「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

青鬼ver.2.0 のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

さて、まずレビューに入る前に補足しておくと、今作は有名なフリーゲームの実写版映画です。私は一応ゲームはプレイしましたが、別にファンというほどではないです。また今回のレビューは、この映画を原作ゲームなどと比べて云々、という内容ではなく、あくまでもこれ単体で一つの映画として見た時の視点からのレビューになります。あしからず。

それとこの映画、ver2.0というタイトルのとおり2作目なのですが、前作映画との繋がりはほぼないので、前作を見ていないという方がいきなりこれを見ても話は難なく理解できるかと思います。強いて言えば、主人公たちがゲームの中にいるという謎状況を素直に受け入れられるかどうかの差はあるかもしれませんが、はっきり言って誤差だよ誤差!

というより前作の出来があれなのでこれだけ見ればいいんじゃないでしょうか。

レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

” ひろしと杏奈は不登校になっているクラスメイトのシュンの様子を見るためにシュンの家へと向かった。しかし道中、奇妙な模様をした蝶に誘われ怪物が現われると噂される屋敷<ジェイルハウス>へと引きずり込まれてしまう。一方、時を同じくしてシュンの不登校の発端となった、クラスメイトの卓郎、美香、たけしの3人は肝試しの動画実況をするため、同じ屋敷へと入っていった。無人であるはずの屋敷内に響き渡る怪しげな物音。扉の向こう側からこちらを覗き込む青い影。「…嫌な予感がします。」脱出を試みるも出入り口が塞がれ、行き場をなくす一同の先には、この世のものとは思えぬブルーベリー色の巨人が忍び寄っていた。ひろしはこの事態にシュンが制作したゲームの世界とリンクしていることに気づく…。(C)2015 noprops・黒田研二/『青鬼 Ver.2.0』製作委員会(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
青鬼の質…………B
キャラクター……C
設定………………C

総合………………C+
おすすめ度………C

【良い点】
・青鬼のCGの質が良好
・ゲームと現実のシンクロという設定が面白い

【悪い点】

・ゲームと現実のシンクロという設定を活かし切れていない

どう控えめに見ても前作よりははるかに面白かったので満足できました。ゲームと現実のシンクロという設定を持ち出してきたことが今作最大の特長であり、またそれを思ったより活かし切れなかったというのが今作最大の問題点でもあり……というバランスで、課題は多く残る映画でしたが期待以上に楽しめたのでセーフ。強いて言えば今作、完全にゲームプレイ前提みたいな内容に進化してたのが気になりましたが……まま、ええわ(寛容)

【以下、ネタバレ注意!】

思ったより面白かった(ご満悦)

さて今作ですが、ジェイルハウスとかいう廃屋に行ってみたらブルーベリー色の巨人に襲われるという至ってシンプルなお話です。

では早速内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、青鬼のCGの質が良好であるということと、ゲームと現実のリンクという設定が面白いということの2点です。

まずは青鬼のCGの質の高さについて。前作では唯一褒められる出来だった青鬼の質ですが、今作ではそのレベルがさらにアップ。より進化したぬるぬるCGで追いかけてくる様は、なかなかの迫力があったのではないでしょうか。

また、前作ではねっとり気味の登場シーンが多く、インパクトの強さを十二分に発揮することが出来なかった青鬼君も、今作においては追いかけっこ演出の向上とシンプルで分かり易いストーリー展開に支えられ、その地位を上げていたように思います。総じて、モンスター的な出来具合としては充分良好な部類に入ると思いました。

しかし、今作において最も褒められる部分は、この青鬼のクオリティについてではありません。今作で最も良かったのは、ゲームと現実をシンクロさせるという設定です。この設定自体については前作においても使われているうえ、別に目新しさもないので褒めるほどのものではないのですが、この設定を使った展開の構成や演出の仕方がなかなか良好だった、というのが、今作と前作との一番の違いだったと思います。

具体的に言うと、今作は実際にジェイルハウスを探索するグループと、ゲーム開発者の部屋でゲーム画面を見ているグループの2つの視点で話が進んでゆきます。ここでポイントとなるのは、前作のように単に全員がダンジョンに探索に入り、その場その場で「この仕掛け俺のゲームと一緒」という稚拙な感じで謎を解いてゆくという単純極まりない安易な構成ではなく、今作では探索者がゲームプレイ時の記憶をヒントに突破口を探ったり、進むべき道のルートをしっかり話し合った上で探索の方針を決めたり、という描写がきちんと描かれていることです。つまり、今作ではやっと「探索」らしい描写がきちんと入っているのです。何よりもまずこれが大きい。

また、前作とは違って今作ではきちんとゲーム画面が登場する上に、現実の間延びしそうな移動シーンや会話シーンを「ゲーム画面上」で済ませるという工夫なども見られて実にGood.このあたりの演出力の向上はなかなか目覚ましかったです。 要するに、説明不足で舌足らず、演出ベタだった前作に比べ、演出面における大幅な強化が今作の評価を引き上げたのだと思います。

では、かなりべた褒めしたところで、以下には悪い点を。今作の悪い点は、何と言ってもこの「ゲームと現実のシンクロ」という設定を全く活かせていなかったことです。これが実に痛い。

先ほど、シンクロ設定による巧みな演出を褒めたばかりで申し訳ないのですが、このシンクロ設定には看過することのできない非常に大きな欠陥があります。それはなんと、現実で起きた変化はゲーム画面に反映されるくせに、ゲーム側からの操作は一切受け付けてくれないということなのです。しかも何を思ったのか、探索者たちとプレイヤーたちを繋ぐ唯一の手段である携帯電話は最序盤でぶっ壊れしまうため、本格的な探索は、情報を伝える手段が完全に遮断された状態ではじまります。しかもこの状態、最終盤に至るまで変わることはありません。

つまり、ゲーム画面を見ている側のグループは単に画面を見ているだけで、探索者たちに対する援助をすることが一切出来ないんですよ。現実とゲームがシンクロしている状態で、かつゲームプレイヤーを現実の探索者と別にわざわざ用意したのなら、プレイヤー側からの干渉もさせて然るべきだと思うんですが……。最低限、プレイヤーと探索者が連絡を取り合い、互いの情報を交換しながら進んでゆくという要素くらいは入れないと、わざわざプレイヤーを別に用意する意味がありません。

その点、この映画のプレイヤーは、もう単純に画面見て、安全な部屋の中で騒いでいるだけ。このせいで、ゲーム画面を見ている側のグループは終盤に至るまでマジで空気という恐ろしい事態に。何だこの調整は、たまげたなぁ……。

総評ですが、前作に比べると設定を上手く取り入れた演出面の強化が顕著で圧倒的に面白かったのですが、相変わらずストーリーに大きな欠陥があり盛り上がりに欠けるため、胸を張っておススメできる、というほどの出来ではありませんでした。

また、狙っている対象が中高生だからか、ハッキリ言うとストーリー自体も結構稚拙でわざとらしさも強かったり、完全にゲームプレイ前提の内容になっていたり、とそこそこアクの強い部分もあり、やはり純粋におススメできる映画ではありませんでした……でも前作より間違いなく面白かったので、ゲームをプレイしたことがあって興味のある方は、前作飛ばしてこれだけ見ればいいと思います。

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