「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

フロム・ザ・ダーク のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アイルランド
製作 2014
販売 ポニーキャニオン

もっと面白く作れたと思うんですけど(小声)

レンタル版を視聴しました。吹き替えはないです。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編をどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“真っ暗な闇が支配するアイルランドの片田舎。 サラとマークの仲良しカップルの乗った車が故障する。 助けを求めた二人が見つけたある一軒家。そこの住人は傷を負っているようだ。 何かがおかしいと気づき始めた時、マークが恐ろしい怪物(クリーチャー)に噛まれてしまう。 その傷口が拡がると共に活力を失い、次第に変貌してくマーク。 そんなマークを助けながらも必死に立ち向かうサラ。 唯一、光だけが弱点のクリーチャーが暗黒の世界で猛威を振るう中、果たして絶体絶命の彼女の運命は? そして、最終決戦の末に判明するクリーチャーの驚愕の正体とは—!?(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………C
モンスターの質……D
キャラクター………C
設定…………………C

総合…………………C
おすすめ度…………C

【良い点】
・敵との遭遇が多いため飽きずには見られる

【悪い点】
・ヒロインの行動にイラつく
・光が苦手という設定を上手く活かせていない

 面白くなくはないんですが、もっと面白く出来たんじゃないのと思ってしまうだけに少し残念な物がある映画でした。とりあえず、ヒロインが積極的すぎてウザいという珍しいパターンなので、視聴には若干の注意が必要かとも思います。しかし、AmazonやYahoo!映画先生におけるレビューは結構高評価なものもあったので、興味のある方はどうぞ。

【以下、ネタバレ注意!】

ヒロイン「殺さなきゃ……(使命感)」

今作ですが、田舎道の民家に寄ってみたら変なオッサンに襲われるお話しとなっております。まあまあ面白いんですが、どうしても気になる部分も何点かあり。

ではさっそく、今作の詳細なレビューを見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、敵との遭遇が多いため飽きずに最後まで見られる点です。

今作に登場する敵は一種類のみです。その造形もこれと言って捻りがない、そもそも画面が暗すぎてよく見えないため、非常に飽きやすい……かと思いきや、一度遭遇してしまえばこの敵とは頻繁にエンカウントし、しかもそのたびにそこそこ緊張感のある逃走、戦闘が行なわれるため、基本的に最後まで飽きずに見ることが出来るでしょう。

また、逃げ続けるだけではなくヒロインが積極的に行動を起こして怪物に立ち向かってくれるため、状況が良く動いてくれるのも飽きにくさに一役買っています。しかし、このヒロインの積極性こそが今作の悪い点でもあったり……詳しくは、次の悪い点に預けましょう。

では続いて、悪い点を。今作の悪い点は、ヒロインの頭が悪すぎてイラつくことと、怪物の設定を上手く活かし切れていないことです。

今作は話の都合上、主な登場人物は2人(+敵)しかいません。当然1人はヒロインで、もう1人は恋人の男、そして最後に、怪物と化す農家のオッサンです。このうち恋人の男は途中退場するため、今作は中盤以降、敵を除けばヒロインしか登場しない、という構成になっているのです。この構成自体は、ヒロインの感じている緊張感や恐怖心が伝わってくるので良いと思うのですが、問題なのはこのヒロインの頭がとにかく悪いこと。

今作の敵には「光が苦手」という設定があるため、光が手元にある、もしくは照明さえあれば、基本的に相手は近づいてくることが出来ません。ですがこのヒロイン、なぜかことあるごとに自分から光を消して怪物をわざとおびき寄せ、その上で光を浴びせて相手を殺すというクッソリスクの高い作戦をやたら決行したがるのです。

その上、探索しなくてもよい(=隠れてればいい)場面で単身暗闇に乗り出したり、「朝まで照明の下でじっとしてよう」と言う怪我人の正論意見をガン無視して怪我人を連れ回し、自分から勝手にピンチに追い込まれていくというコンボを決めてくるのですからたまったもんじゃありません。正体不明の怪物に襲われるという、生き残ることを第一に考えなければならない状況に有りながら、なぜか敵を倒すことしか考えていないヒロインの行動には終始イラつかされました。そのくせ、特に強いわけでもないという。

そしてもう一つの問題点。何度も述べているように、今作のモンスターの弱点は光です。別に太陽光に限らず、照明、スマホのライト、蝋燭の火に至るまで、ありとあらゆる光を敵は嫌います。この設定自体は割とベタですが、上手く活かせば非常に面白いと思うんですよ。

光がある時は安心感がありますし、自然と探索に向かわせやすくすることが出来ます。逆に光がないときは緊張感がありますし、視覚的も心理的にも恐怖心を与えやすい。そしてなにより、こういったメリハリを作品全体に与えることで、視聴者の視線を釘付けにしやすくなります。という可能性を秘めているにも関わらず、今作ではこの設定を上手く活かせていなかったと言わざるを得ません。

そう思う理由の1つが、今作においてのピンチな状況(=光がない)の大半は、ヒロインが勝手に作り出しているということです。その理由は簡単で、今作のヒロインにはやたらといらぬ行動や取らなくても良いリスクを取ろうとする性質があるため。 このせいで、せっかく緊張感が生まれるはずの「光がない」という状況に不可抗力性がなく、「お前が勝手に追い込まれたんやろ」という気持ちで見てしまうため、中盤以降は緊張感も恐怖心も薄いという出来栄えになってしまっているのです。

 喧嘩っ早いヒロインが勝手にリスクを背負い、その隙を怪物が付いて襲ってくるだけなので、話がそれ以上の広がりを見せませんし、これでは怪物にも魅力がありません。光を「使わない」という状況ばかりではなく、光が「使えない」という状況ももっと上手く使って欲しかったです。

これに咥えて1番まずいのが、今作における光は「怪物から逃れる唯一の手段」「怪物を近づけさせないようにする手段」というよりは、「怪物を殺すための手段」という色が非常に濃いこと。この、光が防御的手段として位置付けられているわけではなく、攻撃的手段として位置づけられていることと、ヒロインの怪物絶対殺す思考。これらが合わさった結果、怪物が「逃げるべき対象」ではなく「倒すべき対象」にさせられているということ、これは明らかに失敗だったと個人的には思いました。

要するに今作において、光はただ怪物を倒すための武器に終わってしまっているのです。これでは、そこらのモンスター映画における銃とたいして立ち位置が変わりません。この内容なら、もっと逃走や必然性のある探索などのホラー要素に時間を割いてもよかったと思うのですが……。

 総評ですが、いやまぁつまらなくはないけど言うほど面白くもない。なによりヒロインの思考が喧嘩っ早すぎるので、ホラーとしてはあまりに怖くなく、モンスターとしてはあまりにお粗末過ぎる、となんとも微妙な出来に。とはいえ、ヒロインは行動力だけはあるので展開がよく動き、一応最後までしっかり見られる映画なので、興味のある方は見てみても良いと思います。
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