「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アフターショック のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ、チリ
製作 2012
販売 松竹

地震が来て街が崩壊、でも本当に怖いのは人間による二次災害だった……なテーマを扱った、「ホステル」シリーズの監督による災害パニック映画のレビューです。正直ホステル3の出来が「あっ……(察し)」なレベルだったので全く期待しておりませんでしたが、さて。

レンタル版を吹替えで視聴しました。それとこの映画、R-18指定となっておりますが、なんでR―18なのか分かりませんでした……(無能)

まずはAmazon先生によるあらすじ&予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“目の覚めるような景色、セクシーな女性達、イケてる男達、すばらしいワイン、そして最高のパーティー! チリは最高! 運の悪いアメリカ人観光客のグリンゴ(イーライ・ロス)、彼のチリ人の友人アリエル(アリエル・レヴィ)とポロ(ニコラス・マルチネス)。 彼らにとって、今回のチリ旅行は最高だった-かわいい女の子がいないことを除けば-! グリンゴは、美女さえいれば“友人達は満足してくれるはずだ””と考え、ロシア人モデルのイリーナ、パーティー番長のカイリー、カイリーの真面目な妹モニカの3人の美女をナンパし、うまい具合に一緒にバルパライソの街を観光することに。 6人の男女は、ダンスクラブに繰り出すのだが、その時、巨大地震が街を襲う! 至福の時間だったはずが一転、死と破壊の地獄絵図と化す。 不運なグリンゴ達一行は、街で暴れる略奪者や、脱獄した囚人達、余震の恐怖から、命を守るために逃げなければならない!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………
グロシーンの質……
キャラクター………
設定…………………

総合…………………C+
おすすめ度…………

【良い点】
・飽きさせないストーリー展開
・キャラクターが立っている

【悪い点】
・序盤のテンポが悪すぎる
・都合の良い(悪い)展開連発
・設定がガバッている

とりあえずなーんの救いもない胸糞映画なので、胸糞耐性が全くないという方は絶対に視聴しないように。視聴後には苛立ちと後悔しか残らないでしょう。「ホステル」程度なら余裕だった、という方々には割とおススメです。

【以下、ネタバレ注意!】

救いはないんですか!? 救いはないね(無慈悲)

前回の極短レビューの反動からか、今回過去最高レベルの長文です。

とりあえず最大の疑問点は、「なんでこれがR-18なの?」という点でした。別にそこまでグロくもなければ、これといったエロシーンもないという……松竹兄貴の逆鱗にでも触れたのでしょうか?(無知)

さて、では早速良い点悪い点に分けて見てゆくのですが……その前に一つ。

この映画最大の良い点は、私的にはグロシーンでも胸糞シーンでもなく、先を読ませず飽きさせない展開だと思います。そのためこの映画におけるネタバレは、初見時のこの映画の魅力を大きく半減させてしまうような気がするのです。ただ、ネタバレを入れないと詳細なレビューが書けないので、とりあえずネタバレ部分に関する点については、総評の後に載せるという形にしたいと思います。以下のレビューを読んで「この映画見てみようかな」という気分になられた兄貴姉貴たちは、ぜひともネタバレ部分は読まずに視聴なさってみてください。

さて、では諸注意も済んだところで、まずは良い点から。この映画の良い点は、先を読ませない展開と、キャラクターが立っていることです。

まずは展開ですが、この映画はグロシーンや人間描写だけで持たせているのかと思いきや、丁寧な死亡フラグや突然死、誰が生き残るのかについてや先の読めない展開等を散りばめることで視聴者が飽きないよう工夫されています。後述するように序盤のテンポはガバガバですが、中盤以降はダレずに完走できました。そのため、「不満は多々あるが、最後まで飽きずに見れた」という映画です。

そしてキャラクターについて。今作は序盤でこれでもかというほどキャラクター描写に時間を割いています。まあ、その内容自体は割と退屈なわけですが、序盤で屑だった人間が災害パニックの中で成長したり、良い一面を見せたりとなかなかキャラクターに見どころがあります。この点は素直に良かったかと。

では、以下は悪い点。今作の悪い点は序盤のテンポの悪さ、ご都合主義丸出しの展開、そしてガバッた設定の三つです。

まず序盤の展開ですが、いくらなんでもテンポが悪すぎでしょう。全然無関係な話を30分強も垂れ流しにされるのは、見ている側としてはなかなかに辛いです。まあ、「ホステル」もこんな感じの構成だったので狙ってやっているのだと思いますが、それにしてもこれは序盤で飽きて来てしまいます。

次に地震後の展開ですが、正直都合の良い展開が多すぎますね。いや、都合が悪い意味で良いと言いますか……要するに、タイミングよく悪いことが起きすぎるんです。

例えば余震の起きるタイミングが絶妙だったり、機械の故障や車の通過、囚人とのエンカウントまで、全ての物事が起きるタイミングが見計らったかのようになんとも強引なので、この辺りはどうしても気になりました。ファイナルデスティネーションシリーズのようにそれらが起きる必然性があるのならまだしも、ただタイミングだけで片付けるにはあまりにも都合がよすぎます。

そして設定についてですが、上の強引な展開とも絡んで相乗効果的に悪く見えますね。この部分についてはネタバレに関わるので後述とします。

総評ですが、飽きずに見られてなかなか面白い映画でした。「(これだけ文句並べといて)うっそだろお前」と思われるかもしれませんが、不満も多々ある中で先が気になる&まさかな展開もあって飽きずに楽しめるというのは非常に大きいです。

以下は完全にネタバレ部分に関する記述なので、未視聴の方はご注意ください。

ネタバレパート

ここから先を読んでいる方は、「視聴後であるorさらさら見る気なんてない」方のどちらかだという前提で書きます。

まずこの映画のラストについてですが、何の救いもないですね。見事に全滅でした。まあ、かの有名な胸糞映画「ホステル」の監督さんの映画なので予想はしていましたし、作中さんざん津波が来る来る言っていたのと最後に海岸線に辿り着いたので完全に確信しましたが。まあ、その部分については何の問題もないです。

それと作中に出てきたシングルマザーについてですが、彼女は主人公たちを絶対に住宅街に入れないと言い張り、挙句中に入れてもらおうとした彼らに発砲までしていましたが、最終的に主人公勢の中には裏切り者(脱獄犯)が混じっていたことが判明するので、彼女の自己中心的行動は結果的に正しかったというのが、さらに救いのなさ、胸糞悪さを増幅させてましたね。

さて、以下で問題にしたいのは、この映画の設定のガバさです。主に3点どうしても気になった部分があったので、言わせてください。

①囚人がヒロインたちをレ☆プする事しか頭にない点について

途中主人公勢は脱獄囚たちに出会いました。その際囚人たちは「女だヒャッハー!」という低脳丸出しな様子で主人公たちを市街地の外れまでしつこく追いかけて来ましたが、いやいや、市街地にいたんですから女なんてそこらじゅうにいたでしょう?

それをわざわざ市街地の外れまでレ☆プのためだけに追いかけてくるというのは、あまりに強引じゃないでしょうか……? 金品かっさらったり食料や医薬品集めたり、街中に留まった方が明らかに有利ですし。仲間を殺されてから復讐のために追ってくる理由は分かりますが、それまでに主人公たちを追ってくる理由付けが弱すぎます。自分はまずここで萎えました。

②途中参加した消防士が実は脱獄犯の一味だったことについて

途中で主人公たちが仲間にした消防士兄貴がいましたが、実は彼、脱獄囚の一味だったことが終盤に判明します。これまで脱獄囚の襲撃から何度も主人公たちを救い、怪我人の治療をし、人間の鑑のような行動を取っていた彼の正体には衝撃を受けましたが、それがバレた瞬間、なぜ彼は手のひらを返して主人公たちを襲い始めたのでしょうか? だいたい、仮に正体がバレずに主人公たちと脱出したとしたら、その後どうするつもりだったのでしょうか? 体中に刺青(脱獄囚一味の証)があるのに。

そもそもバレた程度で殺すつもりなら、本来仲間だったはずの脱獄囚と対立してまで主人公たちとずっと行動を共にしていた理由が意味不明です。だいたい何度も彼らを殺す機会はありましたし、合流したこともたまたまだったので、ゲームなんかによくある「実はスパイだった」説も完全にあり得ません。

しかも彼、その理由を語る前にあっさり退場してしまいました。正直、これに関する設定を考えるのが面倒だったという受け取り方しかできません。

結論から言うと、視聴者に衝撃を与えるためだけの完全に強引な設定だった、と言わざるを得ません。自分はここで完全に萎えました。この謎について「こうじゃね?」という案のある方は是非教えてください。私、気になります。

③教会地下にあった大量の赤ちゃん(人形?)の遺体について

これについては全く分かりませんでした。誰か教えてください(人任せ)

④最後に

とりあえずこの手の『災害映画だけど、人間による二次災害の方が怖いんだよ』という映画は、普段温厚な善人だった人が、災害によるパニックの中で狂気に陥り、異常になるという部分に人間本来の醜さなんかが見られるから良いのだと思うんですよ。

なのにこの作品では(極一部を除き)善人は善人のままで、狂気的な行動を取るのは囚人という根っからの屑だけという残念さ。これでは、誰もが持つであろう人間の醜い部分が露呈するという、パニック物最大の利点を全く生かし切れていません。本編の出来はなかなか良いだけに、この点がどうしても残念でした。

ですが総評でも述べた通り、飽きずに視聴できて楽しく見れた映画だったと思います。

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