国籍 アメリカ、カナダ
製作 2011
販売 ビデオメーカー
地雷臭が凄いですね。
レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。
【あらすじ】
“墜落した人工衛星が運んできた 宇宙からの恐るべき侵略者 そのバクテリアは金属を生命体に変え 自在に変型・合体を繰り返す体長5メートル 恐怖の殺人ロボット“アイアン・ゴーレム” “鋼鉄の巨人”に狙われた時 人々に生き残る道はあるのか? アメリカ北西部アイダホ州に、ロシアの人工衛星が墜落。残骸を拾ったジェイクとイーサン兄弟は、それをスクラップ屋のアールに売り渡す。 変人のアールは、クズ鉄を溶接した体長5メートルの“アイアン・ゴーレム”というオブジェを製作していたが、その鉄の巨人が突然動き出し、町の人々を襲いはじめた!!それは衛星に付着して飛来した、金属を生命体に変える宇宙バクテリアの仕業だった。襲われた人々はバクテリアに感染、無惨な死を遂げてゆく。イーサンも犠牲となり、人々は絶体絶命の危機に追い込まれた。鋼鉄の魔物を倒すため、ジェイクは決死の戦いを挑むが……。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………B
ロボットの質……C
キャラクター……B
設定………………D
総合………………C+
おすすめ度………C
【良い点】
・話のテンポが良い
・ロボの出来が良い
・キャラが魅力的
【悪い点】
・ロボのコレジャナイ感
・設定ガバガバ
なんというか、もう本当にいろいろと惜しい映画です。残念な点も多々ある一方、しっかりと良かった点もあるので、個人的にはなかなかおススメ。
【以下、ネタバレ注意!】
なんというか、あらすじやパッケージを見ただけでは誤解されそうなのですが、今作は別に宇宙から巨大ロボットが攻めて来る映画ではありません。宇宙から攻めて来るのはあくまでも金属に寄生する特性を持った宇宙バクテリアであり、これがたまたまド田舎に置いてあった巨大ロボットのオブジェに寄生して暴れ回る、という展開の映画です。なんて都合の良い
では早速、今作の良い点悪い点を見てゆきましょう。まずは、良い点から行きましょうか。
今作の良い点は、話のテンポが良いということ、キャラクターがそこそこ魅力的であるということ、そしてロボのクオリティがなかなか高いことの三点です。
まずは展開について。今作は「バクテリア襲来→ロボに寄生→ロボ暴走→撃破」という実に捻りも何もないストーリーとなっておりますが、冗長さやだるさはほとんどなくテンポ自体はなかなか良好。ロボも空気を読んでか積極的に襲撃してくれるため、基本的には最後まで飽きずに見ていられました。
また、今作は割と設定で押してゆくタイプの映画でもありました。なぜこのロボ(に寄生したバクテリア)は人を襲うのか、バクテリアにはどんな特性があるのか、その弱点は……? ロボとのバトルだけではなく、この辺りの疑問が少しずつ解けてゆく、というプロセスを踏んで話が展開してくれたことも、飽きずに見られた要因でないかなと思います。
次に、キャラクターについて。今作のキャラはみんながなかなかに個性的で、かつそこそこ有能だったということも話を盛り上げるのに貢献してくれています。バトルシーンはともかく、どうしても会話重視となってしまう謎解きパートの出来は、キャラクターの好感度、有能度に左右されてしまいますから。
特に、生物学者であるヒロインと、機械工である主人公のコンビは結構マッチしていてよかったと思います。ヒロインは謎解きパートの鍵を握る人物である一方、好奇心旺盛でしっかりと自分からも行動してくれるタイプのため、ダレがちな謎解きパートもしっかり楽しめました。こういうヒロイン像、いいと思います。
そして、もう一つの大事な要素であるロボットの出来について。どうせ安っぽいCG丸出しの動きなんだろと思っていましたが、始まってみるとこれが結構良好。さすがに某トランスフォーム映画には圧倒的に劣りますが、B級映画としてこれだけのクオリティがあれば問題ないだろう、という出来には仕上がっていたと思います。やはりロボが見たくてこの映画を見たわけですから、ここは純粋に嬉しかったですね。
さて、それでは以下には悪い点を。今作の悪い点はロボットのコレジャナイ感が強いということと、設定がもうガッバガバであることの二点です。「いやいや、さっきどっちも褒めてたやんけ」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、とりあえず以下にその理由を書いてゆきます。
まずはロボット。確かに動きは良好なんですよ、やっすいCG臭さもなくて。アップで撮った時の様子も、腕先の細かな動作なども、B級映画としてみれば個人的には大満足の出来です。なら、一体何が気に入らないのかというとですね……それはロボットの主な攻撃手段を「触る」ことにしてしまった点なのです!
本編を見た方ならお分かりでしょうが、今作のロボに憑りついたバクテリアには、人間を襲うきちんとした理由があります。それは、人間の血中に含まれる金属分を養分として吸収すること。そのためバクテリアは、ロボットに寄生してそれを操りつつ、その表面に常駐する事で、それが人間に触れた瞬間人間にも寄生し、血管の中に入り、内部の血液を凝固させ対象を死に至らしめる……というような攻撃方法をとるわけですが、これがまあとにかく地味。
こっちは巨大ロボが暴れ回る展開を期待して映画を見ているのに、そのロボの攻撃手段は人間の表面にさっと触り、バクテリアを寄生させることだけ。物を持ち上げることも走り回ることもせず、ただひょこひょこと二本の足で歩き回り、触り、またとろとろと歩いてゆく。これでは一体、何のために二足歩行型ロボを出したのか、その意味が全くありません。
今作のお話では、暴れ回る対象はその辺の鉄屑でも、クルマでも、テレビでも、要するに金属なら何でも良いわけです。わざわざその中からロボを選んだ以上、もっと二足歩行型ロボにしか出来ない動き、戦闘を盛り込んでほしかった、と思いました。
そして、この映画の設定について。今作は割と設定で押してゆくタイプの映画だ、ということは先ほど述べました。確かに今作、バクテリアの特性や弱点を掴もうという流れで展開してゆき、そのあたりがきちんと説明されるのですが、正直言ってその設定内容はもうガバッガバ。
「バクテリアは金属を栄養にしている=人間の血中にも金属が含まれてるから、人間を狙ってくるんや!」という説明自体には納得いきましたが、そのくせバクテリアたちはその辺の車やスクラップ、鉄屑、粉砕機などの金属の塊には目もくれず、ただ一心不乱に人間の血中に含まれる僅かな金属分目がけて突撃してくるのです。こいつら本当に繁殖する気があるんでしょうか。
他にも、車に乗っている人間は狙うのに車自体は一切狙わなかったり、貧血の人は血中の金属の含有量少ないから寄生されないという謎設定を持ち出したりともうやりたい放題。「バクテリアの弱点はアルコールやったんや!」とB級映画御用達のありがちなオチに行きついてしまったのも、安易でテンションが若干下がりました。寄生生物のアルコール弱点率は異常。
総評ですが、巨大ロボットを出したくせに異常に地味な映画でした。街中の金属に寄生してみたり、建物の一つも壊してみたりと、もっと暴れて欲しかったと思います。予算がなかったのでしょうけれど。
ただし、キャラクターとテンポの良さに助けられ、映画自体は最後まで飽きずに見られたため、個人的にはなかなか満足の行く一本でした。