国籍 フランス、モロッコ
製作 2010
販売 アットエンタテインメント
どうでもいいんですけど、「生還率1%」っていう煽りはひぐらしを思い出します。
レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじと予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
1960年、アルジェリア。フランスの軍用機がサハラ砂漠に墜落した。その機が輸送していたものは、フランスで初めてとなる核実験の機密文章であった。軍は、直ちに墜落現場とされる地域“ゾーンA”に救助部隊を派遣。しかしその部隊は、たったひとりの生存者を残し消えた…。生き延びた兵士の証言から砂漠に潜む恐ろしい存在が明らかに。目に見えない“何か”が彼らを襲ったのだ!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー…………D
モンスターの質……C
キャラクター………C
設定…………………C
総合…………………D+
おすすめ度…………D
【良い点】
・心理描写はなかなか上手い
【悪い点】
・とにかくテンポが悪い
・盛り上がりがなく退屈
「思ってたのと違う」というのが率直な感想です。モンスターパニック的な要素だとか手に汗握るバトルだとかは全くといっていいほどないので、そういったものを期待して見ると終始退屈で終わるでしょう。
内容的にはかなりテンポが悪いですが、それなりに見どころもなくはないです。ただ個人的には最後までスローテンポで退屈でした。
【以下、ネタバレ注意!】
主人公の所属部隊だけでも2名も生還してるんですがそれは……。
さて、内容がどうだとか言う前にとりあえず言っておきたいのは、パッケージと煽り文句と予告編とあらすじが悪いということです。
本編を見てみると分かるのですが、(煽り文句以外)これらはいずれも間違っていません。確かにパッケージにいるような敵は出てきますし、あらすじも間違いはありません。ただこれらを見て、見る側がどんな内容を想像するかということと、その実態があまりにもかけ離れすぎているんです。
この映画は、銃を持った兵隊たちが見えない敵との壮絶なバトルを繰り広げる……というような内容では決してありません。見えない敵――
精霊
――が仕掛けてくるのは、人間たちの恐怖や怒りを煽り、互いに争わせるという間接的な行動に過ぎず、直接攻撃してくることは一切ないんです。しかも兵隊から彼らは見えないので、怪物に向けて銃を撃つシーンもゼロ。彼らはただ成すがままに、怪物たちに弄ばれます。
このため、モンスターとのバトルを想定して視聴してしまうと、どうしても期待はずれな評価になりやすいと思いました。私もその口です。
ではそれを見越して、早速詳細な評価に入って行きましょう。まずは良い点から。
今作の良い点は、心情関連の描写がなかなか優れているということです。
先に述べたように、今作におけるメインはモンスターバトルではなく、登場人物たちがいかに恐怖や怒りに支配されてゆくか、という部分にあると思うのですが、この辺りの描写はなかなか丁寧で良かったと思います。
自分の嫌いなものを見せられて発狂、思い出したくない過去の記憶を呼び覚まされて正気を失い、罪の意識を過度に刺激されて精神を壊される。半ば強引とも思えるシーンもありましたが、基本的にこの辺りの描写は丁寧に成されており、また強引と思えるシーンも精霊たちによる作用のせいだと考えればそれなりに納得も行きます。総じて、悪くはなかったのではないでしょうか。
良い点は以上です。続いて悪い点を。
今作の悪い点、それは盛り上がりに欠ける上に、とにかくテンポが悪いので退屈で飽きてきてしまうということです。
普通のモンスター物なら、大抵はモンスターがなかなか出てこなくて、というような話になるのですが、今作はそんな生ぬるいものではありません。全編通して最初から最後までとにかくスローテンポなので、かなり退屈してしまいます。かと言って、もう全く面白くないというわけでもなく、それなりに見れてしまうというのがまた苦痛。
この原因はいくつかあるのですが、まず一つは無駄な話が多いということでしょうか。この映画がモンスター物であるということは揺るぎのない事実だと思うのでその前提で書くのですが、まず砂漠の中での行軍シーンが長すぎます。もっと言えば、敵部隊との邂逅や戦闘シーンももっと削れるはずです。というより、この敵部隊は完全に空気なので、正直いりません。話が間延びしてダラけるだけでした。
さらに、もうこれ以上はそもそもの話になるのですが、核実験どうこうの件はどう考えてもいらないと思うんです。怪物たちはどうも、これを阻止するために輸送機を墜落させたり、機密文書の入ったアタッシュケースを破壊させたりしようと試みているらしいことは分かるのですが、明らかにこれだけが映画の題材から浮いています。
そのくせ、隊員たちは核実験に関しては全然触れてくれないし、そのことに疑問を持って云々、という展開もなし。しかも、それを阻止しようとする怪物たちの動機もよく分かりません。そもそも彼らがどうやってケースの中身を知ったのかも不明ですし、なぜわざわざ一人一人を狙って仲間割れを狙うのかも意味不明。どうして、一気にかたを付けないのか。
つまるところ、精霊たちから本気でアタッシュケースをどうにかしてやろうという気概が感じられないんですよね。アタッシュケースを狙っているのか、隊員たちを殺したいだけなのか、よく分かりませんでした。
精霊くん! 舐めプはやめよう!
とまあ、基本的に精霊たちは舐めプ気味で、直接対決もなければ切羽詰った演出もなく、ずっと同じようなことの繰り返しで不気味さや恐怖さがほとんど伝わってこないという部分に起因する盛り上がりのなさが非常に致命的です。これとテンポの悪さが相まって、かなり冗長に感じました。
総評ですが、見どころはあるにはあるけれど、とにかく退屈な映画でした。一番の問題はテンポが悪いことですが、それに加えて終始盛り上がりに欠けるというのが退屈さを助長していたように感じます。
咥えて、かなり話がごちゃごちゃしていた印象があるので、もっと話をシンプルにして「砂漠に墜落した飛行機の乗組員たちが、心を惑わせる謎の怪物たちに立ち向かう」というような話の方が面白かったと思います。酷評するほど悪くはないんですが、ネタにも出来ない微妙な映画でした。あまりおススメはしないです。