「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

インベージョン・デイ 合衆国陥落の日 のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2013
販売 ミッドシップ

便宜上カテゴリーはアクションにしておきましたが多分SF映画です。

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

 【あらすじ】

“デュークはマイクロチップのエンジニアとして、サイバーセキュリティ・アナリストのフィルの下、 アメリカ国家安全保障局で働いていたが、突然の解雇通告を受け、妻と幼い娘と共に山奥の別荘に移り住んだ。 しかし偶然にもその日は、数兆ドルもの負債を抱えたアメリカに、中国がサイバー攻撃を仕掛けた開戦の日であった。 “中国製””のコンピューターチップが、アメリカの金融、通信、交通、ライフラインなどあらゆるシステムをダウンさせ、さらに武力を行使し国土をも占領し始める。 絶対に取り外せない追跡機能を搭載したリストバンドを強制的に装着され、自由を奪われていくデュークたち。 中国の支配下となった祖国で、デュークは愛する者たちを守るため、命を懸けである行動に踏み切る・・・!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー……
キャラクター…
設定……………

総合……………
おすすめ度……

【良い点】
・序盤は展開も早くてそこそこ面白い

【悪い点】
・中盤のダレ方がすごい
・キャラクターに魅力がない
・よく分からない設定

どこをとってもそれほど酷い部分は見当たらないのですが、何と言うかただただ順当に面白くないという評価がぴったりだと思います。全部が全部低水準で纏まっているのでバランスが取れていると言えなくもないかもしれません。いずれにせよ、おススメはしないです。

【以下、ネタバレ注意!】

専門的なことはともかく、アメリカの危機なのが、分かるだろう?

アメリカさんに金貸しまくってた中国が「おうとっとと返せや。返せんというなら戦争もやむを得ない!」というお話です。「金貸してる相手を潰してどうすんだよ」という気がしますが、国際情勢や戦争のことはよく分からないのでスルー。

取りあえずアメリカがビックリするほど弱いので、「えぇ……」となること必須。『中国産のマイクロチップ使ってる製品は全部動かんくなるんや!』というトンデモ戦法まで登場しますが、機械のことはよく分かんなかったです。まあこうでもしないと、たった数日でアメリカ制圧なんてまず不可能なので。しょうがないね

また登場人物が「中国が攻めて来たんなら核攻撃でイチコロよ」というような発言をしますが、そんなことしたら世界が滅んじゃうだろ!(全面核戦争不可避)

という感じで、素人ながらにいろいろ突っ込みながら見ていたのですが、どれだけトンデモな戦法が登場したとしても、作中で出来ると言われたのなら受け入れるしかありません。そもそも機械のことだとか、戦争の動機だとかにどこまで妥当性があるのか私にはよく分からないので、この辺りのことは素直に受け入れて見ていました。詳しい方がおられましたら是非ご教示ください。

さて、では以下には映画本編の内容についての詳細なレビューを。まずは良い点からいきましょう。

この映画の良い点は、序盤から中盤にかけての展開がなかなかに目を引くことです。

今作はATMの故障や飛行機の墜落に始まり、大統領からの緊急放送や中国政府による占領など、開始早々なかなかスピーディーに話が進み始めます。この間、中国による占領の割に中国兵の姿が見えないことや、どのように短期間でアメリカを落としたのか等いくつかの謎も提示され、先の展開に興味を持つ事が出来ました。以上。

というわけで、次は悪い点です。今作の悪い点は、中盤に話が壮絶にダレ始める点と、キャラクターに魅力がない点、また、設定がなかなかにガバッているという点です。

まずは中盤の展開について。この映画は前半部分の壮大な前ふりを終えた瞬間から、話がちっとも進まないのです。立てこもってるところの水が切れただとか、まともな食べ物がないだとか、盗賊が家に来ちゃっただとか、話の本筋とは全く無関係な話をダラダラと垂れ流し。

もちろん戦争をテーマにした映画なので、リアリティを持たせるためのこれらの描写は必要と言えば必要でしょうが、それにしたって本筋の話をもったいぶらせ過ぎてテンポが悪くなっているのはいただけません。そもそもこの映画は「中国がこんなに簡単にアメリカを侵略しちゃうなんて……一体何が!?」という部分が軸になっているので、そこの話を進めてもらわないと見ている側も飽きてきます。

中盤に、だんだんと謎に迫って行く描写や主人公が能動的にアクションを起こそうという描写があればまだ良かったのですが、本当にずっと『立てこもり→ちょっと外出る→立てこもり……』の連続なので話が全く盛り上がらず、さすがに飽きが。

またこの間の苦痛のもう一つの原因となっているのが、キャラクターたちの魅力のなさです。主人公は主人公で、周りの人に事態の説明をせずに独り作業に没頭するために孤立してゆきますし、妻は妻でヒステリーを起こしまくりの喚きまくり。見ていても不快指数が溜まる一方でした。

最後に設定について。先に述べたように、この映画はなかなかトンデモな戦法、技術、戦争動機などが登場しますが、それらにどれだけの妥当性があるのかはよく分からないのでスルーするとしても、やはり設定部分のガバさは気になります。

特に一番気になったのは、黒幕が主人公を確保する場面について。アメリカ全土を混乱に陥れ、軍の兵器や民間の機器もほぼ全て機能停止に追い込んだ超技術を開発、研究していたのは実は主人公であり、黒幕はその技術を利用したアメリカ内部の裏切り者、というのがこの映画のオチなのです。

ですが、そんなヤバそうな技術を運用するというのに、黒幕があらかじめ開発者(主人公)を捕獲しておかなかったのは流石にどうかと思うんですよ。その結果黒幕は、システムを起動してかなり経ってから主人公を捕獲し、「プログラムを都合の良いように改良してね☆」とお願いし出すという始末。あの、それ今更言います?  下手すりゃ主人公とっくに死んでたんですけど?

そしてその後、システムにどんな問題が起こるのかもよく分からないのに、黒幕は素直に主人公を解放し、まんまと彼が仕込んだ罠でシステムは崩壊寸前になるという結末。

ここまで壮大に話を引っ張ってきておいて、黒幕は裏切り者という超妥当な部分に着地したのもがっかりでしたが、それ以上に黒幕のガバガバさでさらにがっかり。何でこの部分だけ、話にリアリティの欠片もないのか。

総評ですが、リアリティがあるのかないのかよく分からない上に、順当に面白くない映画でした。特に中盤のダレ方が酷く、無意味なシーンの垂れ流しは勘弁していただきたく感じました。もちろん「突然戦争に巻き込まれたりしたら、正常じゃなくなるのも無理はない」という考え方もあるでしょうが、そもそもリアリティがどうこう以前に面白くないというのは看過できません。

前ふりの部分は結構良かったので、もっとテンポよく、かつ話に深みを持たせて展開させられていれば化けた可能性が無きにしも非ず、という印象です。序盤はまだ良しとしても、過程もオチも微妙なので、わざわざ見る必要はないでしょうか。

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