「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ファイナル・デッド のレビューです(総合評価B)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 ドイツ、南アフリカ、アメリカ
製作 2006
販売 ファインフィルムズ
原題 THE BREED

パッケージを見ての通り、製作総指揮と出ている俳優の方はかなり有名な方々です。ただし本編を見ていると「予算がねぇんだよぉ!!」という魂の叫びが聞こえてくるようだったので、本当の意味でのB級映画と言えるでしょうか。

さて今作ですが、レンタル版を吹き替えで視聴しました。

【あらすじ】

「エルム街の悪夢」「スクリーム」の“ウェス・クレイヴン”が放つ究極のサバイバル・パニック・スリラー!何も知らずに週末を過ごすため孤島へ渡った5人の男女。しかし、彼らのバケーションは、無残にも傷ついた死体を発見したことから悪夢へと変わっていく。忍び寄る無数の影。恐怖を増幅させる血に飢えた獣の遠吠え。獲物は人間。人を殺すために訓練されたモンスターが襲いかかる…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー……B
キャラクター…B
設定……………C

総合……………B
おすすめ度……B

【良い点】
・飽きさせない展開
・襲われる恐怖、演出が上手い

【悪い点】
・設定が投げ気味

・若干のパッケージ詐欺

出てくるモンスターは狂暴なだけのごくごく普通の犬のみですが、パニック物としての基礎はしっかりと出来ていてなかなか楽しめましたのでおススメです。ただし、愛犬家の方は見ない方がいいかもしれません。

【以下、ネタバレ注意!】

どうしてこう、日本の販売会社はパッケージ詐欺が好きなんでしょうねぇ……。まあ、ありのままを書くとそのまま売上に響きそうなので、彼らも必死なのだと思います。

さて、上記のWikipediaのあらすじは流石にまともですが、Amazonに載っているあらすじでは敵の正体を全力で隠蔽し、「人間を殺すために訓練されたモンスター」「恐ろしいモンスター」とモンスター色を全面に押し出していますが、今作はモンスター映画ではありません。あくまでパニック映画です。

パッケージのイラストだけで判断すると、敵は熊に似た眼の光る凶悪なモンスター、と言った感じですが、今作に出てくるモンスターは普通のわんこのみです。犬。dog. しかしまあ、この程度の騙しは他の作品と比べると可愛いもんです。

さあ、注意点も述べたところで、さっそく本題に入りましょう。今作は良い点悪い点それぞれありますが、流石に有名な方が関わっているだけあって全体的にかなりの完成度を誇る作品となっています。

まずは、今作の良い点から。今作の良い点は、飽きさせない展開と、緊迫感の演出が上手な点です。

先に述べたように、今作に出てくるモンスターは狂暴とは言ってもわんちゃんのみです。そのため「なんだ、たいしたことないな」となめてかかりたくなりますが、視聴中はそんなことは言っていられなくなります。

今作に出てくる犬は下手なモンスターよりも賢く、狂暴で、(モンスター映画としてはともかく)パニック映画の敵としては充分です。むしろ変なモンスターよりもリアリティに満ちた存在であるため、適材であるとも言えるでしょう。

「とは言っても犬でしょ?」と思われるかもしれませんが、狂暴になった犬の群れには、まともな武器を持たない人間程度ではまず勝てません。しかも今作では、噛まれるともれなく狂犬病のおまけつきなので、なかなかの緊張感を持って見られると思います。

また、やはり有名な方の作品だけあって、襲われる際の演出は一級品ですね。いくつか心臓がバクバクするシーンもありました。やはりモンスターは、変な造形にこだわるよりも演出の方が大切だということを再認識させられました。

そして、話の展開の仕方に飽きないというのも重要な評価点です。展開自体はかなりありきたりで、結局狂暴な犬の蔓延る島から脱出するだけであり、テンポも決して良いとは言えないのですが、話がダレることもなく、随所に犬の襲撃がちりばめられているので、ある程度の緊張感を持ったまま完走できました。

次に、今作の悪い点についても触れておきましょう。とは言っても、正直設定が若干投げ気味なことくらいしか思いつきませんでした。

この映画は終盤、「なぜこの島の犬はこれほど狂暴で知性的なのか」という疑問を残したまま、それらの犬が生み出されたと思われる研究施設の廃墟に潜入します。そこで実は遺伝子操作が行われていたということが判明するのですが、結局謎はうやむやな感じのまま話は終わってしまいました。どうせ研究所まで出したのなら、そのあたりのことはきっちりとやってほしかったですね。

とはいえ、終始「襲ってくる犬から逃れる」「島から脱出する」という話の軸はぶれず、変に「この犬たちは被害者!」「可哀想!」というような安いお涙ちょうだいな展開にもならず、純粋に『身近なモノに襲われる恐怖』を演出していたことは非常に評価に値すると思います。

またこの映画、主な登場人物が五人しかいないので、パニック物の割に全然人が死にませんが、私はこの映画の雰囲気ならこれで合っていると思います。無駄に人を殺しまくってしまうと、襲われる恐怖が安っぽくなってしまうので。まあこればかりは、見る人の好みによるでしょう。

総評ですが、モンスター映画として見るならば映像的盛り上がりに欠け、物足りない部分もあるでしょうが、パニック物として見ればかなりの出来栄えであると思います。題材はありきたり、身近なモノでも、「演出一つでここまで面白くなるのか」と感心させられた作品でした。これについては、世のモンスター映画も見習うべきであると思います。

最後に、この映画は話の展開上、わんわんを殴ったり切り付けたり射たり爆殺したりするので、「もうこの字面だけで無理、可哀想」という重度の愛犬家の方は、見ない方が無難だと思います。とは言ってもこれは映画上の演出であり、実際に殺しているわけではありませんので、そのあたりをきちんと割り切って見れるという方は是非どうぞ。おススメです。

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