国籍 イタリア
発売 2014
販売 KADOKAWA
『ショーシャンクの空に』を見て温まった心を、地の底まで落とされました。
レンタル版を字幕で視聴しました。日本語吹き替えはないのでご注意ください。いつも通りAmazon先生のあらすじ&予告編からです。
【予告編】
【あらすじ】
“誰が何の為に作ったのかわからない、いくつもの闇の時代を通り過ぎた、悪魔の力が宿る手のひらサイズの“ピラミッド型の置物””。 今それは、路地裏の薄汚い露天商で売られていた。 それに魅了され、購入したテレビ・レポーターは、その夜にとんでもない悪夢を見る。 それは自分の手が何か違う者の意志を持ったかのように動き、自分の首を絞ようとする悪夢だった。 しかもピラミッド型の置物は、同じ部屋で一緒に寝ていたカメラマンにまで悪夢を見させていた。 その悪夢とは、凶暴な女達に体を噛まれるというものだったが、実際に噛まれた傷跡が体中に残っていた。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー………D
グロシーンの質…C
ゾンビの質………C
キャラクター……E
設定………………E
総合………………D-
おすすめ度………E
【良い点】
・グロシーンの質は安定している
・ゾンビの質が高い時がある
【悪い点】
・ストーリー構成が酷い
・キャラクターに魅力がない
・ゾンビの設定がガバガバ
・話の設定もガバガバ
【以下、ネタバレ注意!】
この映画のストーリーは、異なる四つの章のお話を繋ぎ合わせたものとなっております。そしてその四章それぞれに、今作のキーとなるピラミッドの置物が関わってくるわけですが……。
さて、まず良い点から述べようと思ったのですが、もうどれだけ頭を絞って考えてみても褒めるべき点がほぼありません。唯一、目を見張るほどではありませんが、グロシーンのクオリティがそこそこ安定しているという程度です。また、ゾンビの質が高い時が稀にあります。ちなみに今作はゾンビ映画ではないです(驚愕)。
この映画の良い点は以上です。以下、延々と悪い点を述べてゆきます。
この作品の悪い点は、ガバッた設定、ストーリー構成の酷さ、魅力のないキャラクターの三点です。この中でも一番の戦犯は、やはりストーリー構成でしょう。まずはそこから始めます。
先に述べたように、この映画は異なる四つの物語を繋ぎ合わせた形式のストーリー展開がなされます。この形式自体はよく見られるものですが、今作はこの物語同士の繋ぎ方が致命的に下手という、非常に深い問題を抱えているのです。
普通この形式の展開だと、物語や章同士が後に繋がって一本の太い筋になるものが多いと思いますが、今作の場合はこの章同士の繋がりがほぼありません。それどころか皆無に等しいレベルです。繋がりというと、『前の章の人が落としたピラミッドの置物を拾った』ということくらいで、前の章の人物と後の章の人物は、作中通して全くの無関係です。
つまりこの映画、章同士の繋がりは『ピラミッドの置物』くらいしかありません。正直、話の展開を章形式にした意味が分かりませんでした。
さらにこの映画の設定ですが、前半二つは人間が悪魔に乗っ取られる様を描いていたのに対し、後半二つは何故か突然ゾンビものに大変身という脈絡のなさ。同じ『ピラミッドの置物』の呪いの効果なはずなのですが、なぜ前半は乗っ取りだけだったのに対して、後半は突然ゾンビ化するようになったのか……もちろん、こんな説明はものの一切ありません。本当に唐突に、後半ゾンビものになります。
またゾンビは最初、噛みつきなどお構いなしに吐血した血液を飲ませることによって仲間を増やしていたのですが、中盤には突然人肉を貪りだし、後半はもう人間を食べるどころか生け捕りにして連れて帰るようにまでなります。これほど適当な設定のゾンビも珍しいですね。
また章形式で話が進む&章同士の人物の繋がりが皆無なので、この映画は全編通して出てくる人物どころか主人公すら存在しません。一応、最後の章で突然出てきた二人組が事態を収拾してくれますが、見ている側としては「なんやねんこいつら」としか思えません。
つまりこの映画は、キャラクターに魅力がないどころか、まともに活躍する人が一人もいないので印象にすら残らないという恐ろしい映画なのです。
また、「ゾンビ化で世界を滅ぼせるだけの力があるのに、なぜ最初の二章では人間を一人ずつ乗っ取るという無駄なことをしたのか」「このピラミッドの置物が元凶で世界が滅んだとして、なぜ突然現代になって活動を開始したのか」など、疑問に残る点も多くあります。
総評ですが、ゾンビに関するものからピラミッドの置物についてまでとにかく設定はガバガバなうえ、繋がりのないストーリーは非常に退屈、かつキャラクターも魅力が皆無のため、終始つまらないという印象しか残らない映画でした。グロシーンの質が安定していると言っても決して抜きんでて良いものではなく、またゾンビも一部そこそこのクオリティがありますが、特に終盤はメイクすら手抜きされる始末。
私からは全くおススメしませんが、一つだけおススメできる可能性が。
この映画はあらすじにあるように「ヘルレイザー」や「エクソシスト」、「ゾンビ」等の有名作をリスペクトし、それらを意識したシーンも多くあるそうです。私は、ここに挙がっているどの作品も見たことがないので、それらを見たことがある方なら今作のリスペクト要素を楽しむことができるのでないか……そう思いネットレビューをいくつか回ってみたのですが、どうもそんなことはなさそうです。
結局今作は、悪魔物としてもゾンビものとしても中途半端な駄作という評価を免れえない作品でしょう。