「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゾンビデオ のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 日本
製作 2011
販売 キングレコード

コンセプトは良いのに内容が追い付いていないゾンビ映画のレビュー、始めさせていただきとうございます。

あと鳥居みゆきさん好き。ヒットエンドラーン!

 早速スタートです!

レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

映像制作会社「うつせみコーポレーション」で働くアイコ(矢島舞美)とホラーマニアの同僚・橋本(宮崎吐夢)は、会社の倉庫から謎のビデオを発見する。それは実際にゾンビが現れた時、どう対処すればいいのかを紹介した「ゾンビ学入門」というHOW TOビデオだった。一方、その頃、突如現れたヤスデ(鳥居みゆき)とその妹・カナブン(中島早貴)率いるゾンビ軍団によって、日本全国は大パニックに陥っていた。「ゾンビ学入門」を観ながらヤスデたちと戦うアイコたち。果たして彼女らは生き残れるのか?そして、ヤスデたちの狙いは一体何なのか?(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
ゾンビの質………C
キャラクター……C
設定………………D

総合………………C-
おすすめ度………C

【良い点】
・コンセプトはなかなか面白い
・グロシーンは頑張っている

【悪い点】
・内容のコレジャナイ感
・お前の設定ガバガバじゃねーか

コンセプト自体は非常に面白そうなのですが、肝心の内容がそれについてこれていませんでした。展開の早さはそこそこ、ギャグセンスもなかなか悪くなく、まあ見てはいられるのが救いでしょうか。

【以下、ネタバレ注意!】

何だったか忘れましたが、借りてきたB級映画の本編前に入っていた予告を見て、面白そうだったので借りてきました(B級連鎖) B級映画の魔の手からは絶対に逃れられない!

さて今作ですが、「全国でゾンビが発生しちゃったけど、なんか手元にゾンビ対策ビデオがあったからこれ見てゾンビ撃退するやで!」というようなお話になっております。コンセプトはすごく面白そうだと思いました、コンセプトは。

では早速、今作の詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、コンセプトが面白そうということと、グロシーンは頑張っているということです。

まず、先ほどからべた褒めしているコンセプトについて。何度か述べているように、今作は会社の倉庫からゾンビ対策用ビデオを発掘し、それを頼みに並みいるゾンビたちと戦う! という感じのストーリーなのですが、このコンセプトには非常に惹かれるものがありました。聞くだけだと「ほーん」と思われるかもしれませんが、この設定自体はかなりの可能性を秘めていると思います。

例えばゾンビランドをはじめ、ゾンビに対する「一般的な知識」を流用して対処しようとする映画はいくつかあります。また逆に、話を進めていく途中でゾンビの対処法を知り、それをもとにして対抗していこうとする作品もいくつもあります。しかし今作のように、ゾンビ出現前、ないし出現直後から「過去に発生したことのある、この世界のゾンビに対する対処法」が記された物品を発掘して、生存者がそれをヒントに生きぬくという映画、実はあんまりないのです。多分。

ここで重要なのは、今作におけるゾンビの対処法というのは、一般的なゾンビに対する対処法ではなく、あくまでも過去に発生したことのあるゾンビに対しての対処法をまとめたものであるため、その情報には確実性と信憑性がある、ということです。しかも、今作におけるビデオは数本ほど存在するため、ゾンビに対する唯一の対処法であるそれを探させるために、生存者を自然な流れで探索に向かわせることが出来るというのも大きな特徴。正直この設定、上手く活かせば無限の可能性がありますよ! しかもこれが、日本製のゾンビ映画で出来ているという事実! 素晴らしいですね!
内容、あっ……(察し)

さて内容的な話といえば、今作はなかなかグロ描写を頑張っている、というのも良い点として挙げられるでしょう。まあ、頭から脳みそがはみ出てる人の雑さは置いておくとして、ゾンビ襲撃シーンのグロ描写クオリティはなかなかの物です。あまり期待されても困りますが、この手のコメディチックゾンビ映画の水準としては充分な出来と言って良いでしょう。

以上、良い点でした。では、以下には悪い点を。今作の悪い点は、設定がガバガバであるということと、面白そうなコンセプトをぜーんぜん活かし切れていない内容、この二点です。特に後者。

まず設定についてですが、今作はまるでご都合主義の塊のようなそうでないような、まあとにかくペラッペラな設定を基に話が構成されています。そもそも、ゾンビ発生事件はたかだか四十年程度前の事なのに、(政府含め)完全に忘れ去られたことのように扱われてるのはいくらなんでも無理がないかとか、だいたい再発生の可能性も充分あるのに充分な対策をとらず、ゾンビの存在を隠蔽扱いしてるくせにその対策ビデオを一企業の倉庫に放置しといて回収もしないとかいくらなんでも政府の対策がガバガバすぎないかとか、挙げ出せばきりがありません。

しかしまあ、それもコメディ寄りゾンビ映画だからと思えば許容範囲ではあります。真に問題なのはもう1つの方で、コンセプトは面白そうなのに、それを本編中に全く生かせていない、ということなのです。

 先に述べたとおり、そのコンセプトの良さから今作はかなりの可能性を秘めています。ゾンビ対策用のビデオが存在するということをキャラクターたちがアウトブレイク開始時点で知っている、という特殊な設定により、開幕直後からキャラクターたちを自然な流れで自由自在に動かすことが可能だから、というのがその一番の理由です。

ビデオを入手するために探索に向かわせることも出来れば、それを見て対策を練らせる時間を与えることも可能とキャラクターの行動を思うがままに出来、しかもそれをごく自然に流すことが出来る。まさに動かすも動かさないも製作次第で、情報の出し方によってはゾンビとのガチ戦闘から逃走劇、籠城戦、ワクチン作成まで幅広い動きをさせることも可能と、実に優秀なコンセプトだと思うのですが、今作ではそれを全く生かせていません

とにかく痛いのは、折角「この世界のゾンビに対する対処法」を記す術があるというのに、そのビデオに記されていたのはたかだか一般レベルのゾンビ対策の知識の域を出ておらず、目新しさがないということ。これが一番の問題です。これだと、そこらの「一般レベルのゾンビ知識で対処する」映画と何ら変わりません。しかもその内容自体もペラッペラで、そもそもこのビデオ存在する意味あるのか? というレベルの代物と来ていますからキツい。

他にも、キャラクターたちはガバガバビデオの行動をなぞるだけ、かつビデオ自体すぐ見つかるので可能性の割に話が全然広がらず、ゾンビたちはちょくちょく行動を止めてキャラクターたちがビデオ通りの行動をするのを待ってくれるため緊張感が皆無という問題も。総じて、折角ゾンビ対策用のビデオを出したのにその存在価値がクソというのはこの映画にとって致命傷だと思います。

今作を完走した感想ですが、面白そうなコンセプトが台無しじゃないか(激怒)です。いろいろな可能性を秘めているだけに、この程度の出来になってしまったのが非常に残念でした。せめて、対策用ビデオの内容自体がもっと充実していれば、キャラクターたちがそれに従って行動するのにも納得がいくのですが、この内容じゃあね……。コンセプトは本当に自分好みなので非常に惜しい気分です。

「過去に発生したゾンビの研究をもとに作られた映像作品が存在する世界で、今度は大規模なアウトブレイクが発生し、生存者たちがその映像作品を頼りに生き抜く」というコンセプトはそのままに、もっと内容を練った映画を出してくれる方はいらっしゃいませんかね?(期待)

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