「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

JUDGE/ジャッジ のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 日本
製作 2013
販売 東宝

何がびっくりしたって、これにBlu-ray版があるってことでした。まあ、私の近所のレンタル屋にはDVDしかなかったわけですが。Amazonには売ってましたよ、興味のある方は是非。

それと、この映画には原作(漫画)があるそうなのですが、そちらについては未読なので、あくまで以下のレビューは原作知らない視点からのものとなります。あらかじめご了承ください。

レンタル版を視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“七つの大罪を背負った罪人たちが、何者かによって閉ざされた空間に集められた。 頭には異様な動物のマスクをかぶせられ、手には毒薬を仕込まれた手錠…。 生き残りたければ、それぞれの罪人の罪の重さを制限時間内に多数決で決定しなければならない。 票を多く集めたものには贖罪のチャンスは与えられず、死の制裁が下る!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………
サスペンス度……
キャラクター……
設定………………

総合………………C-
おすすめ度………

【良い点】
・時間が短い(77分)

【悪い点】
・特に捻りもなく心理戦が皆無なストーリー
・全編監視カメラ映像という無駄設定

本編が短い以外に良い点などありませんが、個人的にはそこそこの水準で纏まっている映画だったのではないかと思います。半面しっかりと悪い点はあるので、それが足を引っ張っていた感は否めません。

【以下、ネタバレ注意!】

「僕は罪なんて犯してません!」(ウッソ並感)

VガンダムBlu-ray化おめでとうございます(無関係)

Vガンの話は置いておいて、早速。今作ですが、Yahoo!映画レビューやAmazonレビュー、どこを見ていても酷評の嵐でした。個人的には「そこまで酷くないな」と思って見ていたので少しびっくり。

こう書くと、「どうせ出演者の中に好きな役者がいたんだろ」と思われそうですが、私は役者などほとんど知らないもので、そういう視線でもありませんでした。

ただ、最初に言っておきたいこと。それは、面白かったかつまらなかったか以前に、確かにこの映画を見る価値はないということです。その理由は後々お話しするとして。

ではまず、悪い点から行きましょう。今作の悪い点は、心理戦要素が皆無であるということと、全編監視カメラ映像という設定が完全に足を引っ張っているということです。

まず、今作における心理戦について。今作はソリッド・シチュエーション・スリラー、要するに固定された状況下でのスリルある展開を売りとしているはずなのですが、この映画にスリルなどという言葉は必要ありません。それは、とにかく今作の登場人物には(一名以外)アホしかいないからなのです。

主人公は「自己投票続ければ皆助かる!」を連呼するだけで、それを実現させるための具体案を何一つ出さず、彼以外は状況に流されやすい上に私欲の塊という無能ばかり。充分な議論が出来ないうちに時間切れが来てしまい、誰が誰に投票するのかは毎回完全な運ゲーという酷い内容。

この、皆の投票先をどこにさせるか、という状況をいかにコントロールするかがこの手の投票ゲームの醍醐味だと思うのですが、今作においてはそれをしようとする人物が具体案も出さない無能な主人公くらいしかいません。

要するに、みんながみんな自分の好きなように投票するため、その結果が非常に読みやすいのです。そのせいで今作では、毎回の投票結果に何の驚きも得られず、「どうせこいつ死ぬんでしょ?」と思った人物が順調に死んでいきます。これではスリルという言葉と無縁になるのも頷けます。

次に、今作の謳い文句でもある「全編監視カメラ映像」という部分について。今作は確かに全編監視カメラ映像、まあ正確には各所に設置された小型カメラなんかがほとんどでしたが、その言葉に嘘はありませんでした。しかしどうもこの部分、この映画の足を引っ張っているように思えて仕方ありません。

寄り添うような臨場感を演出したかったのか、このゲームを開催する黒幕の視点から演出したかったのか、はたまた予算の都合か、どれが正解なのかは分かりませんが、演出面から見ればこの措置は明らかに失敗です。

まず、監視カメラというように撮影方法を限定してしまった時点で、その部屋の外に話が広がりません。そのせいか今作、最後まで登場人物たちが一箇所に集められたことの意味や、どのように集められたのかについてなど、黒幕に関する部分が完全に不明瞭なままで終わるのです。これは明らかに失敗ですね、話が全く盛り上がりません。

また、監視カメラを銘打っているくせに、基本は何かに取りつけられた小型カメラがメインなので、画面が動く動く。そのくせ映像は汚いため、普通に撮影してくれた方が何倍もマシでした。

この点についてはPOV(一人称視点)映画でもそうですが、わざわざそのような撮影方法をとる意味というのを、「低予算だから」以外でキチンと用意してほしいものです。そうでなければ単純に見にくくなるだけですし、自ら設定の説明がしにくくなるという枷を付けているだけにすぎません。わざわざ監視カメラを使うのならば、それを利用したトリックのようなものを用意しておいてほしいものです。

と、これだけ辛辣な意見を並べた上に、良い点など時間が短いことと、それに伴って必然的にテンポが良くなること以外にはない今作ですが、それでも私が今作をC-と評価するのには理由があります。それは、今作のキャラクターやストーリーについて、どこか安定感のようなものを感じるから、とでも言いましょうか。

主人公は偽善者を装っていながら、自分の思い通りにならないとすぐ切れる、物に当たる、最後には相手を殺すことも厭わないという正真正銘のクソ野郎ですし、ヒロインも自分が可愛いだけで何でもかんでも人のせいにし、最後には自滅するというクソビッチの鑑のようなキャラクター。ストーリーは意外性も捻りもなく、ライアーゲームの超劣化版とも言うべき内容。

しかしそれが逆に、着飾らなさのようなものを演出できていたのではないかと個人的には思うのです。例えばストーリーについて。今作は心理戦もクソもないような内容でしたが、だからこそ余計なことを言う奴から順当に死んでゆく「ああ、やっぱり」というある種の共感のようなものは得られます。

そしてこのようなストーリーだからこそ、主人公たちが善人の皮を被ったクソ野郎だったという設定が生きてくる。彼らが死んだりすることも「まあ、妥当だな」と受け入れることが出来、変に不自然な結果とならない。人間の本性を正確に描けている、という評価には程遠いですが、それでも今作、ストーリーとキャラクターのバランスがなかなかに良い気がします。身の丈に合っていると言いますか、安定感があると言いますか。

ただし注意しなければならないのは、安定感がある=今作が面白い    ということには決してならないということです。私はまあまあだという評価になりましたが、前述したような悪い点は目立ったままですし、事実ストーリーもテンポが良いだけでつまらないのですから。

総評ですが、個人的にはそこまで酷い出来ではなかったと思うものの、この手の映画としては意外性もドキドキ感もなく、見るだけ時間の無駄である、という評価に落ち着きました。私のように、面白くなくはなかったという評価になったとしても、新しい試みも目を見張る演出もなかったわけですし、肝心の監視カメラ設定は完全に失敗でしたから。暇つぶしにはなったとしても、収穫はほとんどないと言ってよいでしょう。

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