「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゾンビ・ナイト のレビューです(総合評価B-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2013
販売 アルバトロス

久しぶりに真面目なゾンビ物が見たくなったので。

さて、いつもどおり基本情報収集の段階でYahoo!映画レビューやAmazon先生のカスタマーレビュー等々を見たのですが、どうも皆さんのレビュー内容が噛みあっていないなぁ……と思って調べたら、「ゾンビ・ナイト(今作)」「ゾンビナイト(別映画)」があるんですね。何とややこしい。

レンタル版を字幕で視聴しました。吹き替えはないです。まずはAmazon先生のあらすじと予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“生ける死者”の群れに埋め尽くされた町でサバイバルに挑む家族を描いたホラー。突然、世界中で死者が甦り人々を襲い始め、パニック状態になる。秩序を失ったカリフォルニアのある町で、パトリックは妻と娘と一緒に決死の戦いを続けていたが…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………B
ゾンビの質………B
キャラクター……B
設定………………D

総合………………B-
おすすめ度………C

【良い点】
・キャラクターが魅力的
・襲撃や戦闘が多いため、最後まで飽きずに見られる

【悪い点】
・設定が丸投げ
・展開が単調気味

「ゾンビ映画に何を求めるのか」「何を重視して見るか」によって結構評価が分かれそうな映画だな、と思いました。アサイラム&アルバトロスのタッグなのに内容がド真面目という意味でも。

かなり真面目かつなかなか丁寧に作られている映画なので、私のように真面目な雰囲気のゾンビ映画を求める方には(設定のガバさを除けば)結構おススメできます。何よりもキャラクターたちが良く出来ていると思いましたが、人によってはただの無能にも思えるでしょうからやはり万人におススメはしにくいです。しかし、敢えて言おう、ゾンビ入門用にはなかなかおススメであると。

【以下、ネタバレ注意!】

とりあえず、ネット上(Amazon、Yahoo映画等々)で見かけるレビューには否定的な意見が多かった気がしますが、個人的には結構楽しめました。真面目系ゾンビ映画は人によって評価が割れやすいという宿命。なので、以下のレビューも参考程度にどうぞ。まあ、いつものことですが。

さて、「アサイラム×アルバトロス」なゾンビ映画ということで、「あっ……(察し)」な方も多かったかと思われますが、予想に反して内容的には滅茶苦茶真面目な映画でした。まあ、真面目な割には設定ガバッてたりするんですけど、明らかに狙ったギャグシーンなどは皆無です。

さて、では内容も軽く分かったところで、早速詳細なレビューに入って行きましょう。まずは悪い点からです。

今作の悪い点には、設定がガバっていることと、展開の単調さが挙げられます。

まず展開の単調さですが、これが今作における一番の問題児です。今作は基本的に「主人公の一家」、「警官」、「お隣一家」の3つの視点から物語が進んでゆくこととなるのですが、わざわざ3つも視点がある割には展開のさせ方がかなり単調

とりあえず目に付く原因としては、ゾンビに関する謎の究明については生存者たちが一切の興味を示さない&生存者たちは一般人ばかりなため、生存を第一に考えて逃げ回っていることが考えられます。その結果として、ストーリーの大まかな流れが「ゾンビの襲撃→逃走→隠れる→ゾンビの……」のループに陥っており、ステージ移動や仲間の合流退場等のイベントがそこそこ頻繁に起こる割には話が全く進まないというような印象を受けてしまうのです。

まあ実際、彼らの目的は生存であって、ゾンビ化の原因を突き止めることでもゾンビを倒すことでもないわけですから、行動としてはこれが正しいんでしょうけれども。しかし、逃げてゆく中で少しずつ真相が分かったりする面白さというのが今作には一切ないため、「同じことの繰り返しで飽きてきた……」という事態に陥りやすい脆さは抱えていると思います。

そして設定について。先述の通り、今作では生存者たちがゾンビに関する真相の究明に全く興味がないため、ゾンビが発生した原因が全くの不明のまま終わります。ウイルスなのか呪いなのか、はたまた神話的な異形の神々の影響を受けてのものなのか、そのあたりも一切分かりません。そのため感染源についても不明、抗体が存在するのかも不明と、敵の正体が何から何まで謎のヴェールに包まれております。

つまり今作においては、ゾンビ化する際に必須となる「感染方法」がそもそも分からないのです。例えば、噛まれても無事な人間もいれば、噛まれてないのに撃たれて死んだだけでゾンビとして復活する人もいたり……という具合ですね。その割には、「日光浴びせると倒せる」というスーパーご都合主義設定が用意されていたりと、ゾンビに関して謎にさせたいのかどうなのかの姿勢に一貫性があまり感じられません。日光設定は完全な蛇足だと思う。

しかしまあ、(日光以外に)ゾンビに関する設定自体には大きな破綻は見られませんでした。噛まれても感染しないのはバイオハザードはじめ珍しいことではない(ウイルス性なら抗体持っている人間はいる)ですし、噛まれてなくても感染するのは墓場のゾンビが復活する時点で分かることで、かつ空気感染ということにでもしておけば辻褄が合います。そもそも、噛まれたからと言って本当に感染していない訳ではないですし。まあ、この辺りは語り出すとキリがなくなるので割愛。

要するにですね、今作は設定が崩壊しているとかそう言う意味でガバッているというよりは、単純に説明不足が過ぎてガバってるように見えるという部分に問題があるわけです。

ここまで若干手厳しく評価したつもりですが、反面今作にはしっかりと褒められる点も。それについては、以下の良い点で。

今作の良い点は、キャラクターの行動に好感が持てるという点と、イベントが多いため飽きずに見られるという点です。

まずはキャラクターについて。ここは本当に評価が分かれる部分で、私のようにこのキャラクターたちに魅力を感じた人がいる半面、「なんやこの無能共」と思った人もいるはずです。いや、むしろそう感じた人の方が多いかもしれないですね。

確かに今作のキャラクターたち、行動自体は割とガバガバで無能です。逃げてきた知人を家に入れてあげない、必死にバリケード抑えてゾンビの侵入防いでる人たちを尻目に自分たちだけ脱出と結構な自分勝手。おまけに、生存者はほぼ全員が一般人ということで、やること成すことお世辞にも優秀とは言えません。話を動かしているというよりは、終始話に動かされている感も否めませんでした。

ですがここで重要なのは、あくまでも彼らは何の能力も持たない、生存を第一に考えて行動するただの一般市民であるということ。基本的に彼らに出来ることは「ゾンビから逃げる」ことだけであり、戦闘もろくに出来ません。しかしだからこそ、無力な彼らが何らかの動機を持ってゾンビに立ち向かい、闘う姿は印象に残ると思うのです。

また、一見自分勝手に見える数々の行動も、実はその行動の根本にあるのが「大切な家族を守るため」であるというのも惹かれるものがあります。知人を見捨て、仲間を切り捨て、時には自分さえも犠牲にして大切な人を守ろうとする彼らの行動にはしっかりとした動機、一貫性があるためなかなか好感が持てました。確かにキャラクターたちの行動に問題のある部分も見受けられますが、それを差し引いても私はキャラは良かったと思います。

そしてここで、「単調な展開」がもたらす良い部分が生きてきます。確かに今作、展開は単調気味ですが、それは裏を返せば常にゾンビの襲撃と隣り合わせの状況が出来上がっているということ。そのため心が休まる暇がなく、無力な生存者たちが常に襲撃の恐怖に晒されている、この緊張感の演出はなかなか良かったと思います。

ポイントは、生存者たちは無力で、ゾンビに対するまともな対抗手段を持たないという部分ですね。このキャラクターたちあってこそ、この単調気味でも襲撃と隣り合わせの状況が生きていたため、ずっと飽きずに見ていられました。だからこそ言いたい。なぜラストシーンで無双させてしまったのか

総評ですが、ハマれば面白い映画。もうこれ以上言えることはないです。キャラクターたちの行動原理に共感を覚え、この襲撃と隣り合わせの状況を楽しめたのなら飽きずに見ていられるでしょうし、逆に「何やこの無能」とキャラの行動に共感できなかった場合は、単調な展開と説明不足の前に屈することとなるでしょう。

別にどちらが正しくて、どちらが間違いというわけではありません。とにかく言えるのは、人によって評価がかなり割れそうだということだけです。もしよろしければ、「見たけどクソだった」という方の意見も聞いてみたいですね。

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