「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

恐怖のツイート つぶやく谺 のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 JAPAN
製作 2011
販売 アルバトロス←こマ?(驚愕)

Amazonの販売ページを見て、販売がアルバトロスだったということを初めて知りました。なお、パッケージが「顔芸じゃねーか!」という意見は受け付けません。

レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。

【あらすじ】

“Twitter”に潜む恐怖の呪いを描いたホラー。ツイート仲間のオフ会でアンナという女の子に出会ったマモル。しかし、フォローしていない彼女をいつの間にかフォローしたことになっており、さらにその日から次々と恐怖のツイートが入るように…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………C
キャラクター……C
ホラー度…………D
設定………………D

総合………………D+
おすすめ度………C

【良い点】
・飽きる前に終わる(本編44分)
・ネタとしては結構面白い

【悪い点】
・設定がガバガバ
・ホラー演出が酷い

本編わずか44分とかなり短い映画です。もしこれが90分映画だったらと思うとゾッとするほどの内容なので、これくらいの時間で良かったのではないかと思います。なお、ホラー演出をはじめとして内容的にはかなり粗が目立ちますが、そんなことを気にする前に終わってくれる&ネタ的な意味でなかなか面白いので、おすすめ度は若干高めに設定しております。ホラーに期待している方はスルーでよいかと。

【以下、ネタバレ注意!】

結論:ツイ廃こわい

「今作はどんな映画なんですか?」と聞かれれば、「女の幽霊がツイッターのストーカーをしながら、複数垢爆撃を繰り返しつつ狙ってる男のフォロワーの首を淡々と切り落として行く映画」と答えます。いや、真面目に。大量のサブ垢から繰り出される電波状況無視の爆撃行為は、まさにツイ廃の姿でしょう。

こんな感じの内容なので、今作を見る上では多少ツイッターに関する知識が要求されます。本編が44分程度とかなり短いので、ツイッターをやったことがない、ないしその仕組みをよく知らない人にとっては、何が起きているのか理解する前に映画が終わる可能性すらあります。

もしどうしても興味のある方は、予習されてからの視聴をおススメします。まあ、一番のおススメはスルーですが……。

では早速、詳細な内容を見てゆきましょう。とりあえず悪い点からいきます。

今作の悪い点は、設定がかなりガバガバであるということと、ホラー演出の酷さです。

まずは設定について。今作の事件の真相をざっくりと説明しますと、「学生時代、主人公に怪我をさせられてピアニストとしての道を断たれ自殺した少女が、主人公に復讐するため、彼の身の回りの女性を片っ端から片付けてゆく」という感じになります。今作の主人公は何よりも孤独を恐れるため、幽霊少女は彼と繋がりのある人物を消してゆくことにより彼を孤独に追い込み、精神的にダメージを与えてゆこうと考えたわけですね。

とまあ、この映画の設定は大体こんな感じなのですが、これがどうも腑に落ちない点が多すぎるのです。そもそも、この少女が主人公に恨みを持ちながら自殺したのはかなり昔の事であり、なぜ今更復讐を始めたのか、という点が真っ先に思い浮かぶ疑問でしょう。

また、なぜか彼女の中では「主人公とつながりのある人物=彼のツイッターのフォロワー」という定義で固まってしまっているというのも大きな疑問。もちろんフォロワーの中には、主人公と一度も会ったこともなければ、リプライを飛ばしあうほどの仲でもない、本当にフォローしあっているだけの関係の人物もたくさんいます。本当に主人公を孤独に追いやるのが目的ならば、そんな薄い関係の人間よりももっと先に始末すべき人物はたくさんいるはずなのですが……。

この辺りの疑問から、今作は「ストーリーを盛り上げる演出としてツイッターを使っている」のではなく、「ツイッターを使いたいがためにこんなストーリーにした」のだということが丸分かり。もちろん、この手の作品ではこんなことはザラでしょうが、今作はそれがあまりに露骨すぎるのです。かなり昔の死者がいまさら、しかも何故かツイッターのフォロワーを対象に殺しを始める理由など、「製作側がツイッターを使いたかったから」というメタい理由が一番しっくりくるということは明白ですから。

次いでホラー演出についてですが、これもまた酷いもんです。今作は基本的に

…①幽霊に目を付けられる
→②怪奇現象が起きる
→③ZANSYU☆

のパターンで凝り固まっているので、一人目はまだしも二人目以降は何の驚きもインパクトもなく、しかも肝心の斬首シーンはバッサリとカットを喰らっているため面白味もないというどうしようもなさ。その他にも、ギャグかと見紛うような配置で生首を置いてみたり、幽霊が自らの境遇をベラベラと喋ってみたりと、ホラーを作る気があるのか疑うレベルの救いようのなさ。どうしてこうなった。

とまあ、ここまで酷評の嵐ですが、今作にもしっかりと良い点が。それは、本編が短いため飽きる前に終わるという点ももちろんながら、ネタとしてはなかなかに楽しめるという点です。

この「ネタとして」というのは、なにもふざけた視点で見た時だけのことを指しているわけではありません。幽霊の設定はガバガバですが、孤独を恐れる主人公への復讐が、彼の身の回りの人物を殺して回ることだったというテーマ自体は悪い発想ではないですし、その「彼の身の回りの人物の数」をツイッターのフォロワーと設定することで、孤独に陥って行く過程を数字で可視化出来たことは面白いなと素直に思いました。この辺りをしっかりと整えて、設定を煮詰めていれば、もっと面白い映画になったかもしれません。

なお、この映画をギャグ的な視線で見た時にも、サブ垢爆撃、電波無視爆撃、生首顔芸、ゲイ殲滅宣言などなど見どころは割とあります。途中で何度も笑いました。笑うべきシーンではないのだと思いますが。

総評ですが、本編が短くなければ即死だった。コンセプトとしては悪くない部分も見えるため、作りの粗さが気になってしまう映画でした。

とは言え、本編自体は一時間もないため、軽い気持ちで見てしまっても傷は浅く済むでしょう。さあ、レッツレンタルですよ。

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