺらく感じてしまいます。

特に、セイウチとして生活させられた主人公が、精神までセイウチ落ちしてしまうラストシーンは調教シーン不足のためにかなり唐突、かつ薄く感じました。元ネタがあってこういう展開にしたい、というのは分かるんですが、それにしたって後半は展開が雑すぎるような……まあ、この落差が溜まらんという方もいらっしゃると思うんですが、このラストシーンを映えさせるためにも、調教シーンをもっと描き込んで精神的に追い込まれている感じを出す作業は必須だったのでないかと思います。

総評ですが、結局のところ後半の展開を楽しめるかどうかに全てがかかっている映画だと思います。ムカデ人間と比べられることも多い今作ですが、この映画はムカデのように、前半と後半のテンションというか、やりたいことが一致している映画ではないので、前後半の落差に振り落とされる方もかなりいると思います。反面、その落差こそ良いという方もいるでしょう。なんとも評価が難しい。

しかし間違いなく言えることとしては、今作はそのコンセプトや性質上、人に勧めることが出来ない映画であるということでしょうか。扱っているテーマが特殊すぎる上に、展開も人を選ぶとかいったいどこに勧めればいいんですかね……? そのため、「我こそは」という方だけ視聴すればいいと思います。後ジョニデのファン。

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