「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

デス・サファリ サバンナの悪夢 のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ、南アフリカ
製作 2007
販売 ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

一言でいうと「サバンナ怖い」な映画です。前半の話の構成なんか完全にジュラシックパ……

レンタル版を吹き替えで視聴しました。公式の予告編はすぐ見つかったのですが、全く予告編になっていない&作中のどうでもいい会話シーン垂れ流しの完全な手抜きだったので、上映はキャンセルだ。というわけで、Amazonのあらすじをどうぞ。

【あらすじ】

“休暇を利用し,アフリカにやってきた一組の家族。 エイミーと再婚相手の子供であるジェスとデヴィッドの3人はサファリ・ツアーに出かけるが,ガイドの不用意な行動でツアーは惨劇に変貌する。 ライオンに襲われるガイド,そして車の中に閉じ込められてしまう3人。 広大なサバンナの中,救助隊も現れず絶体絶命の状況の中,果たして無事に生き延びられるのか!? 息つく間もないサバイバルゲームの幕が今,開ける…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………C
ライオンの質………A
キャラクター………D
設定…………………D

総合…………………C―
おすすめ度…………C

【良い点】
・ライオンの迫力満点
・前半のテンポは良い

【悪い点】
・中盤の酷いダレ具合
・キャラクターに魅力がない
・(悪い方面に)ご都合主義な設定

多分本物のライオンを使って撮影しているので、迫力は満点です。ただし話が全体としてガバッているので、おススメかと言われると悩ましいところです。

【以下、ネタバレ注意!】

話にリアリティがないとか、お前それサバンナでも同じこと言えんの?

序盤は良かったのに、どうして中盤こんなことになってしまったのか……と頭を悩ませる映画です。ベジタリアンの姉が出てきたり、身体の弱い弟が出てきたり、サファリカートの中で襲撃に耐えたり、雷雨が来てヘリが飛ばせなかったりと、なんか序盤完全にジュラシックパークだと思うんですけど……多分過剰に意識し過ぎなんでしょう。

さてでは早速、良い点悪い点に分けて見てゆきたいと思います。まずは良い点から。

今作の良い点は、迫力満点なライオンの襲撃シーンと、序盤のテンポの良さです。

まず今作の襲撃主として大活躍のライオンくんですが、これおそらく本物を使っています。そのため、迫力は文句なく満点でした。本物と言っても、別撮りの映像を垂れ流しているだけ、というわけではなく、しっかり人間を襲ってくれます。この点は素直に、この映画の明確な強みであると言えるでしょう。

また序盤の展開についても、なかなか惹き込まれる良い展開でした。無駄な会話も少なくすぐ出発し、ライオンの襲撃までとんとん拍子で進みます。迫力ある襲撃シーンにも支えられ、かなりの緊迫感と期待度でスタートできました。まあ、問題はここからなわけですが……

さて、では次に悪い点を。今作の悪い点は、魅力のないキャラクターと中盤のダレ具合、そしてご都合主義満載な設定の三点です。

まず、今作のキャラクターはとても魅力的とは言えません。再婚したばかりの継母とそれに反発する娘が絆を深め合う話、というと聞こえは良いですが、蓋を開けてみれば途中まではお互いに喧嘩ばっかり、最後の最後で突然仲良くなるという薄っぺらい内容。しかも二人とも紛う事なき無能そのものというおまけ付き。それについては以下で。

またこの映画、序盤は確かにテンポよく進むわけですが、とにかく中盤からのダレ具合が酷いです。基本的に舞台は車内固定な上、敵はライオンのみなためだんだんと飽きてきますし、とにかく話が全然進まなくなるんですよ。そしてこの話が進まなくなる一番の原因が、キャラクターの無能さです。

中盤、継母の方は「何とかなる、大丈夫」を連呼するだけで具体策を一つも講じようとせず、逆に娘は突発的な行動ばかりで役に立たないという、両者完全なまでの無能っぷり。特に車の装備の確認もせずにただギャーギャー喚くだけの継母の戦犯度がクッソ高いです。あなたのせいで話が進まないんですよ。最終盤になってやっと車内の使えそうな装備チェックをし始めましたが、それ普通最初にやることですよね?

しかしここで「リアルに考えたらこのくらいテンパるのが普通だろ、お前同じ状況になっても偉そうなこと言えんのかよ?」と思われる方もいるでしょう。確かにリアリティを追求すれば、こんな反応もあり得るのかもしれません。しかしこの映画、とてもリアリティがあるとは言えないほどご都合主義満載なのです!

ご都合主義とは言っても、悪い方向に都合が悪いんですよ。車内に人を残し、一時的に車を離れただけのガイドがわざわざ車の鍵持って行っちゃったり、サファリ用の車なのに無線も発煙筒も積んでいなかったり、何もないだだっ広い草原のど真ん中で事故ったり……その他諸々。

そんな都合の良いピンチが連続で押し寄せる中、キャラクターたちだけは終始無能で、一つのピンチを切り抜けるまでが無駄に長くてグダグダ。基本そんな展開が最後まで続くので、正直途中で飽きてきてしまいます。

総評ですが、恵まれた序盤の展開からガバッガバな中盤と終盤を経て特に何の感慨もなくゴールした映画でした。とりあえず、ただでさえ舞台が車内メインなのに、何もしないでグダグダしてるだけの時間が長すぎますね。

リアリティを追求したにしては設定が都合良すぎますし、そもそも「リアリティがある=面白い」ではないんですよね。とりわけパニック映画については、何か全力で対抗策を打ち出しながらも、それらがことごとくダメになって行くから緊張感が生まれたりドキドキできるわけで、出来ることもしないでただ喚いているだけでは共感できないどころかイライラすら生まれかねません。

ただそうは言いつつも、迫力あるライオンの襲撃シーンの数々はなかなか見ものです。ストーリーが凄く微妙なのであまりおススメはしませんが、B級映画として見れば比較的当たりの部類に入るでしょう。我こそは、という方はどうぞ。

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