「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

デッドライジング ウォッチタワー のレビューです(総合評価B−)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2015
販売 ポニーキャニオン

いつの間にか実写化していた人気ゾンビゲームが原作の映画のレビュー、はじまるよ!

さて今作ですが、わりと有名なゾンビゲーが原作の映画となっております。ゲームは現在3まで出ていたと思いますが、私は2のフランク版だけプレイして、1はプレイ動画を見ました。Xbox持ってないからね、仕方ないね。

というわけで、以下のレビューは原作プレイ済み視点からのレビューとなります。もちろん「プレイしたことないけど見た」という方にも分かるように書くつもりなのでご安心?ください。

レンタル版を字幕で視聴しました。吹き替えはなかったです。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“★アウトブレイクが発生し隔離された街。タイムリミットが迫る中、人類は生き延びることができるのか! ? 色んな道具を組み合わせて武器を作り、ゾンビと戦え! ユーモアと激しいアクションと人間ドラマが炸裂する、 ゲームの世界観を忠実に再現した内容も注目!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………B
ゾンビの質………B
キャラクター……C
設定………………C

総合………………B-
おすすめ度………C

【良い点】
・ゾンビの質が高い
・ストーリーが結構しっかりしている

【悪い点】
・内容的に物足りない
・話の内容の割に長い

有名なゾンビゲーを原作に持つ映画なためか、ゾンビの質はなかなか高く、内容的にも結構楽しめました。反面、ゲーム未プレイの初見の方には内容が分かりにくい仕上がりで、原作ファン向けであるにもかかわらず原作に必須の要素がいくつか抜け落ちている等の痛い穴もあり、惜しい映画だったと思います。


【以下、ネタバレ注意!】

本当にいつの間に実写化してたんですかね……。

さて今作ですが、先述の通りゲームを原作に持つ映画です。先に、プレイされた方向けにお話をすると、今作は内容的には2と3の間の物語らしく、3で導入されているマイクロチップによるゾンブレックス投与技術が確立するきっかけとなった事件を描いた物語のようです。僕は3やってないんでマイクロチップの話とか全然知りませんでしたが、3より前の話なので1か2をやったことがあれば充分楽しめる内容だったと思いました。フランクさんもガッツリ出演していたり、しっかりコンボ武器使って戦ったりとファン向けの嬉しい要素も多かったです。

では、早速感想を述べてゆくことにしましょう。まずは良い点から。

この映画の良い点は、ゾンビの質が高いということと、ストーリーが割としっかりしていて見ごたえがあることです。

まあ、ゾンビの出来の良さについては特にそれ以上言うこともないのでよしとして、ストーリーについてお話しします。この映画のストーリーは、ゾンビ物によくある「発生→逃げ回る→脱出」というような枠で収まりません。いや、ゾンビ蔓延る街中に置かれた主人公の基本的な目標は脱出なのですが、今作ではそれとは別に街の外にいる人物視点での物語も描かれており、この二つが同時に絡み合って進行してゆくのがなかなか面白い。

街中で奮闘する主人公と、封鎖された街の外で軍の動向を探りながら電話で主人公のサポートをするジャーナリストのコンビはなかなか悪くありません。また話の中心となる部分も、ゾンビとの戦闘に始まり、世紀末と化した街で暴れ回るDQNとの戦闘に移り、最後にはマイクロチップを巡る軍の思惑を暴こうとする話にシフトして行ったりと、ストーリーの流れがしっかりとあって見どころもあり、なかなか楽しめました。内容的には割と有りがちですが、流れがしっかりと出来ていたので良かったです。

また、原作ファン向けの要素も割と盛り込まれていたというのも原作プレイヤーには嬉しいところ。そのあたりにある物を組み合わせてコンボ武器を作って戦うというのはもちろんの事、ゾンビの頭にコーンかぶせて無力化したり、大量のゾンビに囲まれても人外の強さで乗り切ったりする他、コブンの頭の置物が置いてあったりという細かなリスペクト要素もあったりして、原作を知っている身としては結構ニヤニヤ出来ました。なんちゃって実写化とは違い、結構しっかりとした実写化だったと思います。

さて、良い点は以上です。続いては悪い点を。今作の悪い点は、単純に長いということと、内容的にどうにも物足りないということ、この二点です。

まずこの映画ですが、本編時間は約2時間となっております。いや、別に2時間の映画なんて良くあるからいいんですが、問題なのは2時間の割には内容が薄いということです。先ほど、ストーリーの流れ自体は結構しっかり出来ていると言いましたが、時間の割に内容が薄めなので、どうしても途中にテンポの悪い部分が出てきてしまい少しだれ気味。もう少し内容を詰めて、時間短めでも良かったのではないかと思いました。

しかし、今作の真の問題はそこではなく、内容の物足りなさに有りました。この場合の物足りないというのは、原作ゲームをプレイした人にとっての物足りなさです。ですがそれについて語る前に、まずは原作ゲームをプレイしたことのない、つまりデッドライジングという世界観を知らない人から見てこの映画はどうなのか、という話をさせてください。

先述したとおり、この映画は原作ゲームで言う2と3の間にあたる物語です。もうこの時点で原作知らない勢は置いて行かれそうな気がむんむんしていますが、お察しの通り割と置いて行かれると思います。先に述べた通りストーリー自体は割とありがちで、また原作を見ていないと全く分からない要素もないので、ゲームをしたことがなくともついていけそうな気はするのですが、初見ではイマイチ映画の世界観を掴みにくい構造になっていると感じました。

何より、今作最大のテーマである、感染者(ゾンビではない)へのマイクロチップ埋め込みによるワクチンの継続投与という部分に関し、その下地となるゾンブレックス(ワクチン的なもの)の説明や世界観の説明があっさりしているのがキツイと思います。先ほど、今作は時間が長いのでもっと内容詰めてもいいと言いましたが、ここだけはもう少し丁寧にやるべきだと思った。

しかしまあ、原作をプレイしたことがないと内容を掴みにくいということに関しては、一概に悪いとは言えません。この映画自体、ゲームの外伝的な部分に当たるお話なので、そもそもが原作ファン向けの内容だからです。今作の真の問題は、では原作をプレイしたことがある人には楽しめるのか言うと、これがそうでもない、ということなのです。

この映画、確かに原作ファン向けの内容、かつ原作ファンに向けたリスペクト要素も結構あってその点については楽しめるのですが、原作最大の魅力とも言える「大量のゾンビとの痛快な戦闘」「魅力的なキャラ」などの要素についてはかなり残念な仕上がりになっていたと言わざるを得ませんでした。

まず大量ゾンビ戦ですが、今作では一番多いシーンでも数十体のゾンビとの戦闘が限度でした。これについてはまだ良いのですが、今作は後半に行くにつれてゾンビとの戦闘が目減りしてゆくというのが問題。別に人間との絡みが増えるのは良いですし、原作でもゾンビは空気扱いになって行くのでその点に不満はないのですが、ゾンビとの戦闘自体が減るというのはやはり物足りません。「大量のゾンビを薙ぎ倒す痛快さ」を売りの一つにしているシリーズなので、これはやはり気になりました。

もう一つ気になったのは、キャラクターについてです。このシリーズ、ゾンビ以上に魅力的な敵キャラ(サイコパス)が売りなのですが、今作ではその要素もほぼありません。今作に登場する敵キャラのDQNリーダーは、言ってしまえばかなりマトモな動機で動いているためサイコパス感がほぼなく、そこらのレイダーレベルの存在でしかないため、特に原作の敵キャラたちと比べるとボスとしてはかなり小物でインパクトに欠けます。魅力的かと言われると微妙で、彼とのやり取りメインとなる辺りは盛り上がりにも欠けるというのが痛いところ。後フランクさん人格変わり過ぎだと思う。

とまあ、今作は時系列的にも完全に原作ファン向けの内容でありながら、原作を知る人ほど不満に思える要素も多い、というのがかなり残念な部分でした。かと言って初見の方では世界観の把握がしにくいというのも地味に厳しいところで、どの層に対しても受けが悪そうというのが今作一番の問題だと思います。

総評ですが、原作ファン向けのリスペクト要素や原作ファン向けのストーリーなど、完全に原作を知っている人向けの内容でありながら、原作の最大の魅力については再現できておらずスルー、というような内容の映画でした。また、原作へのリスペクト要素を楽しむという仕様に咥えて良くあるストーリーですから、初見の方にはありがちなゾンビ映画としての価値以上のものはなく、結局どこの層にとっても微妙だったのではないかと思います。

個人的には全く期待していなかった分、意外にも結構楽しめたので満足だったのですが、やはり不満点というか、物足りなさを感じてしまいます。まあ、ゲームと違って時間が限られる映画では限界があるとは思いますが、そこはもう一歩頑張ってほしかったというか、そんな映画でした。でもゾンビの質は高く、軍の陰謀とかが絡んでくるストーリーもありがちですが結構面白かったので、興味のある人は是非見てみてください。原作知らない人はゲームプレイ、しよう!(提案)

……なんか今回完全にデッドライジングの宣伝みたいなレビューになりましたが、内容が原作ファン向けだからね、仕方ないね♂ それではまた次回。

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