「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アドレナリンEX のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 ドイツ
製作 2008
販売 ジェネオン・エンタテインメント

(画像:Amazon商品ページより引用)

もはや語るまい(パクリタイトル)

ちなみに今作の原題は80 MINUTES

レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじからどうぞ。

【あらすじ】

“80分間、アゲまくり!! 「アドレナリン」を超える、リアルタイム・ノンストップ・アクション!! 誕生日の夜をガールフレンドと楽しもうとしていたアレックス(ガブリエル・マン)のも とに、巨漢三人組が突然、借金回収に現れる。 力づくで椅子に縛りつけられた彼は、南米アマゾン産の正体不明の毒を注射されてしまう。 タイムリミットは80分。 それまでに返済し解毒剤を手に入れなければ、毒が体を蝕み死に至る・・・。 金の工面のため、深夜の街を一心不乱に飛ばす、走る、泳ぐ! タイムオーバーになる寸前、やっとの思いで返済に向かったアレックスを待ち受けていたのは、驚愕の事実だった―。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………
アクションの質…
キャラクター……
設定………………

総合………………
おすすめ度………

【良い点】
・話のテンポはそこそこ良い
・アクションの質はなかなか

【悪い点】
・ストーリーがペラペラ
・キャラクターがクソ野郎ばっかり
・見ている途中は設定のガバガバさが気になる

アクション映画なので、ストーリーや設定が薄いかどうかは人によっては気にならないでしょう。本家アドレナリンもそのあたりはペラッペラですし。

結局、オチが受け入れられるかどうかが重要だと思うんです。「アクション映画なんだから、ハチャメチャでドタバタした展開がええねん」という人は楽しめるでしょうし、そうでない人(自分)はこんな感じの評価になります。

ただ、作品の基礎情報を仕入れるために「Yahoo!映画」やらAmazonやらを見て回っていた段階では好意的な意見が多く目に付いたので、おすすめ度は割と高めにしておきました。

【以下、ネタバレ注意!】

ネ申アイドル総選挙バトル「やぁ」

B級のドタバタアクション映画です。本家アドレナリンを見たことある方なら分かるかと思いますが、あの内容を少しマイルドにした感じですね。80分という制限時間はありますが、アドレナリンを出し続けていなければ死ぬ的なことはないので、あちらよりハチャメチャ度合いは低めです。まあ、その分面倒事に巻き込まれまくるのですが。

さて、レビューに入って行く前に、まずはアクション映画の好みについて少し語らせてください。おそらく、結構重要なことなので。

私はステイサムおじさんが好きなので本家「アドレナリン」も見たことはあるんですけれど、あんまり好きになれませんでした。何というか、「ストーリーはハチャメチャで、アクションをしているだけ」っていうのがあんまり好みじゃないのです。その意味では、「エクスペンダブルズ」とか「トランスポーター2」もあんまり好きじゃありません。

別にこれらの映画を悪く言うつもりは毛頭ないんですよ、「アクションはシンプルなのがええんじゃい!」という人もいらっしゃるでしょうし。ただやはり自分としては、アクションに限らずストーリーや設定がしっかりした映画が好きなのです。というわけで、以下のレビューはそういった頭の固い人間から見た評価となります。

さて、びっくりするほど話の筋が逸れましたが、早速良い点悪い点を見ていきましょう。まずは良い点からです。

この映画の良い点は、話のテンポが良いということと、アクションの質はなかなかということです。

まずは話のテンポについて。この映画は開幕主人公が毒をぶち込まれるうえに、余命はたったの80分しかないので、否が応でもゆっくりしている暇はありません。ダラダラとした会話も特になく、話はポンポンと進んでいきますね。基本的に最後までちゃんと見られました。

またアクションの質について。この映画はド派手な銃撃戦や大爆発というものはないですが、それでも特に問題なく見ていられるレベルにはアクションがしっかりしています。あまり安っぽさを感じたりということはなかったですね。もちろんA級の映画と比べると見劣りしますが、それでも全編通して安定しているという印象でした。

ただし、銃撃を受けているのに車のガラスが一切割れなかったりしたのは、やはり見ていて違和感がありました。まあ、これにはちゃんとしたトリックがあったのですが……。

では次に悪い点を。この映画の悪い点は、ストーリーが紙の如くペラッペラなこと、設定がガバガバに感じること、キャラクターが揃いも揃ってクソ野郎ばかりなことの三つです。

まずはストーリーと設定についてですが、この映画の設定は実にシンプル。①借金返済を迫られ、②毒を打たれ、③金を工面し、④返しに行く。基本的にはこの四ステップです。では何が問題なのかというと、主に③~④までの間、主人公が無関係な事件に巻き込まれまくって本筋の話が全然進まないんです。

設定にも絡む部分ですが、やれ車をぶつけて事故っただの、やれ友人が因縁を持っているチンピラに絡まれただのという展開が繰り返され、しかも彼らが突然、完璧にタイミングを見計らったかのように登場するので、そのあまりの都合の良い展開の連続にはだんだん萎えてきました。

ただしこの映画、この都合の良い展開を「偶然」で片付けるようなことはしません。この映画のラストには、それまでの展開を全て正当化するためのどんでん返しが潜んでいます。それは、「今までに起きたことは全て主人公のためのサプライズであり、毒なんて盛ってなかったし銃はオモチャだよ」というもの。
おいこれどっかで見たぞ

ですがなるほど、この時点で私は、銃撃戦で車のガラスが割れなかったことや血が噴き出さなかったことなど「まあ予算ないからしょーがねーよな」と思っていたことが、実は全て伏線であった事に気が付きました。

と、一見良く出来ているように見えますが、やはりなんとも納得いかないというのが素直な感想です。確かに最後の最後は「あーだから都合良い展開が続いたのか―」と納得はできますが、そのオチまでの約80分間はずっと「都合良すぎだろ」とモヤモヤし続け、若干飽き始めていたのも事実ですし。まあ、途中でオチくらい読めろよと言われればそれまでなのですが。

またこのオチに対して、もう一つどうしても納得いかないことがあります。それはこの映画に出てくるキャラクターたちが、途端に全員クズに見えてしまったということなのです。

もちろん、オチまでの間のキャラクターたちの行動も酷いものでした。主人公など絵に描いたようなクズですし、友人は自己中ばっかりだし恋人は話を聞かないし……。でも一番こいつらはクズだと感じてしまったのが、何を隠そうオチの部分でした。

見れば周りは皆「いやー、これは全部サプライズだったんだよ。ちょっとやり過ぎたけど許してね☆」というノリ。おう、よくもまあ無関係なおっさん一人警察送りにしておいて、街中暴走してさんざん人様に迷惑かけてヘラヘラ笑ってられるなお前ら。こう思ってしまわずにいられませんでした。

これを「良い友人たちに恵まれた主人公のハチャメチャ活劇」と捉えるか、「度の過ぎた悪ふざけをして人に迷惑をかけた上でヘラヘラしてるクズの集まりの話」と捉えるかで、かなり評価は変わってくると思います。自分は言うまでもなく後者です。

こう感じてしまった原因の一つは、このようなオチを用意していながら、本編中はコメディ要素が控えめになっていることだと思いました。なまじ真剣に見ていた分、オチの部分では開いた口がふさがらなかったり。まあ、これはあくまでも個人的な意見です。

総評ですが、このオチを素直に受け入れられるかどうかで、評価がぐるりと変わってくる映画じゃないかと思います。これを受け入れる事さえできれば、一見理不尽なまでに都合良く起きていた出来事が全て仕組まれたものだったということが分かった時、得も言われぬほど感心する……かもしれません。

本家アドレナリンとは(当然のことながら)いろいろな相違点がありますが、あんな感じの「馬鹿やってるノリ」を受け入れられる人ならば、割と楽しめるのではないかなーと思いました。ただこちらも本家よろしく、合わない人には全く合いませんのでご注意を。まあそれ自体は、全ての映画に言えることですが。

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