「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

V/H/S シンドローム のレビューです(総合評価D-)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 アメリカ
製作 2013
販売 アミューズソフトエンタテインメント

あらすじを見たら面白そうだったので借りてきました。レンタル版を字幕で視聴しました。例によって、日本語吹き替えはありません。またこの映画、R-18指定となっております。理由は無駄にエロいせいですね、無駄に

また今作は、『全編POV(「登場人物の持つカメラなどで撮影された映像」という体の作品)であり、かつお互いにつながりのない6編の短い作品から成る映画』というかなり変わった趣旨の作品となっているため、それに合わせて評価形式を変えてあります。イメージとしては、ABC・オブ・デスに近いですね。

さてまずは、Amazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ

【予告編】

【あらすじ】

“ある人物に雇われ、1本のビデオテープを盗むという奇妙な依頼を受けた不良グループ4人。 指示された通りに古い一軒家に忍び込むと、そこには大量のVHSテープと共に一体の死体があった。 戸惑いながらも大金を得るために目的のビデオテープを手分けして探そうと1本1本再生していくのだが、 そこに映っていたのは、目を疑いたくなるような想像をはるかに超えた恐ろしい映像だった。 そして、なぜかそのビデオテープを観た人間が、一人、また一人といなくなっていく― 雇い主の目的は一体何なのか? 消えた人たちはどうなってしまったのか―(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

総合評価…………D-
おすすめ度………D

【良い点】
・「次の話は面白いかも」と希望をつなげながら見れる(叶うとは言ってない)

【悪い点】
・6本も短編があるのに、文句なく面白いと言える作品が0
・短編と言えど、1本20分程度あるので面白くないと割と苦痛

ABC・オブ・デスとは天と地の差なので、とてもおススメはいたしません。

【以下、ネタバレ注意!】

今作はあらすじにもあるように、まず本筋となる話(不良がビデオテープを探す)が1つあって、その上で短編が5つあり、それらが絡み合ってストーリーが進んでゆく……という構成になっています。つまり、5つの短編を見ている本筋の登場人物たちの身に、直接被害が及ぶという話です。

以前にレビューしたABC・オブ・デスの時にも話しましたが、『相互に無関係な短編から成る』という意味では、今作は純粋な映画ではなく、むしろテレビの特番に雰囲気が近いかもしれません。そのため、1つの話が終わったらまた次の話、と気持ちを切り替えながら見ることができるという利点があります。

反面、今作は『短編の映像を見ているのはこの映画の登場人物であり、不幸が彼らを襲う』という本筋の話もしっかりとあるため、無関係な短編を流すだけだったABC・オブ・デスとは違い、映画としての側面もきちんとあります

そのため今作は、普通の映画としての強みと、短編をいくつも流す形式との強みを両方持ち合わせているという、非常に斬新かつナイスなアイディアの作品となっているわけです! つまりですね、こんな素晴らしい企画の映画なのですから、面白くない訳がないんですよ。だから本当に、どうしてこうなったのか不思議でたまりません。

さて、今作は六つの短編(1つは本筋の話)から成る映画のため、一つ一つについて評価をつけていきたいと思います。

①『TAPE56』(本筋の話)

総合評価 D

若者たちがとある依頼を受けて一軒の家屋に忍び込み、一本のビデオテープを探すというストーリーになります。その際に彼らが見てゆくビデオテープが、後に流れる五本の短編というわけですね。つまりこの話は、間に別の短編を挟んでぶつぶつと切れます。そのためこの話だけは、短編という感じはしないですね。

評価としては、『設定丸投げ』の一言に尽きます。彼らに依頼をした人物の目的も正体も不明、なぜビデオテープを見た人たちが消えてゆく(死ぬ)のかも不明、そもそもこのビデオテープはなんなのか、なぜこの家にあるのかも一切不明と、本当に短編を繋いでいるだけの話です。おまけに前半はいらない話ばっかりというテンポの悪さ

他の短編と違い、この話だけかなりの縛りがあるので難しいとは思いますが、それにしてもこの出来は酷いですね。本来ならばEですが、縛りの中で作ったということを加味してDです。

とりあえず設定は丸投げです。

『AMATEUR NIGHT』

 総合評価 B

後半から面白いシリーズ第一弾。ちなみに、第二弾はありません。

クラブでナンパした女の子をお持ち帰りして食べちゃおうとしたら、急に本性を現した女の子に逆においしく食べられてしまう(意味深)お話です。ブラックジョークなんでしょうか(深読み)

この映画を通して、一番出来が良かったと思う作品がこちらです。というより他が酷すぎてですね……。

前半は無駄なエロシーンの連発でガバッたテンポでしたが、後半、女の子が覚醒してからはまあまあ出来が良かったと思います。全裸の男の上に跨ってお肉をむしゃむしゃする様子はなかなかですね。

また、『カメラを仕込んだメガネ』で撮っているという設定なので、「なんで命の危機なのに撮影優先してんの?」という、POVにありがちな疑問を見事解消していたのが評価点です。また主人公視点で悪魔に迫られる恐怖も、なかなかよく演出されていたと思います。まあ、ところどころギャグにしか見えないシーンもありましたが……。

『SECOND HONEYMOON』

総合評価 E

ハネムーンに行った先で変な人と出会い、なんだかよく分からないうちに殺されてしまうお話です。心霊もなければモンスターもなし。ただただ『人間怖い』なお話です。しかし、別に怖くないという問題が……。

「部屋に忍び込んだりしてた変質者は、実は恋人の不倫相手(ガチレズ)だったんだよ!」という『衝撃のラスト』を狙ってオチを作り、そこに話を付けていったのでしょうが、それまでに全然伏線も何もないので、肝心のオチが「あっ、ふーん」レベルで終わってしまうほど弱いもの&なんの脈絡もなく唐突に展開が進む&前半のテンポが酷いので、終わって「……で?」となってしまう作品でした。

20分で伏線を張ったり人間関係の描写を入れるのは大変だと思いますが、だらだら話してるだけの無駄なシーンを削って伏線の一つも入れれば面白くなったとも思います。とにかく、テンポの悪さだけが目立つただただ退屈な作品でした。

『TUESDAY THE 17TH』

総合評価 D

前半まで面白いシリーズ第一弾。

森の湖に旅行に行った男女四人組が、姿の見えない分裂する正体不明の殺人鬼に襲われるお話です。

森の中でカメラを回していると、過去にそこで死んだ人の映像が映りこみ、さらにカメラにしか映らない謎の殺人鬼に追われる……という、POVであることの持ち味を生かした素晴らしい設定の下始まるのですが、後半一人の女の子が突然『実はお前たち(一緒に来てた友達)は殺人鬼をおびき寄せるためのエサで、私はやつへの復讐のためにここに来たのだ!』と突然マンガのライバルのようなことを言いだし、挙句あっさり撃退されるというギャグ展開に。

また殺人鬼の殺し方も、ナイフで切りつけるだけと終始ワンパターン。姿の見えない謎の存在なのに、使うのがナイフというのはいかがなものか。正直、『カメラに映った過去の死体の謎を追う』という設定の話の方が、断然面白かったと思います。

『THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGER』

総合評価 C

前半まで面白いシリーズ第二弾。

遠距離恋愛中の彼女からビデオ通話で電話がかかってきて、彼氏が部屋の中で怪現象が起こるという相談を持ちかけられるお話です。

カメラではなくビデオ通話という珍しい設定で、幽霊と思われる子供が画面端に映りこんだり、後ろに立っていたり……と、ホラー描写がかなりのクオリティです。手法も良し、映像的にも良し、設定も良しと、悪い点がありませんでした。前半までは。

後半、その彼女が霊に出会って気絶してしまった時に、遠距離にいたはずの彼氏が突然室内に! 「そうか、ビデオ通話を使うことで、遠距離だと思わせるトリックだったのか!」と驚いたのもつかの間、彼は突如彼女の腹を切り開き、そこからエイリアンらしき赤子を取り出すという超謎展開に。

どうも発信機とかもしこんでたらしいのですが、目的不明、正体不明、遠距離に見せかけてた理由も不明と、完全に設定丸投げでやりたいことをやっただけという酷いオチ。なぜ前半の幽霊設定のまま突っ走らなかったのか……そう言いたくて仕方ない作品でした。

『10/31/98』

総合評価 D

ラストの作品です。ハロウィンにかまけて人様のお家に忍び込んでどんちゃん騒ぎしようとしたら、そのお家では縛った女の子を囲んで変な儀式の最中だった、というお話です。

この映画中最大の『何でこんなピンチの時まで撮るのやめねーんだよシリーズ』です。家じゅうから手が生えて来たり、怪現象に見舞われたり、電車に轢かれる直前になっても見事に撮り続けてくれました。マスコミでもないのにご立派なことです。これがあるPOV作品は嫌いです。

話の内容も、終始しょーもない怪現象に襲われ、助けてあげた女の子には裏切られて全員殺されるというよく分からないお話で、儀式をしてた男たちは何だったのか、この少女はいったい何なのか、なぜ撮影者たちは殺されたのかもすべて丸投げ。映像的には頑張っていたと思います。

総評ですが、全編POVかつ短編を繋いだ形式でありながら、本筋の話もきちんと存在するという面白そうな企画でしたが、完全に企画倒れの映画でした。本筋はあるとは言っても、本筋の話と短編どうしは本当に何の繋がりもないので、それが一番残念でした。個人的な意見ですが、本筋だけはPOVである必要はなかったと思います。その方が短編への切り替わりも分かりやすいですし。

短編での死に方に沿ったような死に方を本筋にも反映し(謎の殺人鬼が実際に現れるなど)、もっと話の繋がりを意識させる構成の方が良かったと思います。目を見張るほど面白い作品もなかったので、企画だけが目新しい駄作という評価で終わりたいと思います。

どうも2もあるらしいのですが、少なくともしばらくはいいです。

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