「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

殺人動画サイト Death Tube のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

僕はただ、君たちと遊びたいだけポン

国籍 日本
製作 2010
販売 アルバトロス

今回はこちらの映画、殺人動画サイトDeath Tube ――見ての通り、タイトル&パッケージ一本釣りシリーズです。釣られました。でも釣られて良かったです。

レンタル版を視聴しました。まずは、Amazon先生のあらすじと予告編からです。

【予告編】

【あらすじ】

本物の殺人映像を配信するという裏動画サイト“デスチューブ”。軽い好奇心でそのサイトを見てしまった井上悟は、ある日目覚めると、どこかも分らない部屋に監禁されていた。逃げ場のない密室は他にも7つ、8人の参加者たち。そこはあの“デスチューブ”の部屋だった。クマの着ぐるみを着た謎の管理人・ポン吉は、悟たち8人に課題を出していくが…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………B
キャラクター………C
サスペンス度………D
設定…………………D

総合…………………C+
おすすめ度…………C

【良い点】
・ブラックジョークの挟み方が上手い
・緩急の付け方が上手い(特に前半)

【悪い点】
・ガバ設定
・未回収の複線が多々
・ベタで読みやすい展開(特に後半)

B級映画として見るなら、なかなか面白いのでおススメです。しかし後半はなかなか酷いので、わりと覚悟して下さい。B級とか見たことないの、という方は、見ない方が無難です。

【以下、ネタバレ注意!】

前~中盤までは結構良かった半面、後半に粗が目立つ作品でした。

この映画、良い点悪い点それぞれありますが、B級映画として見た時のクオリティは悪くないです。個人的には結構楽しめました。似たようなコンセプトのネ申アイドル総選挙バトルとは、まさに雲泥の差です。

(ネ申アイドル総選挙バトルのレビューは →こちら

さてこの映画の内容ですが、あらすじにもある通り『Death Tubeとかいう動画サイト見てたら拉致されて、変なマスコットキャラクターに出されるゲームをクリアしないと殺されちゃうんDA☆』という感じになります。まあ簡単に言うと、SAWダンガンロンパホステルライアーゲームあたりを混ぜ混ぜして、それらを大幅劣化させたような内容ですね。ダンガンロンパって何ぞ? という方はスルーしてください。

さて、主人公たちは生放送で動画配信をされる中、ポン吉と名乗るマスコットキャラクターの着ぐるみを着た人物から様々な課題を出され、それに答えられなければ死ぬというゲームを強要されます。まあ使い古されたような設定ですが、可愛い(?)マスコットキャラクターが残酷なゲームを強要する姿が売りなのだと思います。しかしまあ、そのあたりのコンセプトは、まさにダンガンロンパとだだ被りですが――発売年は一緒だから(震え声)

さて、今作のイメージを掴んでもらったところで、早速細かい評価を……と、その前に。

注意点なのですが、今作の役者さん方は全体的に棒読み気味です。とはいえ、B級ならば笑って許せる程度です。どうしても気になる方だけご注意を。

ではまずは、良い点からいきましょう。今作の良い点は、ずばり緩急の付け方が上手いことです。

この作品は見ての通り、残酷な内容をマスコットキャラクターが強いるというギャップが売りの一つとなっています。そのため、『死をかけた緊迫感あるシーンなのにマスコットが映る』という、普通ではあってはならない事態が頻発します。またBGMはクラシックなどが多く使われており、それらのミスマッチ感は満載です。

しかし逆に、そのミスマッチ感が何とも言えない不気味さを醸し出し、独特の緊迫感の演出に成功していたため、特に前半はかなりのめり込んで見ていられました。何度も名前を出して申し訳ないですが、雰囲気としてはダンガンロンパシリーズのオシオキに近いものがあります。あくまで雰囲気だけですよ。これが、この映画最大の売りでしょう。

また、殺人ゲームの行われない場面では、主人公たちが何とか主催者の謎や自分たちが連れてこられた理由を探ろうとする場面があり、またポン吉もちょくちょくブラックジョークを挟んできてくれるので、緊迫感を演出しながらもちょっとしたギャグを入れる、という難しい手法にも成功しています。このあたりが、今作最大の評価点です。

しかし、これには大きな問題が。『ミスマッチな雰囲気、ブラックジョーク』が最大の売りと言いましたが、逆に言うとそれが受け入れられない方は、この映画を見てもまず面白くないと思います。そして、これを受け入れられる人はむしろ少数派な気がするので、この作品はB級映画ファンに対しても自信を持って勧められるものではありません。視聴をする際には、自分がそのノリを受け入れられるかどうか、考えてからにしてください。

またこの売りですが、機能しているのは主に前半~中盤だけです。要するにこの映画、後半が酷い。詳しくは悪い点で。

次に悪い点ですが、今作の悪い点をまとめますと、設定がガバッていること、未回収で放置したままの伏線が多々あること、後半の展開がベタで読みやすいこと、あたりに集約されます。

まず後半の展開の読みやすさですが、前半まではゲームにも一捻りあって面白かったのですが、後半のゲームは安直かつ滅茶苦茶なものばかりなので、見ていて残念な気分になってきます。例えば『答えのない(どう答えても正解な)二択問題』『普通の投票』等です。

特にこの『二択問題』が完全に茶番で、一気にここで熱が冷めました。その二択の内容は『レ☆プされた自分の彼女を、今まで通り愛せますか?』というもの。もちろん実際にされました(映像はカット)。ネ申アイドル総選挙バトルといい、どうしてこの手の映画はレ☆プが好きなんでしょうか。だから安易にそういう要素入れるなって言ってんだルルォ!?

また放置された伏線とガバッた設定ですが、これも後半が酷いですね。

前半主人公たちは、主催者は誰なのかとか、自分たちが集められたのには何か共通点があるんじゃないかとか、通報を受けた警察が助けに来てくれるまで待とうだとか、実にいろいろな伏線をちりばめてくれます。しかしそれらの伏線ですが、全く回収されないまま今作はEDを迎えることとなります。

警察が介入できない理由はあまりに非現実的でお粗末ですし、主催者や自分たちの共通点については不明のまま。どうせ放置するのなら最初から触れなきゃいいのに……と思います。

総評ですが、後半のガバり具合は酷いものの、前半のミステリアスな雰囲気や独特の緊張感など評価できる点もあります。また途中ダレてきたこともありましたが、一応最後まで飽きずに見れた点も評価点です。またガバり具合が酷いとは言っても、B級映画の中ならば全体通して良くできた部類だと思います。ただし、普段B級を見ないという方は総じてキツイ内容でしょう。

自分がこの映画の強みに魅力を感じるならばおススメですが、ちょっと無理かも、という人には終始退屈な映画だと思いますので、そのあたりをよく考えてレンタルをご利用ください。

またこの作品、なんと2もあるらしいのですが、私の近所のゲオには置いていなかったので泣く泣く諦めました。機会があれば是非見てみたいですね。

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