「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

クネクネ のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 日本
製作 2010
販売 ビデオメーカー

あの有名(?)な都市伝説である、クネクネを題材とした映画です。「クネクネってなんぞ?」という方は、是非ググってみてください。

レンタル版を視聴しました。まずは予告編&Amazon先生のあらすじからどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

インターネットを中心に流布している都市伝説“クネクネ”が映像化!夏休み、千里は母・良子と再婚相手の浩平、その娘の遥にキャンプに連れ出される。車でキャンプ場に向かう途中、道に迷った浩平は通りがかりの民家の男に目的地までの道を尋ねるが、男は問いには答えず、「帰ったほうがいい」と呟くだけだった。男の様子を不審に思いながらも、結局この村のはずれでキャンプをすることになるが…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………D
キャラクター……C
設定………………D
ホラー度…………D

総合………………D
おすすめ度………D

【良い点】
・飽きる前に終わる(本編50分)

【悪い点】
・未完成エンド
・ノリで作ったレベルの設定
・お粗末な演出

何をとっても標準以下の出来としか言えません。視聴時間は通常の映画の半分程度で済みますが、あまりに酷いので見る価値は全くないでしょう。

【以下、ネタバレ注意!】

「あんた、見たらあかんよ(直球)」
「クネクネを見てはいかん!(直球)」

この忠告は素直に聞くべきだと思った。

演出が怖くないだとか、説明台詞が満載だとか、設定が適当過ぎるだとか、途中で投げ出したレベルの脚本だとか、とにかくもういろいろな要素が相まってただただ順当につまらないとしか言えない映画でした。まあ、これで終わってしまうのも味気ないので、取りあえずどのあたりが悪いのか詳しく見てゆきましょう。

あ、良い点は本編が短いので、飽きる前に終わってくれる、ということしかないです。このクオリティで90分映画だったらと思うとぞっとします。

さて、では早速。今作の悪い点は設定のガバさ、お粗末な演出と、未完成ではないかと思われるレベルの終わり方、の三点です。

まずは設定について。クネクネは一時期、ネット上で爆発的に広まった怪談話、いわゆる都市伝説の一種ですが、その内容をあらかた理解していなければならないので、取りあえずWikipediaの記事から概要を引用したいと思います。それによるとクネクネとは

「・色は白い。稀に黒いくねくね(らしきもの)を見たという話もある。
・人間とはかけ離れた動きで体をくねらせる。
・真夏の水田や川原など水辺で目撃されることが多い。
・くねくねを遠くから眺める程度では問題は無いが、詳細が判る程に見つめて、それが何であるかを理解すると精神に異常を来たす。
・既にくねくねの存在を知っている者(地元在住の老人などのパターンが多い)から「もしそういう物を見たなら近づいてはいけない」「見てもその事は早く忘れなさい」と警告を受ける。」

という部分が共通して語られている、とされています。

では、この映画に登場するクネクネとは、どのようなものだったのか。簡単に言うとその正体は、『白い服を着た血まみれの女の亡霊』でした。

この時点で「随分改変したなぁ」と思わないではありませんが、まあこの程度では問題ないのです。今作一番の問題は、この映画のクネクネは一切クネらないということなのです!

この映画においてクネるのはクネクネを目撃した本人のみであって、見ると精神異常を来たすとかいう設定はガン無視。しかもクネクネを見た本人は身体をクネらせて死亡した後、なぜか復活して人間を襲い始めるという完全な蛇足設定付き。

これらの改悪&蛇足設定から発生する問題としては、主に二つが考えられます。まず一つは、「クネクネ=女の亡霊」という明確な正体を設定してしまったということ。

クネクネという怪談において最も恐怖を感じる点は、その正体が全くの謎である、という部分だと思うのです。ふと外を見れば、謎の物体が不気味な運動を繰り返しており、それを見ると発狂してしまう。対抗策も正体も、どんな形をしているのかも分からない。ただそれが、休むことなく身体をくねらせ続けている、ということ以外は……。

このような、正体不明の恐怖を売りにした怪談を取り扱っておきながら、その正体を作中で明確にしてしまう、というのはあまりにも配慮不足かつセンスがないと私は思います。

二つ目の問題点は言うまでもなく、この映画のクネクネ像がクネクネの特長を全く捉えていないということです。クネクネ最大の特徴は、身体を不気味にクネらせていること、というのは周知のとおりですが、クネクネを題材にしておきながらその最大の特長を消したというのは、もはや呆れるを通り越して意味が分かりません。ウルトラセブンにアイスラッガーがないか、もしくはアイマスに我那覇くんが登場しないレベルの暴挙ですよ、これは(熱弁)

他にもこの映画においては、ラストが未完成レベルの代物であるとか(雨降ってきて終わり)、ホラー演出がびっくりするほどお粗末、というような悪い点はもちろんあるのですが、クネクネ本体の改悪っぷりに比べれば、これらなど些細な問題でしかありません。

それでも一応述べておくと、ホラー演出については「クネクネの犠牲者が復活して襲いかかってくる(動きがぎこちない)」、「死亡したはずの人がピクピク動いている(復活の前兆だと分かっていても笑わずにはいられない)」、「一方的に長々と説明するだけのクネクネ正体ご披露会」など、もう目も当てられないレベルの酷さ。

ラストについても、「クネクネは水のあるところにならどこでも現れる」という設定を利用し、「空から雨が降ってくる=逃げ場がない=絶望」ということを表現したかったのだと思うのですが、そのブツ切り感があまりにもひどすぎて笑ってしまうというお粗末さ。これについては、もう本当に擁護のしようがないです。

総評ですが、50分映画でよかった。もしこの酷い内容を90分に引き延ばすor雨が降って来てからクネクネと戦う展開でも盛り込まれていようものなら、総合D-は免れなかったでしょう。なんにせよ飽きる前に終わるので、お手軽に救いようのない酷さを満喫することの出来る映画でした。

あんた、見たらあかんよ(警告)
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