「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

道化死てるぜ! のレビューです(総合評価B+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アイルランド
製作 2012
販売 松竹

清々しいまでのタイトル一本釣りシリーズです。その上、「いつ殺るか? 今でしょ!」という煽り文付き。何と言う便乗っぷり。

グロテスク描写がなかなかなのでR-18指定でした。ご注意ください。

レンタル版を字幕で視聴しました。(吹き替えは付いて)ないです。まずは予告編と、Amazon先生の予告編からどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

“リチャード・グリンドル(スティッチズ)は、相も変わらずワンパターンで退屈な、子供たちの誕生日パーティーでの道化師仕事にうんざりしていた。 今日も、トミー少年とやらの誕生日パーティーのお仕事だ。道化師のつまらない芸に、落ち着きのない子供たちは芸の邪魔をして大喜び。 子供たちのいたずらはエスカレートし、それが原因で道化師は不慮の事故で絶命してしまう。 6年後。彼らは成長し、反抗的な少年たちに育っていた。あの忌まわしい事故以来となる、トミーの16歳の誕生パーティーを準備中だ。 パーティーが始まり、唯一の招かれざる客、道化師グリンドルが姿を現す。 地獄から蘇った道化師は、残虐かつクリエイティブな手法で、事故に居合わせた少年たちに次々と復讐を果たしていく。トミーだけは、死んだ道化師が蘇って来たことに感付くが、仲間からは悪い夢でも見ているのだろうと信じてもらえない。一人また一人、パーティーに参加している少年が殺され、彼らは6年前の道化師の復讐に恐怖する。この惨劇に終止符を打てるか否かはトミーの双肩にかかっていた。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………
グロシーンの質……
キャラクター………
設定…………………

総合…………………B+
おすすめ度…………

【良い点】
・コミカルかつシリアスなノリ
・キャラクターが立っている
・見せ方が上手く、最後まで飽きずに見れる

【悪い点】
・敵役のピエロが割と弱いので物足りない

個人的なおすすめ度は高くしているのですが、全編ほぼブラックジョークというような内容なのでかなり人を選ぶでしょう。

【以下、ネタバレ注意!】

???「兄貴にレンタルショップでこの映画を借りると、吹き替えついてないって言ったらさ……」
???「吹き替え無しなんてそんな……道化死てるぜ!

という、ツッコミ待ちなんでしょうか。もちろんですがこの映画、某ブラックなマヨネーズとは一切無関係です。ブラマヨ兄貴好き

タイトルはこんな感じですが、では本編はどうなのかというと、これがなかなか作りこまれていて面白いんです。かなり人を選ぶ内容ですが、私的にはドンピシャです。もうひと押しあればA評価でした。

さっそく良い点悪い点見ていきたいと思います。まずは良い点からいきましょう。今作の良い点は、ほぼ全編にちりばめられたブラックジョークの数々と、きちんとキャラクターが立っていること、そして、カット割りなどの見せ方が上手いことです。

まずは展開から。今作の内容は大体あらすじ通りで、成長したかつての悪ガキどもを、蘇ったピエロが一人ずつ殺して回ります。そしてこの際の殺害方法がコミカルチックに描写されている点こそが、この映画最大の見どころなのです。一例をあげると、喉からウサギを取り出す、引き抜いた腸でバルーンアートをする、といった具合です。

もちろんその他の殺害方法も描写的にはかなりグロテスクですが、ユニークな方法とノリのおかげで、残虐というよりもショーを見ているかのような気分になりました。また、グロイことをおちゃらけた様子でするというギャップがより一層狂気さを増してくれるので、私はこのノリが大好きでした。

次にキャラクターですが、そんなおちゃらけた虐殺を繰り広げるわけですから、当然それに相応しいキャラクターが必要です。そのチョイスとしてピエロというのはまさに適役でしたし、またこのピエロ自身も素晴らしくクズな性格で、敵役として魅力的だったと思います。このキャラあってのこの映画と言って差し支えないでしょう。

また、そんな彼に立ち向かう主人公勢もしっかりキャラクター立ちしていて良かったです。特に頼りない主人公としっかり者のヒロインのコンビは、この映画の主役として相応しい組み合わせでした。敵味方双方に魅力があるというのは素晴らしいですね。

そして最後は見せ方について。この映画最大の見どころはコミカルで残虐な殺害方法だと言いましたが、それ自体は別段新しいものではありません。この手の映画ではよく見かけるような死に方も多々ありましたし、殺し方に派手さもイマイチ足りません。ただこの映画、カット割りや見せ方が非常に上手なのです。

こういったコンセプトの映画はB級にもちらほらありますが、一歩間違えれば完全に寒いギャグになってしまうので、それを上手く見せるのってなかなか難しいんです。その点この映画は、「シリアスさを残しつつコメディチックに殺す」ということに成功しています。

また、いらないシーンはとっとと進め、見せたいシーンはしっかり見せるというメリハリが感じられるので、テンポもよく最後まで飽きずに見られるでしょう。

一つ悪い点を挙げるとすれば、敵役のピエロが舐めプの連続&割と弱いので、結構どうにでもなってしまいそうな感じがして若干物足りない点でしょうか。この手の映画で、「仕留められるべき時に仕留めないでいたら返り討ちにあって負けた」というパターンほど冷めるものもないので、その点はちょっと……という感じはしました。

総評ですが、殺害シーンを始めとする凝った演出にテンポの良いストーリー、一貫してブラックコメディの姿勢を貫く点等、評価できる部分がかなり多い良作です。反面、ホラー度やシリアス度が必要以上に控えめな点や、先に挙げた悪い点など物足りない部分もちらほらあり、設定上の目新しさなどもあまり感じられません。しかし何より今作には、最後まで飽きずに視聴させる勢いがあります。これは純粋に評価されるべき点でしょう。

ただ、ブラックコメディはかなり人を選びますから、誰彼かまわず勧められる映画ではないです。そういったものが許容できる方には、なかなかのおすすめ映画でした。ただし、殺し方がコメディチックだとは言え、映像的にはそれなりにグロいことに変わりはないので、耐性のない方はご注意ください。

それと、この映画のスタッフロールではNGシーン等の撮影の様子が映るのですが、皆楽しそうで和みました。

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