「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

インド・オブ・ザ・デッド のレビューです(総合評価B)

インド・オブ・ザ・デッド (公式HPは→ こちら

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 インド
製作 2013
販売 オデッサ・エンタテインメント

最後はゾンビも交えて皆でダンスしそう(小並感)

というわけで、発表されてからずっと気になっていた映画です。レンタル版を視聴しました。吹替えはないです。まずはAmazon先生のあらすじと予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“インド初のゾンビコメディー映画、まさかの日本上陸! 恐怖と爆笑の痛快エンタテインメント!! 失職したハルディク、失恋したラヴ、そして彼らに巻き込まれた憐れなバニーは、ムンバイから「ヒッピーの聖地」として知られるビーチリゾート、ゴアを訪れる。3人は離島を会場としたロシア人マフィア主催のレイヴパーティーに忍び込むが、そこでお披露目された新型ドラッグは、食べた者がゾンビ化するという、とんでもない代物だった!(これが本当の「危険ドラッグ」!?)お金がなくてドラッグを買えず、ゾンビ化をまぬがれた3人だったが、周囲はゾンビだらけ!しかもゾンビに噛まれたらゾンビになってしまう!!3人は、ホラー映画で得た知識と、TVゲームで鍛えた射撃能力を駆使してゾンビたちに立ち向かおうとするが・・・!? 年間1000本以上の制作本数を誇る映画大国であるインドの歴史上、初めて誕生した「ゾンビコメディー」は、何もかもが斬新な未体験エンタテインメント!!ヒンディー語映画界の超人気スターであるサイフ・アリー・カーンがプロデューサーを務め、自ら野性的な「ロシア人マフィア」役を怪演するトンデモっぷり!!恐怖と爆笑のノンストップ痛快サバイバル活劇が、「グローバル化」の波に乗り、遂に日本を襲撃する!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………B
ゾンビの質………B
キャラクター……B
設定………………C
総合………………B
おすすめ度………B
【良い点】
・ギャグとシリアスの配分が良い
・キャラクターが個性的で印象深い

【悪い点】
・少し展開が強引
・各所に物足りなさがある

コメディのゾンビ映画でありながら、非常に丁寧かつ手堅く作られた映画です。構成やキャラクター、ゾンビの出来など、全体的にかなり良く出来ていますが、反面各所には少し物足りなさが。良く出来ていることに変わりはないので、ゾンビの入門用に、軽いノリのゾンビが好きな方に、リハビリ用にと、広く使える一本です。

【以下、ネタバレ注意!】

踊らなかった(小並感)

多分ですが、インド映画始めて見ました。インド初のゾンビ映画らしいですが、初ゾンビがコメディ物なのか(困惑) しかしそこはさすが映画大国、手堅い作りの良作に仕上がっておりました。

ではでは、早速詳細な内容を見てゆきましょうか。まずは良い点から行きます。

今作の良い点は、ギャグとシリアスの按配がなかなかバランスよく配置されていること、そしてキャラクターが魅力的であることです。

今作はコメディ映画でありながら、インド社会への風刺も織り交ぜつつ、かつしっかりとゾンビ映画的なシリアスさも兼ね備えた作りとなっておりまして、その点に関するギャグとシリアスの配分やバランス調整はかなり良く出来ていたと思います。

ぶっちゃけると個人的には社会風刺とかは正直言ってどうでもよいのですが、社会風刺一辺倒、ギャグ一辺倒、シリアス一辺倒など、どれか一つの要素に頼り切ることなく、それぞれの良さを引き出しながらもお互いに邪魔させることなく上手く纏めてきたのは流石だな、と感銘を受けました。

そして今作に登場するキャラクター、彼らもまた、このストーリー展開の良さにかなりの貢献を施しています。今作に登場する主要キャラを大きく分けると、主に「主人公3馬鹿チーム+ヒロイン」という構図と、「ロシアンマフィア+その部下」という構図に別れると思うのですが、今作におけるストーリーのギャグ:シリアス比を決めているのは他でもない彼らです。

ガチ戦闘の可能なロシアンマフィアたちが前に出て主導権を握る流れになれば物語はシリアス目に傾き、かと思うと3馬鹿が流れを持って行った瞬間に展開は一気にギャグに傾くなど、この辺りの物語の移り変わり、そしてその移り変わりを主導しているキャラクターたちの行動はなかなかに魅力的でした。特にラストシーン付近はこの傾向が顕著だったように思います。

やはり、「このキャラが動いたから展開が動いた」という実感を持たせてくれるのは、ストーリーとキャラクターとのリンクを感じられて良いな、と思います。

さて、以上は今作の良い点でした。では続いて、悪い点をば。今作の悪い点は、展開の強引さと、各所に感じる物足りなさです。

まずは展開の強引さについて。まあこれについては、「強引」というより「唐突」と言う方がいいかもしれません。今作ですね、基本的に張った伏線をその場で回収していくスタイルを採用しているせいで、どうしても展開が唐突、場合によっては強引に見えてしまうのです。中でも私が特に気になったのが、ラストの大量ゾンビ封殺のシーン。

今作におけるゾンビは(何故か)コカインが苦手、というより、コカインを摂取するとラリって動きが止まるという設定があるんですが、これが判明するのが終盤も終盤、かつものすごい唐突にこの弱点が判明するので、折角の盛り上がりそうなシーンがいまいち盛り上がらずに終わってしまうという残念さがあるんです。

この他にも「俺みたいなキャラはどうせ死ぬんだ」とメタい推理をしたキャラが、その後即座に友人にピンチを助けられてしまったり、というシーンもあり、もう少し伏線を寝かせてから回収してくれればもっと盛り上がるのになぁ、と思ったシーンもいくつか。まあ、これについては個人の感じ方の違いもあるので一概に悪いとは言えませんが。

そして各所に感じる物足りなさについて。今作は基本的に良作であることは間違いないと思うのですが、反面明確に「これだ!」という強みをあまり感じられなかったというのも事実。例えば、ギャグ:シリアス比が良いのは全体の纏まりとしてなかなか良いのですが、ギャグとしては少しお行儀よく纏まり過ぎていてはっちゃけ不足な気がしましたし、シリアスとしても見どころはありますが死亡シーンが極端に少ないため他作に比べても見劣りしたり、等々。

ギャグもシリアスも中途半端、とまでは言いませんし、どちらもなかなか高い水準で纏まっているとは思うのですが、例えばショーン・オブ・ザ・デッドなどに代表される他のゾンビコメディに比べて明確な強みは何かと言われると少し答えにくい部分がある、と私は感じました。作中に他のゾンビコメディ映画に対するオマージュシーンがある分余計に意識させられてしまいましたし。

総評ですが、かなりの高水準で纏まっている一方、少し物足りなさも感じてしまう1作、という評価に落ち着きました。無駄に期待しすぎた部分もあるかとは思いますが。あまりコメディ一辺倒を期待して見るのではなく、コメディの中にもしっかりとしたシリアスが光る1作、という位置付けで見る方が楽しめるような気がします。

余談ですが、総合評価をB-にしようかBにしようかで死ぬほど悩んでいたのですが、結局作中に流れた音楽が良かったのでBにした、という割とどうでもよい事実があったということだけを最後にお伝えしておきます。

ババヂキブーヂー
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