「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

オープン・グレイブ ー感染ー のレビューです(総合評価C−)

国籍  アメリカ
製作  2013
販売  エイベックス・ピクチャーズ
 てっきりゾンビものかと思って見たのですが、内容的にはサスペンスかスリラーといったものでした。
 レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“死体に埋め尽くされた穴の中で、男(=シャールト・コプリー)が目覚める。 男は記憶を失っていて、自分の名前すら分からない。 穴を這い出した男は深い森の中、近くの建物を見つけ、そこで3人の男、2人の女に出会う。 その内4人は記憶を失っており、唯一、何かを知っているらしいアジア人の女性は口を利くことが出来ず、読めない文字を紙に書き綴る。 ただひとつの手がかりとして、そこにあるカレンダーの「18日」に丸がつけられていた。 6人は周囲を探索し、森の中に、何らかのウイルスに感染して凶暴化した<異形の者たち>が棲んでいることを知る。 自分たち以外に<非感染者>はどこにもいない。 6人のそれぞれは徐々に、ラテン語など数ヶ国語を話せる者、銃の扱いが体に染み付いている者、など、 自分の性質や能力を把握していくが、状況への謎は深まるのみ。 互いへの疑心暗鬼が膨らんでいく…。 世界がこうなったのはなぜなのか? その過程で自分が果たした役割は何なのか?そしてなぜ、全員が記憶を失ったのか…?(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………D
キャラクター……C
演出………………B
設定………………C
総合………………C−
おすすめ度………C
【良い点】
・演出の出来が良い
【悪い点】
・中盤の話の進まなさがすごい
・緊迫感が足りない
 AmazonやYahoo!映画のコメント欄などで目に付いた評価は割と好印象なものが多かったと思いますが、私的には合いませんでした。中盤の話の進まなさに余裕で耐え抜くことが出来る人であれば、なかなか面白いのかなと思います。
【以下、ネタバレ注意!】
 ストーリー展開自体はなかなか良く出来ていると思うのですが、いかんせん中盤が……。

さて今作、予告編やあらすじを見ていただければ何となく察せると思うのですが、内容的には戦闘や逃走シーンよりも、次々に浮かび上がる謎を解明するということに重点が置かれている映画です。「感染者」と呼ばれる敵の造形も極めて人間に近く、設定上もゾンビというよりは病気にかかった人間という立ち位置でした。

個人的にはゾンビものを期待していたのでこの辺りの設定は意外でしたが、これはこれでストーリーとマッチしていて良かったと思います。

内容についての簡単な説明はこれで終わるとして、では早速、その中身を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、演出の仕方が上手であるということです。

映像作品における演出の大切さについては、私が語ることなどおこがましいので省きたいと思うのですが、とりあえずこの映画の演出はなかなか良く出来ていると思います。

カメラワークひとつとってみても、こだっている姿勢は充分に伝わってきますし、全員が記憶喪失かつ謎が次々に提示されてゆくというややこしい設定でも、見ている側の頭を混乱させることなく、分かりやすくスッキリとまとめ上げている。これは展開のさせ方が良かったということもさることながら、記憶の欠片を思い出すあたりのまとまった演出のさせ方が良かったからだということも言えるのではないかな、と個人的には思います。

そして何と言っても今作一番の見どころは、荒野で無造作に投げ捨てられた大量の死体を、主人公たちが発見するというラストシーン。空撮で死体の山を映し出すことにより、それまで森の中という狭い舞台でしか展開されていなかった話が一気に広がる、という魅せ方には感銘を受けました。タイトルのOPEN GRAVE(開けた墓)の意味にも納得させられたところでエンディングに入るという演出は、本当に良かったと思います。

なお、自分は英語の理解度がガバガバなので、こんな訳で合っているのか不安な模様

では続いて、悪い点を。今作の悪い点は、中盤の話の進まなさと、緊張感不足であるということです。

今作、演出のさせ方が上手であることや、謎が次々に提示されること、序盤は探索メインで、皆が行動してくれること等があって、序盤はなかなか楽しんで見ていられるんです。しかしそれも、三十分も時間が経てばいよいよ限界。最初の感染者が登場するまでの約一時間、正直飽きずに見ていろという方が無理があるレベルで話が進まないんです。

しかも感染者登場以降も、基本的に主人公たちの拠点は感染者対策を施されているため襲撃されることもほとんどなし。序盤に提示された謎が解けるでもなく、中盤はただただ間延びした展開が続きます。終盤、これらの謎は一気に解け、話は劇的に進むわけですが、中盤で削ぎに削がれたテンションはかなり致命的で、お世辞にも終始楽しんで見れたとは言えませんでした。

また、中盤の見せ場であろう、お互いの疑心暗鬼が深まって行くあたりの演出ですが、これがどうもパンチ力不足。皆主人公が怪しい怪しいと言い始めるわけですが、正直彼が感染者を治療している側の人間であるということは丸分かりなので、ここでまたテンションが下がってしまいます。

もしこの中盤に、感染者の存在を上手く使えていれば、また印象は変わったかもしれません。今作が、感染者との戦闘や逃走シーンをメインにしたものでないということは百も承知ながら、あえて言いたい。戦闘が少なすぎると。

せっかくの感染映画で、かつ感染者は狂暴という設定があるのだから、これを上手く使わない手はないと思うんです。中盤のダレそうになるあたりで、感染者による襲撃シーンを一つ挟んでみたり、彼らが家を取り囲んでいて、いつ襲撃を受けるか分からないという緊張感を演出してみるだけで、見ている側が受ける印象はかなり変わったはず。もちろん、戦闘メインの映画ではないので、それをメインにして描く必要はないと思いますが、緊張感を醸し出す道具の一つに利用するくらいのことはして欲しかったかな、と思いました。

総評ですが、光るものも感じられる一方、中盤に受ける印象で評価ががらりと変わる映画だと思います。中盤も楽しんで見られた、ないし苦痛に感じなかったという人なら評価は高そうですが、私のように中盤で飽きが来てしまったという人には、あまりおススメできない映画だと感じました。

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