国籍 アメリカ
製作 2007
販売 ジェネオン エンタテイメント
過去に見たことはあったのですが、久々に面白いゾンビ映画が見たくなったので、「確か面白かった」という記憶を頼りに借りてきました。レンタル版を吹き替えで視聴しました。
以下Amazon先生のあらすじと、英語版ですが予告編をどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
旅客機内でゾンビが乗員乗客に襲い掛かるパニックホラー。ロサンゼルス発パリ行きのボーイング747の航路上に、突如乱気流が発生。その衝撃で倉庫の積荷が崩れ、中からゾンビが現れる。乱気流の中を飛行する機内で、人間対ゾンビの壮絶な戦いが始まる。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………B
ゾンビの質………B
キャラクター……B
設定………………B
総合………………B
おすすめ度………B
【良い点】
・絶望感が良く演出されたストーリー
・個性的なキャラクター
・飛行機+ゾンビというマッチした設定
【悪い点】
・前半のテンポの悪さ
・パンチ力不足
ゾンビファンにも、ゾンビ映画を見ない方にも、安心しておススメできる作品です。
【以下、ネタバレ注意!】
さて今作は、数あるB級ゾンビ映画の中でもかなりの良作です。そして、ゾンビ映画を見慣れた方よりも、むしろほとんど見ないという方に対しておススメしたい。
この映画ですが、上記の評価からも分かるように、全ての要素が標準以上の出来となっています。この映画最大の強みを挙げるとすれば、それは『ゾンビものを飛行機を舞台にしてやった』という設定でしょう。
飛行機という巨大な密室を舞台にすることにより、まずゾンビからの逃げ道を完全に断つことができます。さらに飛行機は無限に飛んでいられるわけではありませんので、墜落までの時間制限を自然に付けることができ、舞台は飛行機という密室の中で動かないながら、状況が常に動いているという効果を付けることもできます。
ゾンビものは『ずっと立てこもっているだけで、話が全然動かない』ということが良くあり、このせいで緊迫感が全くない作品というのもかなり多く見受けられます。その反面、密室を舞台にしながらこの問題を解消しているというのは、かなりポイントが高いです。
また、舞台が空飛ぶ密室というのはそれだけで絶望感があり、今作はギャグ要素も控えめでゾンビもバンバン走るのでかなりの絶望感が漂っています。またこの映画、ゾンビをはじめとしたCGの質もなかなか良く、映像的な演出が良くできているので、アウトブレイク後はシリアスな絶望を味わえると思います。
さらに、キャラクターが個性的で良く立っている点も加点です。むしろ映画の前半はこちらの描写に力を入れていました。
と、ここまでは良い点を述べてきましたが、以下は悪い点を。
まずこの映画ですが、後半のアウトブレイク後は見ごたえがあって面白いのですが、前半のテンポが若干悪めです。特に、ゾンビが出てくるまでのスピードはまあまあ速いのですが、大本命である飛行機内でのアウトブレイクまでに50分以上かかるという事態に。
とはいえ、アウトブレイクまでの間にも、キャラクター同士のやり取りや乱気流でのパニック等見どころは多々ありますので、それほど退屈することはありません。しかし、その分ゾンビパニックの描写の時間が割かれているので、純粋にゾンビを見たい方は少々物足りないかもしれません。
またいろいろと良い点を述べましたが、そのどれも突き抜けて良いとまでいえず、全体が小奇麗にまとまってしまっているというのも弱みと言えるかもしれません。これこそが全評価Bの所以です。
絶望感の演出が良いとは言っても、最後は何だかんだ適当な感じで助かりますし、上述のようにゾンビ化だけでなく乱気流や人間関係など飛行機固有のトラブルにも多く時間が割かれているので、純粋にゾンビ映画として物足りないという問題もあります。
個人的には、前半のパートを削って飛行機内のアウトブレイクを早くし、その後に起こる問題(ゾンビとの戦闘、探索、飛行機墜落の防止など)に対処する描写を増やす形で、もっとゾンビに主眼を置いてほしかったと思います。
総評ですが、全体的にハイレベルにまとまっているものの、ゾンビの描写は若干物足りない感がありました。しかし、ゾンビ以外の描写もなかなか面白いので、個人的には満足のいく作品でした。
シリアスな緊迫感が味わえるためゾンビファンにはもちろんのこと、ゾンビ以外の描写もしっかりしているので、あまりゾンビ映画を見ない人も飽きずに見れるかと思います。むしろ、ゾンビ映画としての見どころはしっかり詰まっており、ストーリーも面白いので、普段ゾンビ映画を見ない方にこそおススメしたい作品でした。