「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アザーズ 捕食者 のレビューです(総合評価B-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2014
販売 アルバトロス

アルバトロスにしてはなかなか邦題センスいいじゃないの(微賛) なお、原題はBLACKJACKS. 今作において登場する特殊部隊の名前ですが、これよりは邦題の方が分かりやすくていいと思います。

レンタル版を吹替えで視聴しました。まずは予告編&今回はWOWOWオンライン先輩からあらすじをどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

謎のクリーチャーと傭兵部隊が閉ざされた空間でバトルを繰り広げるアクション。巨大な研究施設でトラブルが起き、研究員の救出作戦を依頼された傭兵部隊“ブラックジャック”。施設に潜入した彼らだったが、そこには無残な死体が散らばっていて…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………B
モンスターの質……B
キャラクター………C
設定…………………D

総合…………………B-
おすすめ度…………C

【良い点】
・モンスターやグロシーンの出来
・銃撃戦等をはじめ、細かな部分の描き込みが良く出来ている
・ストーリー構成がなかなかしっかりしている

【悪い点】
・謎設定の数々

不満点もややありますが、基本的には悪くない出来だったと思います。良くも悪くもモンスターの登場を引っ張る、キャラクターに霊能者がいる、異様に銃撃戦や行軍の描写が細かいなど、そこそこ見る人を選ぶ映画だったと思いました。少なくとも、モンスターと特殊部隊との派手なドンパチに期待していた層は脱落不可避でしょう。

【以下、ネタバレ注意!】

(クソ真面目な行軍シーンと、平行世界やら霊能者やらのオカルト要素のミスマッチ感が)あぁ^~たまらねぇぜ

さて今作ですが、「極秘地下研究所で原因不明の事故が起きたので、霊能者交えた特殊部隊で探索に行ったらそこには謎のモンスターがいて自爆」という、あらすじにあるとおり「なんでもありのB級映画らしい」映画です。その分、ストーリーは結構ありがち。

さて、では早速内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、モンスターやグロ描写の出来が良いこと、ストーリー構成の良さ、そして、銃撃戦や行軍シーン等の細かな部分の描写がしっかりしていることの3点です。

まずはモンスターについて。今作のモンスターですが、動きや質感等CGの出来はなかなか良好。サイズがあまり大きくないため、迫力がある、とまではいきませんでしたが、B級モンスター映画としては充分に見られる出来だったと思います。また、それに伴うグロ描写も、結構力の入った入れ具合でした。反面造形は普通で、シャイなのか、なかなか姿を見せてくれないという弱点もありましたが、その点はストーリー構成の良さで補われています。では次は、そのストーリー構成の良さについて一言。

今作のストーリーはいたって単純で、先に書いた通り何でもありな展開が基本であり、突拍子のある設定以外はあまり捻りもなくありがちな展開が続くのですが、その構成についてはなかなかお見事。前半はキャラ紹介や背景説明をメインとし、中盤は対人戦と探索がメイン、そして終盤はモンスターとの戦闘や脱出メインと展開がはっきり分かれており、その時間配分も良好でした。そしてこの展開の明瞭な分割化こそが、今作のモンスターが持つ「造形が普通」という弱点を補ってくれているのです。

以前にとあるモンスター映画のレビューでも書いたことですが、モンスターが1種類しか登場しない映画は、あまり前半からモンスターを出し過ぎると(よほど魅せ方が上手くない限り)終盤頃には視聴者がそのモンスターに飽きてしまうと言う問題を抱えていることが多いです。今作もその例に漏れず、メインの登場モンスターは1種類のみで造形も普通と、通常なら視聴者がすぐ見飽きてしまうような弱点を抱えているのですが、先述のとおり展開を分割し、あえてモンスターを終盤まで出さないことによってこの問題を解消しようとしています。

中盤の探索パートでもモンスターの存在を匂わせる描写はあるのですが、この時点では音や映像に映らない暴れが基本で、全体像を現すことがありません。そして「そろそろ出てきてもええんちゃう?」という絶妙なタイミングで登場してくれるため、造形は普通ですが特に飽きることもありませんでした。この、「モンスターは確かに存在するんだけど、姿を見せない襲撃が基本」という部分の配分は、短すぎず長すぎずでなかなか良かったと思います。反面、前半部分のキャラ紹介や背景説明は少し冗長気味でした。

そして最後の良い点、銃撃戦や行軍シーンのクオリティについて。これこそが真に、今作における一番の特徴だと思います。この映画の主役は特殊部隊ということで、当然行軍シーンや銃撃戦のシーンなども数多く含まれているわけですが、はっきり言ってそれらのシーンのクオリティはなかなか異常。モンスターを相手に斉射するシーンではもちろんですが、このこだわりが一番生きているのは中盤の対人戦シーンです。

ゲリラ(?)部隊を相手に銃撃戦を展開する際の陣取りやカバー、リロード、クリアリングや行軍動作にいたるまで、今作ではこれらの動作一つ一つがこだわりを持って製作されているのがすぐに分かります。この手のことには詳しくない私にも、そのこだわりはしっかりと伝わってきました。まあ、細かい動作や部分が正しいのかどうか私には判別できかねますが、大きな間違いはなかったのではないかなと思います。むしろ、特殊部隊等を題材にしてもこれらのシーンをおろそかにする映画が多い中、今作はかなり頑張っていると思いました。

では、良い点は以上でした。続いては不満点を。今作における悪い点は、説明不足な謎設定の多さです。

もう何度も言うように今作は割と何でもありな映画ですが、その「何でもあり」の部分に関する説明や整合性については、お世辞にも良く出来ているとは言えません。例えば今作一番のオカルト要素である霊能力者の加入ですが、彼女の霊能力設定についてはほとんど説明もなされないまま「まあこういう特殊能力持った人間もいるって! ちゃんちゃん!」というレベルの見事な丸投げ。

他にも、モンスターは平行世界から来たと言い出したかと思えば平行世界の説明は特になしだったりと、今作は「モンスターや霊能者は出したかったから出したけど細かいことはなーんも考えてないよ!」という丸投げ感がかなり強いです。モンスターはまだしも、特殊部隊をメインに置くのなら霊能者の説明や設定は丁寧にしないと視聴者が納得しないと思いました。ただでさえミスマッチ感が強いのに。このせいで今作、少しキャラクターが薄く感じてしまうのも問題点の一つかもしれません。

総評ですが、まあガバイ部分も多々見受けられますが、総じてしっかり作られたそこそこの良作だったのではないかと思います。モンスターの登場を引っ張り目にしたり、モンスターだけに頼らず他にもしっかりと見どころを作ったりと良く出来た部分も多くありました。問題点は、登場のさせ方は良いとしても、やはりモンスターの迫力のなさが気になってしまうところ、前半少し冗長なところ、謎設定の多さなどに集約されると思います。

特に、しれーっと霊能者が出てきて特殊部隊と共に活躍する部分は本当に人を選ぶと思うので、細かいことを考えずに楽しめる方にしかおすすめしません。とは言えなかなか面白かったので、気になった方は是非どうぞ。

>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊