「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

脱出ゲーム ZERO のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 日本
製作 2011
販売 おそらくジョリー・ロジャー

Amazon先生にあらすじどころか販売元すら載っていないとは。簡単にあらすじを説明すると、密室に囚人6人が連れてこられて、恩赦をかけて脱出ゲームするって感じです。

ストーリー………
キャラクター……
サスペンス度……
設定………………

総合………………
おすすめ度………


【良い点】
・話はポンポン進むので飽きない

【悪い点】
・設定崩壊が目に付く
・内容的に色がない

各所で『エグザム』という映画に似ていると言われていましたが、私自身はその映画を見たことがないのでその点に関してはスルー。話さえ受け入れることが出来れば、そこそこ面白いかと思います。

【以下、ネタバレ注意!】

『ハワイで親父に撃ち方を習ったのよ(超拡大解釈)』

とりあえずタイトルの「ZERO」は、パッケージ的にも『CUBE ZERO』のパクリであると考えてよろしいですね?(威圧)

と思ったら、コメントにより『脱出ゲームDERO』のパクリ説が浮上しました。おそらくこっちですね。

さて、詳細なレビューに入る前に、まずはあらすじを捕捉したいと思います。上記のあらすじにもある通り、今作は囚人が密室から脱出するという話なのですが、こうなった経緯についての補足です。

舞台となるのは、死刑制度が廃止された近未来の日本。しかしそれにより囚人の収容率は500%を突破しました。その対策として取り入れられたのが、『アムネスティ』という制度です。これは受験を希望する囚人にとある試験を課し、それに合格すれば恩赦不合格なら処刑というものでした。

もうお分かりでしょうが、今作の登場人物たちはこの怪しげな試験を受ける囚人達です。そしてその試験の内容とは、60分以内に恩赦状を持ってメインゲートへと辿り着くこと。しかしそのためにはまず、この狭い密室から出なければなりません。

彼らに一つずつ与えられたのは、中身不明のボックス。それは彼らをサポートするものだと試験官は言います。ただし、他人の道具に触れてはいけないこと、またそのボックスは時間差で一つずつ自動で開くというルールがあり、守らなかったものは即失格とも。果たして彼らはこの密室を抜け出し、無事恩赦を勝ち取ることが出来るのでしょうか?

長くなりましたが、捕捉はこんなもんですかね。では早速、詳細なレビューに入って行きましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、話のテンポ自体はそこそこ良いということです。

あらすじの補足でも書いた通り、今作には細々とした設定がありますが、それらも含めて展開のスピーディーさはなかなかです。面倒くさい説明はさらっと、しかし確認の意を込めて後からも説明することにより、ゲーム自体のスタートは結構早め。

ゲーム中も、ボックスの解放というイベントを要所要所に散りばめ、常に残り時間を意識させることで緊張感を煽り、あえて成功条件を提示しないことで見ている側に「このゲームはどうすればクリアになるのだろう?」と考えさせるという構成。

かなりヨイショしましたが、詰まるところ飽きずに最後まで見られるということです。本編の時間が短いと言うこともあり、なかなか楽しめました。

では続いて、悪い点をば。今作の悪い点は、多少設定のガバりが目に付くということと、映画として平凡すぎるということの二点です。

まずは設定について。今作は世界観が簡単な説明だけで終わりにされてしまうため、いまいち納得できない点も多々あります。例えば、「アムネスティ」という今作の肝となる制度について。補足にも書いた通り、アムネスティは死刑廃止の影響で収容しきれなくなった囚人をどうにかするための制度ということらしいのですが、もはやこの時点で突っ込みどころが満載

そもそも、死刑を廃止しただけで収容率500%越えとなる前提自体にかなり無理があるということには目をつむったとしても、その代替策としての制度が処刑を伴うものということには突っ込まざるを得ません。死刑を廃止した結果が処刑、何という本末転倒。

まあ、これも皮肉の一部かも、と好意的に捉えたとしても、死刑復活をせずに恩赦制度が採用になったという経緯にもかなり無理が感じられてしまいます。要するに、世界観設定が薄く非現実的ということ。

これら世界観に関する設定の他、本編中の設定にもガバさは目立ちます。例えば、制限時間残り一分だというのに明らかに数分間経過していること、囚人たちの我慢を試すための制度だと言いながら、死人を出す気満々のトラップを運営側が仕掛けてゆくこと(神経ガス)などなど。とりあえず、設定についてはわりとガバッていますね。サスペンス性が低いのもこれによる弊害が大きいです。

しかしまあ、いっそそれらには目をつぶりましょう。今作における最大の問題点は、内容的に目を見張る部分がないということです。

ストーリーのテンポ自体は良いのですが、予定調和的で意外性はあまりなく、オチが読みやすいという部分もある一方、かといってつまらないわけでもない。キャラクターも可もなく不可もなくな感じですし、設定もガバさは気になりますが目をつぶってしまえばそれまでですし……という具合で、「この映画ここは良かったよな」と言える部分が全くといってよいほどないのです。色がない、とでも言いましょうか。

総評ですが、面白くなくはないし飽きずには見られるけれど、見る価値があるかと言われれば返答に困るタイプの映画です。ですが内容的にもそこそこ楽しめるので、興味を持たれた方はどうぞ。

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