「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アクア・クリーチャーズ のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2014
販売 アルバトロス

ウミヤツメってなんだよ(無知)

レンタル版を視聴しました。吹替えはないです。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

不死身の寄生生物によって湖畔の街が阿鼻叫喚の地獄と化すパニック。遊泳客の水難事故が多発し、シャルルボアの生物局員・マイケルは調査を始める。大量発生したウミヤツメが人間を襲っていることを突き止めるが、既に大群が街に侵入しており…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………C
モンスターの質……C
キャラクター………C
設定…………………D

総合…………………C+
おすすめ度…………C

【良い点】
・テンポと勢いが良いので最後まで飽きずに見られる

【悪い点】
・設定ガバガバ
・襲撃等がワンパターンで話の淡々さが気になる

結構面白いのですが、基本的に雑な作りがどうも気になってしまいます。特に設定のガバガバさは群を抜いており、モンスター発生原因不明、狂暴化原因不明、ラストは見事な丸投げと素晴らしい出来具合。しかしそこを無視し、襲撃のワンパターンさに目を瞑ればなかなか楽しめるでしょう。

【以下、ネタバレ注意!】

設定丸投げ、シナリオガバガバ、突っ込みどころ満載と、非常にオーソドックスなB級系残念モンスター映画です。とはいえ、相手モンスターはウミヤツメ(ヤツメウナギ)という実在する生物であり、それが狂暴になって数が増えまくっただけですので、やはり物足りない感は目立ちました。いや、実在の生物が相手とはいえ、現実では考えられないような行動をしてくる&親の仇でも討つかのような狂暴性を身に着けているので、これも立派なモンスターだとは思いますが、ビジュアル的にね……花はないですね。

なお、「ウミヤツメってなんだよ」という視聴者の皆さまに簡単に紹介すると、ウミヤツメとは寄生性のヤツメウナギのことで、まあ簡単に言うと血を吸うことに特化したウナギっぽい見た目の何かです。口は円形かつ吸血用の牙がびっしりと並んでおり、しかも体長90cmまで行く固体もあるとか。気になった兄貴姉貴は、是非「ウミヤツメ」で画像検索、しよう! もれなく食欲がなくなりますぞ! ヴォエ!

それと作中の町長の話曰く、そこそこおいしいらしいっすよ? 食用に適しており、イギリスをはじめとして重宝して食べている国もあるとか。日本でもカワヤツメという種類は食べられているようです(Wikipedia知識)

ただしこいつら、ウナギみたいな外見で「ヤツメウナギ」って名前のくせに、ウナギの仲間ではないようです。それどころか、身体の構造も味もウナギとはかけ離れているそうで、全く別の生き物らしいっすよ?

さて、いよいよ映画のレビューをしているのか、ヤツメウナギについて解説している記事なのか分からなくなってきたので、そろそろ今作の良い点悪い点を見てゆきましょう。まずは良い点から。

この映画の良い点は、話のテンポと勢い自体は悪くないので、基本的に最後まで見ることが出来るという点です。

今作は最初、地方の湖にウミヤツメが大量発生しているという導入で話が始まります。もうこの時点で、今作の主役であるウミヤツメ先輩を出し惜しみもせずボンボコ出してくれる&それに対して専門家である主人公チームの対策劇がすぐに始まるため、開幕のスピード感はなかなかでした。

そしてこの姿勢、基本的に最後までしっかりと継承されます。視聴者を飽きさせないために、という意図があるからかは分かりませんが、今作は様々なイベントを散りばめ、ウミヤツメ大量発生→無能町長のガバ対処→町壊滅→主人公奮闘という流れが勢いよく進んでゆき、またウミヤツメ自身の襲撃方法もだんだんと高度化してゆくため、最後まで飽きずに見ることは出来ます。これが今作における唯一の良い点でしたが、ちゃんと興味を持って見続けることが出来るという部分は充分評価に値すると思います。

では続いて、悪い点を。今作の悪い点は、言うまでもなく設定がガバガバであるということと、話の淡々さ、ワンパターンさが気になってしまうという点です。まあ要するに、全体的に作りが雑なんですね。

まずは設定のガバガバさについて。先に述べた通り、ウミヤツメは吸血性の寄生生物であり、泳いでいる獲物の表面に取りついて血を吸う以上のことをしないのですが、今作におけるウミヤツメは水中から柵を跳び越えるどころか地面からの跳躍で人間に飛びつき、一撃必殺レベルの攻撃力を兼ね備え、果てには皮膚を食い破って身体に侵入するのはお手の物という実物とは別次元の行動を見せつけます。

狂暴性も異常なものがあり、ひとたび人間を見つけると親の仇かのように飛びかかり、基本的に捕食することしか脳にありません。T-ウィルスをぶち込まれていると言われた方が納得できるレベルです。大量発生した理由どころか、常軌を逸した狂暴化理由についても今作では一切触れられていないので、もはやこれはウミヤツメではなく、ウミヤツメに似た姿の新型モンスター以外の何物でもありませんでした。実在生物使うのならもっと忠実に作って、どうぞ。

とは言え、これはB級モンスター映画。設定なんかに突っ込んでいてはきりがありませんので、これはこれで置いておくとしましょう。しかしそうだとしても、次なるストーリー構成上の問題については言及せざるを得ません。その問題とは、話の構成が淡々としていて襲撃のワンパターンさが目立つということです。

先ほど良い点で、ウミヤツメ自身の襲撃方法もだんだん高度化してくると書きましたが、その限界は意外と速く訪れます。確かに、ウミヤツメが水道管に侵入したことにより、便器からこんにちは、蛇口からお邪魔します等、襲撃のバリエーションは増えました。増えたのですが、結局やっていることは人間に取りついて血を吸うだけですし、出現パターンやタイミングもある程度固定されているため、バリエーションが増えたにも関わらず襲撃シーンがワンパターンになりがちなのです。

これと咥えて問題なのが、とにかくストーリー構成の雑さ。今作の大まかな流れは、「湖にウミヤツメ大量発生→対策するも無力→無能町長のせいで被害拡大→街中でウミヤツメが発生してパニックに→主人公たち、駆逐のために動く」という感じになります。この流れ自体は悪くないのですが、どうも今作においては見せ場にすべきシーンとそうでないシーンの重要度が全て均等に扱われているかのような印象を受ける調整がなされているのです。これが本当に痛い。

例えば、今作でも屈指の見せ場にすべきシーンは街中のいたるところにウミヤツメが発生するパニックシーンだと思うのですが、これがもう本当にビックリするくらい即行で終了し、あっという間に街が壊滅します。その間、主人公たちは街の中心部から全然離れたところにいるため、彼らの目を通して街の崩壊が描かれることもなく、気が付くと街に人っこ一人いなかった、という現象が起こるのです。そのくせ、街壊滅後に主人公たちがタラタラ行動している見どころの薄いシーンは無駄なまでに描かれていたりと、全体的に緩急がない、と言いますか。まあぶっちゃけてしまうと、時間配分の仕方がのっぺりしていて起伏に乏しいんです。

正直言って、シナリオはこのままにするとしても、魅せるべきシーンにしっかりと時間を割き、そうでないシーンはサッサと進める。これだけでもかなり面白くなったのではないかと思ってしまうだけに、なかなか残念でした。

総評ですが、まあそこそこ楽しめるんですけど、構成を見直せばもっと面白くなったのでは? という可能性を感じてしまう映画でした。モンスターのCGの出来はそこそこ、キャラは無理な行動がちょくちょくあるけどまあなかなかという感じだったので、取りあえず構成だけでも見直せばまあまあいい線行ったんじゃないか、と思います。それとも、パニックシーンを描ききるだけの予算がなかったんですかね? 知らんな。

とはいえ、これらも設定のガバガバさに目を瞑るという前提あっての話なので、必要以上に持ち上げるほどの内容がある映画ではなかったと思います。興味のある人だけどうぞ。

あっ、そうだ(唐突) 当ブログではウミヤツメ実食兄貴姉貴たちの食レポを24時間年中無休で受け付けておりますので、はい、ヨロシクゥ!

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