「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

バトル・オブ・ザ・リビングデッド のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2008
販売 ミッドシップ

タイトルに「バトル」ってついてる割には全然バトルしてくれない映画のレビュー、はじまるよ!

早速スタートです。

レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

全速力で迫り来る大量のゾンビから目が離せないパニックアクション。極秘ウイルスの開発を進めていたアメリカ軍は、戦死した兵士たちの遺体を利用して最強の人間を造ろうとしていた。しかし、突然変異を起こした死者たちは凶暴なゾンビに変貌する。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………D
ゾンビの質………C
キャラクター……C
設定………………D

総合………………D+
おすすめ度………D

【良い点】
・グロシーンやゾンビの出来はなかなか良い

【悪い点】
・ゾンビの使い方が下手
・ストーリーが盛り上がり不足

ゾンビの出来はなかなか良く、グロシーンもかなり頑張っていたのに、後半はその見どころを自分から潰してゆくというトンデモ構成。見所もあるにはあるのですが、あまりおススメしないです。

【以下、ネタバレ注意!】

なんで自分から見どころを潰してゆくのか、コレガワカラナイ

さて今作ですが、今一度あらすじを見ていただきたい。あらすじには、軍が開発した新型のウイルスが死者をゾンビへと変貌させたので、軍はこの極秘プロジェクトの漏洩を恐れ、研究施設を爆撃しようとするが……とありますが、この展開は開幕5分で終了し、軍は研究所の爆破に即行で成功します。そのためこのあらすじ、内容的には確かに正しいんですが、今作のあらすじとしては適当ではありません

今作の真のあらすじは、「爆破された研究所からウイルスを持ち出した研究員が、自室で独自に研究を行っていたら、そこからウイルスが漏えいしてアパートでアウトブレイクが起きたので、こいつら外に逃がさないために全滅させなきゃ(使命感)」というものです。それを踏まえて、以下のレビューをどうぞ。まずは良い点から。

今作の良い点は、ゾンビやグロシーン自体の出来がかなり良いことです。

今作に登場するのはアグレッシブ系のゾンビで、冒頭のシーンでは走る、飛び超える、バク転を披露する等元気な姿も見受けられます。その機敏な動きから繰り出される攻撃と、なかなか良質なグロシーンに支えられ、バトルシーンはなかなか見どころがあって良かったと思いました。そう、バトルシーンは(意味深)

では続いて、悪い点を。今作の悪い点は、とにかくゾンビの使い方が下手すぎると言うことと、ストーリーの盛り上がり不足、この2点でした。先に「今作は見どころを自分から潰している」と言ったのは、主にこのせいです。

今作、アグレッシブなゾンビの出来自体はなかなか良くグロシーンも良好と、かなり光るものを持った作品なのですが、それはあくまでも前半、というより開幕数分程度にしか当てはまりません。今作は研究所におけるアウトブレイクで幕を開けるのですが、この部分は(中盤に映像記録として垂れ流される部分を除けば)わずか数分で終了し、その後は激長日常パートがありまして、やっとこさ本命のアパートアウトブレイク、という構成になっています。

まず問題なのは、研究所から薬を単身持ち出した主人公による研究・日常パート。これがもうとにかく無駄に長い。最初の方こそそこそこまともに研究してたり、隣人とのイザコザがあったりして見ていられるのですが、それがあまりにも長すぎるため一体ゾンビの再登場までどんだけ引っ張るんやとダレ気味に。

しかもその先には、「あーいけねー毎回部屋に鍵かけるの忘れるわ―」という主人公の意味不明な習性がきっかけで、留守中に部屋に入って来た浮浪者のオッサンに新薬を盗まれてアパートアウトブレイクが発生するというメッチャクチャな展開が待っているのですからもう目も当てられません。いったいどこの世に、軍から持ち出した極秘機密新薬の研究を部屋でしてるのに、毎回鍵かけ忘れるアホがいるんですか。

他にも今作の主人公は、新薬を投入した瀕死患者の看病、経過観察を放り出して女とイチャついたり、ということを平気でやらかすクッソ無能野郎なため、展開を引っ張りに引っ張った割には、無能主人公の不注意のせいでかなりあっけなくアウトブレイクが発生して完全に拍子抜けします。こんな無能が話の中心にいるわけですから、当然中盤は盛り上がる訳もなく
「ほんまつっかえんわ……つっかえ! 辞めたら? この仕事?」

ただ、この映画で真に酷いのはこの後の展開です。いよいよお待ちかねのアパートアウトブレイクが発生しアパート中にゾンビが! しかも今作のゾンビはアグレッシブ系だから、狭いアパート中を所狭しと駆け回り……ということはありません。それもそのはず、なぜなら今作、ステージの狭さとゾンビの比率を全く考えていないせいで、狭い廊下に大量のゾンビが出てきては、ほとんどのゾンビが後ろでノロノロ動くだけの背景と化しており、持ち前のスピードを生かした攻めを全く展開してくれないからなのです。

いや別に、ノロノロ動くなと言っているんじゃありません。ノロノロ系ゾンビは私も大好きです。ただ、早く動くのが基本の映画においてノロノロ動くのは完全に違和感満載ですし、なにより数合わせのためだけに背景に置かれている感が前面に出てきてしまっているのが実にまずい。これでは緊張感もクソもあったもんじゃありません。なぜ、アグレッシブさを売りにしたゾンビを出しておきながら、もっと配置や同時出現数を工夫しなかったのか。

咥えて、今作のもう一つの良さ、グロシーンの頑張りですが、これも後半のアパートアウトブレイク以降は微妙。今作のゾンビは、なぜか塩化アンモニウムが弱点という設定があるため、後半の戦闘は全てこの塩化アンモニウムに頼り切り。塩化アンモニウム入りのコンドーム爆弾で対抗したり、直接ぶっかけたりという絵面が大半を占め、喰らったゾンビは流血もなく苦しむだけなので、見どころのグロシーン・バトルシーンは殆どなくなってしまうのです。

対抗手段が存在するのは良いんですが、それを戦闘手段とごっちゃにしているのが今作の不味いところです。塩化アンモニウムに頼りすぎているせいで、ゾンビに対する銃撃戦はなし、格闘戦もほぼ無し、後半は流血も抑えられ、おまけにゾンビの大半が背景……これで盛り上がるはずがない。総じて今作、そこそこ良質なゾンビを作る術を持ちながら、それを全力でドブに投げ捨てているという驚異のバランス調整。

それともう一つ。今作のゾンビ、ウイルス感染で発生したものであるはずなのに、なぜか後半はいきなり別の生命体が乗り移っているのだという意味不明な展開が始まり、しまいにはウイルスに適合したヒロインがその親玉として「集団こそが完全な生命体の姿で云々」という御託を並べ始める
どこかで見たような展開
 R E C 

が始まるというどうしようもなさ。何だこの映画は……

総評ですが、まあ見れなくはないにしろ、内容は滅茶苦茶で盛り上がり不足な上、唯一の見どころを自分から潰していくという完璧なバランス調整が施されている映画でした。いやまあ、本当に見れなくはないんですが、もっとこう面白く出来ただろ、という要素がわんさかあるんで相対的に評価が下がってしまいます。とりあえず、スーパー無能なくせに有能と言わんばかりの態度とってる主人公は氏んで、どうぞ(死んだ)

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