(画像:Amazon商品ページより引用)
国籍 (一応)アメリカ
製作 2014
販売 キングレコード
さて、前作を視聴済みの方ならもはや説明不要でしょうが、まずは内容の説明から。
今作は『様々な国の26人の監督にアルファベットを1文字ずつ割り当てて、そのアルファベットから始まるタイトルの”死にまつわる”5分の短編を撮らせる』というオムニバス形式の映画です。つまりこの映画は、何のつながりもない5分の短編を26本流すだけの映画ということです。
そのため、今作にあらすじと呼べるようなものはないです。予告編はあるので、まずはそちらからどうぞ。
【予告編】
さて今作、先述のとおり26本の独立した短編から成るという変わった構成の映画なため、それに合わせた評価形式を用います。
総合評価……C
おすすめ度…C
その風変わりな形式から、前作は自分のホラー趣向を知るのに最適な映画でしたが、今作はパンチのある作品が少ない、ネタ被りが激しい、と正直微妙なクオリティでした。
それと、とにかく長いので注意してください(約2時間)
【以下、ネタバレ注意!】
①作品全体の感想について
②気に入った短編について
③これは酷いと思った短編について
④総評
という構成でまとめたいと思います。
なお今作、作品概要を見てのとおり内容的には前作と全く繋がりはありませんが、以下のレビューでは前作との違いなどについても触れてゆくため、まずは前作のレビューを見ていただくことをおススメします(ダイレクトマーケティング)。
では、前置きはこの辺にしまして、早速行きましょう。
①作品全体の感想について
何度も述べているようにこの映画、普通の映画とは違ってかなり特殊な構成になっているため、普通の映画にはない良い点と悪い点をそれぞれ持ち合わせています。このあたりのことについては前作のレビューでも書いたのですが、おさらいの意味も込めてもう一度簡単に書かせていただきたい。
簡単に言うと、今作の悪い点は『最初から最後までずっと楽しめた、ということがない』ということで、良い点は『最初から最後までずっと楽しめなかった、ということがない』ということです。どういうことかと言えと、今作は26本の短編が5分おきに次々と流れてゆく構成になっているため、中には自分の嫌いな作品や好きな作品、面白いと感じる作品やつまらないと感じる作品などが必ず含まれているはずなのです。
そのため、『2時間ずっとハラハラしっ放しで最後まで楽しめた』という普通の映画に起こり得る現象は今作ではまず起きません。その代わりに『2時間ずっと退屈で最後まで楽しめなかった』という現象もまず起こり得ません。なんせ26本も短編を見せられるわけですから、当たりもハズレも含まれていて然るべきでしょう。
さらに今作の、「どんな作品も5分で終わってしまう」というコンセプトは、裏を返せば「どれだけつまらない作品でも5分待てば終わる」ということなので、次に期待しつつ比較的楽な心持で視聴を続けることが出来、ハズレも多分に含まれる2時間の映画としては視聴にかかるストレスが格段に少なくて済みます。
つまりこの映画、自分がどんな作品が好きで、どんな作品が嫌いなのかが2時間弱で分かってしまうため、自分のB級ホラー映画の趣向を知るのに最適なのです。この目的のためだけに今作を見るというのも充分有用だと思いますし、このあたりのことは、前作から変わっていませんでした。
さて、では以下は、どのような短編があったのかということについて……まずは参考に、私が視聴しながらとっていたメモを置いておきます。もう何書いてあるのか意味不明だと思うので、本当に参考程度に……『評価』欄以外は、読み飛ばしていただいても全く構わないです。
※評価欄の記号の意味
また、表を見てのとおりアルファベットF~Rまでの間には当たりと呼べる作品が1つもなかったので、この区間は結構苦痛でした。また、Sを挟んでT~Xまでの間もとにかく微妙な作品しかなく、この「良い作品が序盤と終盤に固まっており、中盤は地獄」という構成のせいで、はっきり言ってそれなりにきつかったです……つまらない作品も5分で終わり、次へと希望を繋いで視聴を続けられるので、ハズレが多い2時間ホラー映画として見ると格段にストレスフリーでしたが、それでも視聴にかかる退屈さは前作の比ではありませんでした。これが、今作の評価が低い理由です。
②気に入った短編について
先述のとおり、今作には大当たりと呼べる作品が(個人的には)含まれていなかったのですが、当たりだと思う作品は何本かあったので、その中から特に良かった、大当たりまで惜しかったと思った作品をいくつか紹介します。
1.作品番号C
作品番号Cは、とある村で少女の殺害容疑をかけられた男が、警察に行かせてもらうことも出来ず、ド田舎特有の直接民主主義ガバガバ裁判の結果、私刑で死刑にされてしまうというお話です。案の定その男は無罪だったわけですが、感情的に彼を犯人だと決めつけた村人たちが、無実の彼を殺害してしまう、というストーリー。
言ってしまえば内容的にはこれだけなのですが、ヒートアップした衆愚たちによる証拠不十分な状態での私刑執行という理不尽さがなかなかの緊張感を持って表現されており、死刑執行に入るまでの描写はなかなかグッドだったと思います。反面、死刑執行以降は特に捻りもなく、オチのインパクトにも欠けるというパンチのなさが◎になれなかった要因です。面白かったけどもう一捻り欲しかった、そんな作品。
ちなみに、今作において私が一番好きだった作品がこれです。
2.作品番号Y
作品番号Yは、日本人の監督による思春期のリスカ少女の内面を描いた作品です。彼女の心の声に呼応し、様々な現象(妄想)が画面上に現れるというストーリー。すぐ食材を捨てる母親に食べ物が襲いかかったり、ギターばっか弾いて仕事しない父親からギターが生えて来たり……etc.
言ってしまえば、少女の歪んだ妄想の内容を垂れ流されているだけなのですが、彼女の境遇や感情が不気味な妄想を体現することで良く表現されており、なかなか楽しめました。前作での日本人監督2名は完璧な戦犯でしたが、今作は2名とも結構良かったと思います。
③これは酷いと思った短編について
1.作品番号P
今作の完全なる戦犯その1。コミュ障の脱獄囚?3人組が、暗闇の中で顔芸おじさんの顔芸に晒されながら一人ずつ消されていくという内容。つまらないだけならまだいいのですがとにかく寒いので真顔になること間違いなし。
2.作品番号T
今作の戦犯その2。ハード系AVの撮影してたらAV女優がモンスターで一転攻勢されるという内容。意味が分からなさ過ぎてクッソつまらない上に、久々の当たりだった作品番号Sの後ろにいたというのも不幸ながら減点対象となった理由の一つ。作品番号Pと違い、印象に残らないつまらなさ。
④総評
はっきり言ってかなりの期待はずれでした。前作は良くも悪くも印象に残る作品が多く、良い作品と悪い作品のバランスが取れていたので2時間があっという間に感じられましたが、今作では先述のとおりパンチのある作品がほぼなく、とにかく無難で微妙な作品ばっかりというのが非常に痛い。
中盤の地獄を乗り切っても得られるものはほぼなく、大当たりと言えるほどの面白さを秘めた作品もないですし、前作からの大幅劣化感は否めません。すごく楽しみにしていただけに本当に残念です……。
しかし、このコンセプト自体はすごく好みなので、3作目が出れば迷わず見ます。もう待ちきれないよ、早く出してくれ!