「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

JIGSAW ゲーム・オブ・デス のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2006
販売 ア ル バ ト ロ ス おまたせ

なんか見たことあるタイトルですねぇ……。
ちなみに原題はARE YOU SCARED

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。

【あらすじ】

大ヒットスリラーシリーズ第2弾。工場の廃墟に集められた6人の男女。彼らは謎の支配者から、敗北すれば死ぬというゲームを強要される。それは、自分が一番恐いと思うシチュエーションを再現し、その恐怖が克服できれば勝ちという過酷なものだった…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………
キャラクター……
設定………………
サスペンス度……

総合………………
おすすめ度………

【良い点】
・話のテンポが良い
・ゲーム内容が凝っていて面白い
・ヒロインが有能でイラつかない

【悪い点】
・突然ストーリーや設定がガバる

いきなり強引な展開になったり設定がガバったり、キャラクターが無能行動を取りだすことなどに目をつむればなかなか面白いです。タイトル的にもパッケージ的にもSAWのパクリですが、前作JIGSAWと違い内容もそれにかなり準拠したものでした。

【以下、ネタバレ注意!】

殺しを続けていれば娘が釣れると思った(意味不明)

まるでジュラル星人並の回りくどさだぁ……。

さて、今作は見ての通りSAWのパクリ映画であり、内容的にもしっかりと(?)それに準拠しています。具体的にはあらすじにあるように、廃工場に集められた六人が、自らの最も怖いものに立ち向かうゲームを強いられる、というもの。もちろん負ければ死確定。

では早速、良い点悪い点を見てゆきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、話のテンポが良いこと、ゲーム内容がなかなか凝っていること、ヒロインが有能なことの三点です。

まずはストーリー自体について。先に述べた通り、今作はかなりSAW的な内容となっていますが、これがとにかく話がポンポン進んでくれるので見やすいのです。今作のストーリーの軸となるのは、ゲームを強いられる六人の話と、殺人犯を捜査する刑事の話の二つなのですが、このどちらもがダラダラと引き延ばされるということもなくほどよい配分で展開されるため、見ていてもなかなか飽きません。

しかしなんと言っても重要なのは、ゲームの内容が凝っているということ。今作のゲームは適当に作られているわけではなく、SAWのようにその人物の過去の背景や、彼らが恐怖に思う対象をテーマとして、一人一人丁寧に作られています。

例えば、暗闇が怖いと言った人に対しては、暗闇の中をトラップを避けながら進むゲーム、兄を失うのが怖いと言った人には、自分か兄かどちらかを殺さないといけないゲーム、という具合。やはり、その人物の背景に立脚したゲームというのは、なかなかハラハラとした気分と興味を持って見ていられますね。また、ゲームを通してそのキャラクターの個性を見せているのも良い手法だと感じました。

まあ、中には「何やこのクソゲー」と思うものもありましたが。

そして最後、ヒロインについて。今作に登場するキャラクターは割と無能の集まりですが、ヒロインはなかなか良かったと思います。とにかく強気で、行動を起こしてくれるタイプ。自分から皆を引っ張る……というわけにはいきませんが、確実に話を動かしてくれる、主人公に打ってつけのタイプの人でした。その行動力の高さから、ヒロインへの好感度はかなり高かったです。

「は? じゃあなんでキャラクターの評価がなんだよ」という疑問については、以下の悪い点で。

では続いて、悪い点について。今作の悪い点は、いきなりガバるストーリーについてです。

今作、ゲームはなかなか面白いし、ストーリーのテンポは良いし、ヒロインは有能だし、とB級パクリ映画としてはかなりの高水準で纏まっているのですが、一つだけ看過できない不満が。それは、ゲームの主催者に魅力が全くないという点です。

本家SAWを見たことのある方ならば分かるかと思うのですが、このような殺人ゲームを強要する形の作品では、ヒロインや他のキャラクターたち以上に、ゲームを開催するキャラに魅力がないといけません。魅力といっても、「こいつマジで嫌い」という負の方向性でも何でも良いのです。とにかく、そのキャラクターに興味を持たせる何かがないと、それまでのゲームが急に無価値に見えてしまうと思うのです。サスペンスドラマの犯人の動機が重要であるのと同じような理由だと思います。

その点今作の主催者の動機は、もう本当に酷いの一言。なんと、「自分を裏切った娘(ヒロイン)と妻に復讐したかったんだけど、居場所が分からなかったから、二年間てきとーな人間を殺人ゲームにかけ続けて、娘が罠にかかるのを待ってた」とのこと。

ここで、たいていの人はこう思うでしょう。「娘に復讐することと殺人ゲームやることに何の因果関係があるの?」そうです。その疑問は当然です。しかし残念ながら、その答えは分かりません。なんか、こうしてれば娘が釣れると本気で思ってたらしいですよ? 実際釣れちゃいましたけど(困惑)

また今作のゲーム主催者、テレビ番組の撮影という形で参加者を応募し、その応募にかかった人物たちを殺害していったのですが、それを二年間続けてバレないというのが意味不明です。警察君、ちゃんと職務を果たそう!(煽り)

そして、ここで問題がもう一つ。さきほど、ゲームの内容はその人物の背景に合わせて作られており、なかなか凝っていると書きましたが、主催者がこれでは急にこれまでのゲームが無価値に思えてきます。なぜなら、彼が殺したい対象は娘と母親だけだったため、他のキャラを殺人ゲームにかける動機が一切ないからです。

もう百歩譲ってこれまでの二年間のゲームには価値があったとしても、本命が釣れた今回のゲームに限っては本気で意味不明と言わざるを得ません。念願の復讐対象が釣れたのだから、他の人物はそっちのけで彼女にだけゲームをさせればよいではないですか。なんで他のキャラを殺す必要があるんですか(正論)

また、ゲームを一度クリアしたキャラクターに対して、後ろから首を絞めて殺害するシーン。いや、これ絶対やっちゃダメでしょ。どうせ殺すんなら、何のためにゲームさせたんですか。

総評ですが、中盤までは結構面白い反面、主催者の動機が判明してからは擁護のしようもないレベルの駄作という評価に落ち着きました。ある意味完璧なバランス調整ですね。

とにかく、主催者の動機と行動が意味不明というのが一番いけません。

「好きな食べ物はなんですか?」「カッコいいです」
というレベルの噛みあわなさ。正直、「僕は殺人狂です」というようなクッソシンプルな動機の方がまだ納得いきます。

この主催者に比べれば、「ハンガーを投げつけられたから」「イニシャルが同じだったから」がいかに納得のいく動機だったかが分かりますね(いかない)

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