国籍 日本
製作 2011
販売 ポニーキャニオン
例の有名な都市伝説を映画化した作品です。
レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ
【予告編】
【あらすじ】
” それは少女に突然掛かって来た電話から始まる・・・。「もしもし、あたしよ、メリーさん」それは彼女が引越しの際に捨てた、外国製の人形の名前・・・。「もしもし、あたしよ、メリーさん。今家の前に着いたよ」それは聞いた事も無い、幼い少女の声。「もしもし、あたしよ、メリーさん。今玄関。もしもし、あたしよ、メリーさん。今部屋の前に来たよ」慌ててドアを開ける少女、しかし誰もいない。ホッとした少女に再び掛かって来る電話。「いるよ。今、お前の後ろに」その電話はこれから起こりうる惨劇の序章に過ぎなかった・・・。誰もが知っている禁断の都市伝説「メリーさんの電話」をモチーフに究極の学園ホラーが誕生した!(C)2011「メリーさんの電話」製作委員会(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………C
ホラー度…………B
キャラクター……C
設定………………D
総合………………C
おすすめ度………C
【良い点】
・中盤のホラー展開は良好
【悪い点】
・設定ガバガバ
・ストーリーがペラッペラ
本編約60数分と短めの映画です。中盤はホラー展開の良好さからなかなか楽しめますが、前半の合宿シーンはテンポが悪く、後半は完全にギャグという恐ろしい采配なので、平均するとまあ普通と言ったところでしょうか。後設定はガバガバなのでご注意を。
【以下、ネタバレ注意!】
では早速。まずは良い点から行きます。
今作の良い点は、何と言っても中盤のホラー展開の良好さです。
この映画はいうまでもなくメリーさんを題材にしているのですが、それとは関係ない中盤部分のホラー描写はなかなか良好。どちらかというと音と映像の暴力でびっくりさせる系の怖さで、ネタ自体もなかなかベタですが、出来自体は悪くないです。深夜に一人で視聴補正を考慮しても、そこそこ良かったと言って良いでしょう(一敗)。
では、次は悪い点を。今作の悪い点は、ストーリーのペラペラさと設定のガバガバさです。特に設定のガバガバさは、「お前本当にメリーさん元ネタにする気あんのかよぉ!?」というレベルの戦犯。もう(メリーさん関係)ないじゃん。
さて、まずはストーリーのペラペラさについて……と始めたいところなのですが、今作においてはストーリーのペラペラさと設定のガバさには切っても切れない関係があります。何というか、設定がガバガバすぎて(特に後半は)思いつきレベルの展開の連続なため、否応なしに中身がスッカスカに感じてしまうと言いますか。
特に問題となるのは、そもそもメリーさんに関する設定がガバガバなのに、それを主人公が探索によって知っていく、という展開が一切なく、突如本気を出したお助けキャラがメリーの設定を全部ペラペラと話してしまうこと。これによって、このキャラが「説明のために用意されたものである」ということを強く感じてしまうどころか、話自体が非常に薄っぺらく感じてしまうのです。
もちろん、キャラ自体に設定を説明させるなとは言いません。言いませんが、間違いなく今作における一番重要な設定を、突然現れたお助けキャラがペラペラ話すだけ話して即退場なんてのはあまりにも安易すぎるでしょう。この手の作品における魅せ所の一つ、「どうしてこのような現象が起きているのか」「なぜあの霊はこのような行動を起こすのか」という謎を主人公が解明する部分を、自ら安易な説明で終わらせて潰しているのですからいけません。
これと併せて問題なのが、先ほどからさらりと触れているガバガバな設定です。今作においては、メリーさんはあの有名な都市伝説における人形のことではありません。その正体は「かつて実在した、メリーというあだ名を付けられ、いじめの末に殺された少女の霊」だそうです。つまり、誰もが知るメリーさんと作中のメリーさんは全くの別物という設定なのです。
これ自体は別にいいと思うんですよ、もはやこの時点でメリーさんを題材にする意味がありませんけど。しかし真に問題なのは、今作におけるメリーさんの設定がとにかくガバガバであるということです。
今作のメリーさんを象徴する要素は三つ。それは、「①斧を持っている②奇声をあげて走り回る③顔が焼け爛れている」こと。 もはやこの時点で意味不明ですが、恐ろしいのは、なぜ彼女が斧を持っていてしょっちゅう奇声をあげ、しかも火傷を負っているのかの説明が一切ないことなのです。
前述の通り、今作においてはメリーさんの正体は「かつていじめを受けていて溺死した少女」であり、彼女の死因どころか、過去に受けていたいじめにすら斧も火傷も全くの無関係。おまけに彼女、都市伝説のメリーさんとは全く無関係な存在でありながら、申し訳程度の元ネタリスペクトのためか、生前持っていたかどうかすら怪しい携帯電話を使った追い込みまでかけてきます。
この、生前の彼女とは全く無関係で突拍子な行動を繰り返すメリーさんの霊が暴れ回る後半など、もはや完全なるギャグ。中盤は音と映像に頼りながらも間接的なホラー表現を心がけていたのに比べ、後半はただただメリーさんが斧振り回して奇声を挙げながら追って来るだけですからね、一層ギャグ具合が加速しています。アクスマンかな?
総評ですが、オープニングと中盤を除けば酷い出来でありながら、本編が短いおかげでまあまあ楽しめる映画でした。そこそこ恵まれた中盤に比べ、前半はスローテンポで後半は完全なギャグと来ていますからね、良作という評価には程遠いでしょう。オチも非常にありがち&雑でした。
あまりおススメはしませんが、中盤のホラー描写はなかなか光る物があったと思うので、気になられた方は是非どうぞ。ホラー→ギャグへの転換が見事であることから、数人で見るのにも適した映画かもしれません。