「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ひきこさんVSこっくりさん のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 日本
製作 2012
販売 インターフィルム

ひきこさんとこっくりさんをバトらせようという、非常に単純なコンセプトの映画です。しかし蓋を開けてみれば、どうしてここまで酷く出来るのかという内容の……。

レンタル版を視聴しました。まずは予告編&Amazon先生のあらすじからどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“女子高生の沙織(阪本麻美)は幼い頃、その存在を信じると、死ぬまで引きずられ続けるという妖女「ひきこさん」に襲われたが奇跡的に生還した過去があった。 そんな沙織は、とある事件をきっかけに再び「ひきこさん」を呼び起こす事となる。 それは、同級生の恵美(野崎亜里沙)が陰惨ないじめを受け、復讐のために行った「こっくりさん」がきっかけであった。 恵美はこっくりさんの根源である狐の霊に憑りつかれ、いじめっ子たちを次々に呪い殺していく。 その復讐に巻き込まれた沙織の深層心理で眠っていたひきこさんの呪いが反響する。 そして互いが邪魔になったひきこさんとこっくりさんが、ついに現世で対峙することとなった! !(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………D
モンスターの質…D
キャラクター……C
設定 ………………C
総合………………D+
おすすめ度………D


【良い点】
・中盤の盛り上がり

【悪い点】
・前半と終盤の脚本
・バトルシーンの雑さ


「ひきこさんVS口裂け女」の時もそうでしたが、なぜ両者をバトらせるという超単純なコンセプトなのに、ごちゃごちゃと余計な飾りつけをして台無しにしてしまうのか。ひきこさんとこっくりさんの出来が残念なことはまだ良いとしても、とにかく脚本が酷すぎる。余計な話ばかり付け加えている余裕があるのなら、その時間をバトルシーン等に割いてほしかったです。

【以下、ネタバレ注意!】

こっくりさん「ひきこがあんなに強いなんて聞いてない(ガン切れ)」

こっくりさんが完全にかませ犬だった(悲しみ)

今作、コンセプト自体は非常にシンプルで、かつ視聴者には「ひきこさんVSこっくりさん」というバトルを見たい人が大半なため、普通に作ればそこそこ面白いものが出来ると思うのですが、どうしてこうなったのか。

さて、酷評は後に取っておくとして、とりあえず良い点から行きましょう。今作の良い点は、こっくりさん召喚~ひきこさん覚醒までの中盤の盛り上がりがなかなか良いということです。

序盤の展開はまあ置いておくとして、中盤、こっくりさんが召喚されてからの展開はなかなか見もの。こっくりさんはこれまで、妖怪の中でも低級の霊だと馬鹿にされてきたという背景があり、妖怪界でもかなり上級の霊である(という設定の)ひきこさんをわざと覚醒させ、それを打ち負かすことで下剋上を果たそう、というのが今作のストーリーです。

「何だこの滅茶苦茶なストーリー」と思いますが、これはこれでなかなかはまっているんです。低級霊というレッテルを貼られ、虎視眈々と下剋上を狙うこっくりさんと、その遥か上空に君臨するひきこさんとの対決。この構図は(ホラー映画としてはともかく)なかなか燃え上がりました。

では続いて、悪い点を。今作の悪い点は、前半と終盤の脚本が目も当てられないということと、バトルシーンの雑さです。

今作、中盤だけは話が多少盛り上がるのですが、それ以外の脚本はまあ酷いの一言。まずは前半、今作は露骨ないじめシーンの連続からスタートするわけですが、もうこの時点でテンションは駄々下がり。気分が悪くなるというよりも、単純に長いんですよ。ここまで尺をとる必要が果たしてあったのかと疑うほどに。

そんなテンションの下がるゾーンをなんとか抜け、こっくり召喚とひきこ覚醒を経てテンションが上がってきた終盤、ついに事件は起こります。虎視眈々と下剋上を狙うコックリさんなのですが、もうびっくりするほど弱いんですよ。確かにひきこさんが強すぎるのはありますが、それを差し引いてもとにかく弱い

最も驚くべきことは、今作が「下剋上を狙うというストーリー+VSという名前」を冠していながら、最初から最後までこっくりさんが優位に立つ瞬間はないということ。今作において、終始こっくりさんはただの噛ませ犬であり、結局おいしいところは全部ひきこさんが持って行く&ひきこさんの一人勝ちに終わるという誰がどう見てもひきこさん贔屓の脚本は、今作における一番の癌です。

こんな脚本ですから、バトルシーンが雑になるのも必然と言えるでしょう。お互い睨み合ったかと思えば、始まるのはお粗末な引っ掻きあい+ぐだぐだ極まりない取っ組み合い。お互いの持つ個性的な能力を使う場面はほぼなく、もちろんその間ひきこさんは常に優勢。こんなものを見せつけられて、視聴者が納得するとでも本気で思ったのでしょうか? だとしたら、本当にセンスがない。

「こっくりさんが格上のひきこさんを召喚し、下剋上に挑む」というストーリーにしたのならば、当然そのための戦略を練り、相手の弱点を調べ、己を鍛え、せめて格上の相手に一矢報いるだけの花を持たせてやる必要があります。しかし今作においては、こっくりさんは一矢も報いることのないままひきこさんに打ちのめされ、挙句には人間に破れるという不遇っぷり。また、そのこっくりさんを焚き付け、己の目的のためだけに利用した女も、結局はひきこさんになす術のないまま殺されて終了。王道展開も、燃えるバトルも、あったもんじゃありません。だれですか、この酷い脚本を考えたのは(憤怒)

総評ですが、ホラーとしても、バトルものとしても三流以下の産廃。下剋上というコンセプトは非常に良かったと思うだけに、なぜこのようなひきこ一辺倒のストーリーになってしまったのか、非常に悔やまれます。せめてこっくりさんがひきこさんと相打ちに持ち込むorお互いいい勝負になる、という程度の展開でもあれば、評価はかなり変わったと思うのですが。

見る価値など、ほぼないと言って差し支えないでしょう。

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