国籍 クロアチア
製作 2010
販売 アメイジングD.C.
可愛い101匹のわんちゃんたちが大活躍する映画です(大嘘)
ちなみに原題はTHE SHOW MUST GO ON
この邦題絶対狙ってますよね(小声)
さて今作は、レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずは予告編&Amazon先生のあらすじからどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
“第三次世界大戦。核戦争。人類滅亡―。 6人は、なぜ生き残ることが出来たのか―? DAY1:TV番組の企画のために、6人のカップルが集められる。6か月間、この家から出ることはできない。 DAY42:視聴者の投票により、ひとり脱落。世界規模の戦争が開始。 DAY95:参加者は戦争が始まった事実を、まだ知らない。 DAY100:眠っている参加者を、地下の核シェルターへ移送。 DAY101:ミサイルが発射される。到着まで1時間―。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………C
キャラクター……D
設定………………D
総合………………C―
おすすめ度………D
【良い点】
・戦争突入までの描写がねっとりリアルに描かれている
【悪い点】
・主人公に全く好感が持てない
・設定ガバガバ
・あらすじ予告編パッケージ邦題
かなりの変わり種な映画なので、とても万人にはおススメできません。合う人は合うでしょうが、合わない人には全く合わないでしょう。
【以下、ネタバレ注意!】
今作はとあるテレビ番組を制作するスタッフの視点から、世界全面核戦争が勃発するまでの様子や情勢をねっとりとリアルに描いた映画となっております。何故かパニック映画の欄に置かれていましたが、どちらかというとヒューマンドラマ、もしくはドキュメンタリー風映画と言ったところでしょうか。
では早速良い点悪い点を見てゆきたいと思います。まずは良い点から。
今作の良い点は、戦争が起きるまでの過程が、実にリアリティたっぷりに描かれているという点です。
先に述べたように、この映画は核戦争が勃発するまでの人々の様子や生活というのを描いた映画となっています。核戦争を阻止したり、核戦争後の世界を描いた映画というのは数あれど、核戦争が起きるまでの様子をリアルに描写してゆく映画というのは珍しいのではないでしょうか。
そして今作最大のポイントとなるのは、主人公がテレビ番組のプロデューサーという、戦争を止める権限など全くない立場の人間である、ということです。彼は私たちと同じように、戦争という大局に飲み込まれる側の人間であり、本来ならば何も出来ることなどないはずなのです。しかしそんな彼だからこそ出来ることを模索し続け(番組参加者や息子を守る)、それを成し遂げる、という姿に心を打たれるのでしょう。
以上、良い点でした。以下は悪い点を。今作の悪い点は、主人公に全く好感が持てない点と、設定にリアリティがないという点です。
まず今作の主人公についてですが、お世辞にも彼は好感が持てるキャラクターとは言えません。人の話は聞かず、自分が正しいと思い込み、常に間違いを犯し続け、人を蔑むタイプの人間です。さすがに終盤、参加者や息子を守ろうとする姿には心を動かされた人もいるでしょうが、それまでが悪すぎました。
そしてガバッガバな設定について。包み隠さずに言うと、これが今作最大の致命傷です。今作は世界核戦争に至るまでを描いた映画ですが、この戦争の背景設定について、あまりにも説明不足な点が多いのです。なぜ突然クロアチアなんて軍事上なんの重要性もない国が核攻撃されたのか、そもそもこの戦争はどことどこの国が争っているのかなど、その他一切のことは分かりません。分かることはこの第三次世界大戦中に、クロアチアが世界で二番目に核攻撃されたという事実だけです。
ここで、「戦争の背景設定はこの映画の主軸じゃない」「主人公はあくまでも一般人なんだから、戦争の詳しい事情なんて知らない方が普通やろ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。実際、私もそう思います。
しかしこれは、『核戦争に突入するまでの様子』をリアルに描いた映画なのです。だとすればこの映画において、戦争が起きた理由やその構図という、ストーリーにリアリティを持たせるための設定というのは決して蔑には扱えない代物であるはず。その部分を適当にすっ飛ばして、「戦争が起きました」と言われても、「あっ、はい」としか思えません。
もちろんそれらの部分をあえて説明しなかった可能性も充分あり得ますし、「この理不尽な感じが逆に戦争を体現している」と捉えることもできるかもしれません。実際私は専門家でも何でもないので戦争のことはよく分かりませんし、クロアチアが核攻撃される可能性だってゼロではないでしょう。しかし、これは映画なのです。だとすればやはり、観客を納得させるそれなりの説明をする必要があると私は思います。
またこの映画、クロアチアに核が撃ち込まれてからの描写が全くないので、世界が本当に核戦争に突入したのか、人類は本当に滅んでしまったのかについても、実は一切分かりません。私的には、案外普通にピンピンしている他国もありそうだと思ったので、それほど危機感が煽られなかったのもちょっと……という感じです。もともとアメ〇カVS〇シア&チ○イナあたりを主軸に核をぶっ放し合っている間に、クロアチアも標的にされてしまった、的な設定の方が、まだいろいろと無理なく終われたと思うのですが。
総評ですが、リアルに描かれているけれど、リアリティはない。以上です。良い点に挙げたような見どころはありますし、またなかなかに面白いのですが、やはり私には設定の部分が目についてしまいました。せめて主人公がもう少し好感のもてる人物なら、評価も変わってきたと思うのですが。
最後に、日本版スタッフ君、ちょっと全員並べ(豹変)
今作の内容についてですが、実は見る前から全部ネタバレ済みです。あらすじもしくは予告編にある内容が、この映画の全てなのです。この映画のあらすじをもう少し分かりやすく書くと、「核戦争が勃発して人類滅んだけど地下にいた人達は無事だった」。以上です。今まで述べてきたように、この映画は核が撃ち込まれて終わりです。その後の話はほとんどありません。
言うなればこのあらすじ&予告編&パッケージは、始まりから結末までしっかり書き記していて下さっているわけです。つまりこれは、完全にこの映画の総集編でありダイジェストです。そしてもちろんこれと同じようなあらすじが、パッケージ裏にもしっかりと。
だからネタバレはやめロッテ!
普通に考えれば、このどれも見ないで映画を見る人なんていませんから、この映画を見た人の大半はオチを知らされた状態で見始めるわけですよね。要するにこの映画、本編自体はなかなか面白いのに、先の展開に驚きが全く生まれません。なんという無能の極み。
もしこれが日本版スタッフのせいではなく、もともとこんな感じの宣伝が向こうでも行われていたのだとしたら、それは申し訳ありません。日本版スタッフのところを、製作陣に読み替えて下さい。でも邦題がガバガバだからやっぱり日本版スタッフのせいだと思う。