「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ビギニング・オブ・ジ・エンド のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 カナダ
製作 2009
販売 アートポート

終末感漂う、一風変わったゾンビ映画です。

Amazon先生の販売ページが機能していなかったため、販売元が曖昧です。レンタルDVDだと手元にパッケージがないもので……。確かアートポートさんだったはず。

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずは予告編をどうぞ。

【予告編】

ストーリー………D
ゾンビの質………B
キャラクター……C
設定………………C

総合………………C-
おすすめ度………D

【良い点】
・ゾンビの出来は良い
・終末感が良く演出されている

【悪い点】
・話に無駄が多い、というより無駄しかない
・設定は面白そうなのにそれを有効に使えていない

ゾンビが湧き出てきて、生き残るためにさあどうする、というありがちなパターンでなく、ゾンビが発生するまでを主眼においた、一風変わったタイプのゾンビ映画です。アイデアや設定には面白い試みもみられますが、とにかく話に無駄が多いため人を選ぶタイプの映画であることは間違いないと思います。

【以下、ネタバレ注意!】

別に駄作だとは思わないのですが、なんというかいろいろと惜しい映画だと思いました。

なんてオブラートに包んだコメントなんて何の面白味もないので、素直に感じたことをぶっちゃけて書きます。個人的にはあまり好きなタイプの映画ではないです。正直、一時間経過したあたりで完全に飽きました話に無駄が多すぎるんじゃあ

では早速、詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、ゾンビの出来がなかなか良いということと、終末の雰囲気は良く演出できているということです。

まずはゾンビについてですが、今作のゾンビの質はなかなかに高いと言って良いと思います。正直アクターの動き自体は微妙と言わざるを得ず、ゾンビとの数少ない戦闘シーンでは画面ブレが酷いなどの欠点も目立ちますが、それを差し引いてもしっかりとしたゾンビメイクには好感が持てました。ラストの大量ゾンビ戦は、この映画における数少ない見どころの一つになっていると思います。

続いて雰囲気について。今作は世界中に謎の疫病(?)が発生して人々が次々と死に絶える中、生き残ったキャラクターたちの奔走する様を主に描いた作品となっています。そのため、話の大半はキャラクター同士のやり取りや会話シーンなどに割かれているわけですが、そこから滲み出る終末感や絶望感の演出は良く出来ていると思いました。

具体的に何がどう終末感があるのかと言われると説明が難しいのですが、キャラクターたちの言動や性格が、死人たちが歩くこの荒廃した世界の雰囲気と合っている、とでも言いましょうか。個人的にこの映画は好きではなく、話のテンポが悪いので途中で完全に飽きたわけですが、これがあったおかげで最後まで見られたのだとすら思います。雰囲気って大事ですよね。

では、良い点は以上です。以下には悪い点を。

今作の悪い点は、とにかく話に無駄が多いということと、面白そうな部分をほとんど活かせていないということの二点です。

まずはどうしても気になってしまう話のグダグダさについて。今作、確かに終末感は良く演出されているため、話の要所要所、ワンシーンワンシーンを切り取って見てみればなかなか良作の香りがするのですが、これを全部繋げてみるとまあ話がごっちゃごちゃ

ところどころ入る謎演出もそうですし、無駄に登場人物を出してみる、無駄に話を盛り込んでみるなどしたせいで、話が膨らむどころか本筋の流れがいちいちブツブツと断ち切られている感じがしてしまいました。とりあえず全体のバランス無視してやりたいことをいろいろと詰め込んでみました感が強く感じられたので、展開一つ一つの出来はともかく、これを一連のストーリーとして見るとかなり無駄が多くて微妙だと言わざるを得ないと私は思います。話のテンポも悪いですし。

しかし今作において、最も残念なのはそこではありません。それは、今作における面白そうな設定や要素というのが、ことごとく上手く使われていないことなのです。例えば、ゾンビが少しずつ進化していって人間を襲うようになるまでを描くという一風変わったコンセプト、これだけ取ってみてもなかなか面白くなりそうなのですが、今作は特にこのコンセプトの扱い方がもうまるで駄目。

ゾンビが徐々に進化してゆく、とゾンビにスポットを当てている一方、結局はゾンビ映画によくある人間同士のやり取りやイザコザがメインとなってしまっており、しかもスポットを当てているはずのゾンビの扱い方が非常に雑であるため、珍しいコンセプトの割には新鮮味がほとんどないというか何というか。

ちなみにゾンビの扱いが雑というのは、例えばせっかくゾンビの発生を描いた作品であるのに発生源が謎のままであったり、きっかけが何もないのに突然人を襲うようになるなど進化のさせ方が雑だったり、特に前半部分はゾンビが完全に空気だったり、という具合です。せっかくゾンビを出している以上、もっとこれを有効に使って欲しかったなと思いました。

総評ですが、コンセプトやアイデア自体は面白く、終末感の漂う雰囲気やゾンビの質など良い部分も確かにあったのですが、ゾンビ映画としてはまるで駄目。せっかくの面白い設定を、そしてなによりゾンビと言う主役を蔑ろにし過ぎだと思います。

「ゾンビの発生自体はあくまでも終末感を強く出すための演出に過ぎない」と言われたとしても、これでは正直ゾンビでなくても「ヤバい感染症が流行った」で良いレベルの内容にしかなっていないと思います。せっかくゾンビを出したのですから、これを緊張感の演出や話を盛り上げるのに使わない手はないでしょう。ここさえもっと有効に使えていたら……と思うと残念でなりません。

ラストの大量ゾンビ戦の迫力はなかなか良かっただけに、むしろなぜそこに行きつくまでの出来はここまで残念なのか、と逆にがっかりしてしまいました。こんな理由があって個人的には好きになれませんが、この雰囲気が合う人には結構楽しめる映画かもしれない、とも思います。興味があれば、是非見てみてください。

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