「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

パニック・ゾーン 制御不能 のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 イギリス
製作 2012
販売 アメイジングD.C.

「たまには趣向を変えてサスペンスでも見よう!」と思い立ち借りてきました。レンタル版を吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじから。

【あらすじ】

“嵐が近づく中、一機の旅客機が離陸した。 まもなく、ひとりの乗客が旅客機が目的地とは違う方向に進んでいると乗務員に文句を言い始める。 更に、隣に座っていた客が消えたとパニックになる乗客も現れ、機内に怪しげな空気が流れ始める。 乗客の蒸発はそれだけにとどまらず、乗務員も含めてひとり、またひとりと姿を消し始める。 やがて機内では運び込まれた古代の遺物をめぐる強奪事件が発覚、 蒸発事件も強奪犯によるものと思われたが、今度は乗客たちが次々と謎の発狂を始める。 地上からは、交信不能の旅客機に対して、何故か事件の解明作業もないままテロリスト事件と断定、非情の旅客機撃墜命令が発令される。 連続蒸発、連続発狂そして強引な旅客機撃墜命令の真相はいったい? 果たして乗客たちは、無事生還できるのか?!(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………D
キャラクター……C
設定………………C
サスペンス度……E

総合………………C-
おすすめ度………D

【良い点】
・眠くはならない
・前半の盛り上がり

【悪い点】
・後半のガバ展開

前半はB評価、後半はD評価というようにくっきり評価を分けたいレベルの内容でした。前半は結構面白いですが後半がもうどうしようもないので、おススメはしません。

【以下、ネタバレ注意!】

これほどまでに「どうしてこうなった……」という言葉の似合う映画があるでしょうか。

では早速詳細なレビューに入ってゆきましょう。いつもなら良い点と悪い点に分けて見てゆくのですが、今作の良い点と悪い点はどちらもストーリー展開に絡んでくるので、最初から簡単にストーリーを追ってゆきましょう。そのため、再度注意しますが以下ネタバレ全開なので、一応注意してください。

さてこの映画の前半は、実にサスペンスの土台として完璧な流れです。機内に積まれた謎の荷物。目的地と違うところへ向かう飛行機。そして、消えてゆく乗客――――この謎の正体は、果たして……?

そして中盤、貨物室から消えた乗客たちの遺体が発見され、パイロットが死亡して自動操縦に切り替わっていることが判明します。一体犯人は誰なのか、その目的は――

いやあ、実に面白そうな話です。事実、この映画はこのあたりまでの盛り上げ方はなかなか上手で、見ていて退屈しませんでした。この完璧な流れのまま、この映画は後半の謎解きパートに突入します――さあ、ここからがこの映画の本領発揮です。

まず、犯人の正体は即判明! 殺した理由も即判明! 当然飛行機がルートを外れた理由も即判明と、中盤怒涛の解決が進みます。しかもそれら、ほぼ犯人の自白

かいつまんで話すと、犯人はテロリスト二人組で、この飛行機に積まれた超高価な壺をとある依頼を受けて狙っていたらしく、犯行を見られたため乗客たちを始末し、逃走経路を確保するため飛行機の進路を変更し――とまあ、若干強引ながらも一応綺麗に説明を付けました。

この時点で、「えっ、この謎解きが見せ場じゃなかったの?」と困惑してしまいましたが、心配はいりません。この映画はこのまま、さらなる展開へ向けて出発します。

この後機内を掌握したテロリストたちは、乗客たちを拘束し、貨物室からお目当ての壺を運んできます。さあ、乗客たちの運命はいかに!? うん、まだギリギリ面白そうですね。

ここで一人のおっさんが、その壺について何やら語りだしました。彼曰く、

「その壺は閻魔大王と敵対していたライジンという神を封じ込めたもので――――」

雲行きが怪しくなってきました。唐突に閻魔大王やら神がどうだやら、一体どうしたというのでしょう――と思っていた時突然! 乗客の一人が、壺の入った箱に何度も頭突きをかまして自殺しだしたではありませんか! そして皆の耳に鳴り響く、甲高い怪音。

この映画、もしや――と思っていると、今度は別の人が発狂。彼が正気に戻ったかと思うとまた別の人が発狂し、乗客やテロリストたちは次々と犠牲になってゆきます……。

そうです。この映画は、並のサスペンス映画などではありません サスペンスの皮をかぶったオカルト物だったのです! そしてまさに、ここからは怒涛の展開に。

彼らによると、「壺に封印された悪い神が乗客に乗り移り、虐殺をしている」らしいのです。このままでは乗客全員の命どころか、この神が解き放たれると世界が危ない!(←?)

そして彼らは、即行である決意をします。「この飛行機を落として、世界を救おう!」(←??)

もう潔いなんてもんじゃありません。彼らはこの人に乗り移る悪魔が解き放たれるくらいなら、悪魔もろともみんな仲良く心中する方法を選んだらしいのです――いやでも、待ってください。厳重に壺に封印させていた悪魔を、そんな簡単な方法で殺せるとは思えないのですが……。

しかし、誰もそんな当たり前の疑問は口にせず、無事飛行機は墜落! 生存者はゼロ! めでたしめでたし! と思ったら、悪魔は管制塔にいた人に乗り移っていました! 世界は救われてなかった! ちゃんちゃん! THE END!

何だこの展開!?(驚愕)  強引なんて生易しいもんじゃねーぞ!

総評ですが、なんというかもう後半の展開が雑&酷過ぎるので、まさに見終わった後は「どうしてこうなった……」と口から漏れてしまうような映画でした。オカルトをやりたいこと自体は別に良いのですが、伏線も何もあったものではなく突然神がどうのこうのと言いだすため、ストーリーが破綻している印象しか残りません

ただこの映画、78分とかなり短く、しかも前半はなかなか面白いので、後半のクソ展開に突入しても飽きる前に映画が終わってくれます。これは良い点ですね!

前半は良くできたサスペンス、後半は安いオカルトと、ある意味ではメリハリがしっかりしている映画と言えるでしょうか。後半はもうどうしようもない出来ですが、前半はなかなかの完成度を誇るため、見どころはそれなりにあるとは思います。ただし視聴後の満足感は皆無なので、評価の割にはおススメしません。

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