「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ABC・オブ・デス のレビューです(総合評価B)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍 いろいろ
製作 2012
販売 キングレコード

この映画は、かなり変わった内容の映画です。何が変わっているのかというと、今作は『様々な国の26人の監督にアルファベットを1文字ずつ割り当てて、そのアルファベットから始まるタイトルの”死にまつわる”5分の短編を撮らせる』という企画を基に作られた映画だからです。つまりこの映画は、何のつながりもない短編を26本流すだけの映画ということです。その意味では、映画というよりテレビ番組に近いかもしれません。

そのため、今作に関してはあらすじは貼りません。強いて言えば今作のあらすじは『無関係な5分映像が26本流れるよ』です。代わりと言ってはなんですが、予告編はありましたのでそちらをどうぞ。

 【予告編】

今作は短編26本から成るという変わった形式なので、それに合わせた評価方法を用意しました。

 とても面白かった…作品
 まあ面白かった……作品
◻︎ 可もなく不可もなく…作品
 面白くなかった……作品
 見る価値なし………作品

総合……………………B
おすすめ度……………A

なかなかいい企画だと思うので、是非とも見ていただきたい映画です。特に自分がどんな趣向の映画が好きなのかを知るために最適です。

しかしとにかく長いので注意を(約2時間)

【以下、ネタバレ注意!】

企画を見ての通り、なかなか異色の映画です。流れる作品はアルファベットの文字数分の26作品。テーマは死で、1人に割り当てられる予算はわずか5000ドル。ある意味では、26人の監督の力比べとも言える作品です。

そのため映画というよりは、テレビ番組などの企画ものに近い空気を感じました。

それと一つ注意ですが、今作はホラーないしスプラッター映画ではありません。もちろんそれらの要素を含む作品が多いですが、”死”というテーマに沿ってさえいればいいので、コメディ物も多く見受けられました。中には実写でなく、アニメや粘土模型をコマ撮りで撮影した作品もありました。

さてこの作品、どうレビューを書いてよいものか非常に悩むのですが……別に26作品全てについて詳細にレビューを書いても良いのですが、それでは書くほうも読むほうも怠いので……といろいろと考えた結果

まずは作品全体について簡単に書き

私が特に気に入った3作品のレビューを書き

これは酷いと思った3作品のレビューを書き

最後に総評

という形でまとめたいと思います。

①作品全体について

この映画は、全く関係のない26本の短編が寄り集まっただけの映画のため、普通の映画にはない良い点と悪い点をそれぞれ抱えています。

まず悪い点ですが、今作は一本一本の話が独立しているため、自分が面白いと感じるものもあれば、つまらないと感じるものも当然あります。そのため普通の映画のように『最初から最後まで楽しめる』ということはまずないと考えてもらって結構です。

またどれだけ面白いと思った作品も最高5分で終わってしまうため、物足りなさが半端ないです。しかも、とても気に入った作品の後につまらないものが流れてきたとしたら、もう目も当てられません。

しかしこれらの悪い点は、ひっくり返してみれば良い点でもあります。

26本も短編があれば、どんな方でも1本くらいは気にいる作品があるはずです。そのため『最初から最後まで楽しめなかった』ということはまずないでしょう。もしそんな方がいらっしゃいましたら、あなたは確実にB級映画に向いていません。時間とカネを無駄にするくらいなら、まだ見ていない名作映画を見ましょう。

さらに最高5分で終わってしまうということは、どれだけつまらない作品が流れてきても「まあ5分待てば終わるし」という心持で見れるため、ストレスを溜めることなく見られると思います。普通のB級映画のように、丸々90分我慢しなければならない、ということはありませんので。

つまりこの映画、自分がどんな作品が好きで、どんな作品が嫌いなのかが2時間弱で分かってしまうため、自分のB級ホラー映画の趣向を知るのに最適なのです。この目的のためだけにこの映画を見るというのも、私は十分有用だと思います。

さて、では一体今作、どんな短編があったのかという話ですが……以下に私がメモ用に使ったシートの画像を置いておきますので、見たい方は是非どうぞ。正直何書いてあるのかさっぱりだと思いますので、読み飛ばしていただいても構いません。

「画像が細かくて見にくい」という方は、画像をクリックして個別に開いてください。

※□は普通、△は面白くない、という評価です。

表を見ての通り、決して面白い作品の方が多いとは言えません。しかし上述のように、どれだけつまらない作品でも「5分待てば終わる」ので、別に苦痛にはなりませんでした。

②特に気に入った3作品

1.作品番号D

アルファベットDは非常に単純で、とある事情から男が犬とバトルを繰り広げる物語です。話はこれだけなわけですが、しかしこのバトル描写がとにかく凄い。血や汗が飛び散る様子を、スローやカメラワークを駆使して臨場感満点に描いてくれるため、下手なA級映画にも負けないほどの出来でした。

ストーリーも、5分という短い時間の間に伏線の回収までも取り入れ、よく練りこまれています。まるでA級アクション映画のワンシーンを切り抜いたかのような出来で、今作中最高の傑作でした。これだけで一本作ってほしいくらいです。

2.作品番号N

アルファベットNは、ある部屋の一室で繰り広げられる夫婦の会話形式の物語です。分類的にはコメディでしょうか。男が恋人にプロポーズするためにインコに芸を仕込み、それを恋人の前で披露するという話なのですが……。

この作品の評価点は、コメディ描写が今作26本中一番センスがある点です。丁度中盤に差し掛かり疲れてきた頃だったので、かなりツボりました。

反面、死というテーマに無理やり結びつけた感が強い終わり方だったので、テーマ的には微妙です。

3.作品番号T

アルファベットTは、今作唯一のクレイアニメです。クレイアニメとは、粘土で作ったキャラクターをコマ撮りで動いているように撮影する、ピングー的なあれのことを言うようですね。私は初めて知りました。

さてTですが、これはトイレに住む怪物をテーマにした話です。ストーリーの構成や描写の仕方など、よく5分の間にこれだけ詰め込んだなと感心してしまう出来栄えです。オチもちゃんと伏線を回収したもので、非常に良かったです。ドッグファイト(D)と並んで、今作の最高傑作でした。

③これは酷いと思った3作品

1.作品番号F

日本人監督による戦犯その1。アルファベットFは屁フェチガチレズガンギマリと三拍子そろった怪作です。意味不明な展開と、笑わせにかかってきているのかどうなのかよく分からない内容に困惑すること間違いなし。

2.作品番号P

アルファベットPは、とにかく不快です。猫が好きな方にはキッツイかもしれません。

3.作品番号Z

日本人監督による戦犯その2。アルファベットZは、ガチレズカニバリズム・サザエさんパロ・ガンギマリ全裸ととにかく意味不明です。この作品のトリがこれというのも、戦犯に貢献している要因の一つでした。

④総評

はっきり言って、つまらない作品の方が多いです。しかし、一本一本が短いためにどれだけつまらない作品が間にあっても最後まで視聴し続けることは容易ですし、たまに面白い作品も流れてくるためストレスもたまりません。視聴後はつまらない作品のことよりも良かった作品のことが印象に残っていたので、視聴後の不快感もほぼありませんでした。トリの作品は酷かったですが。

なにより、26タイトルもあれば自分の好みの作品が1つはあるでしょうし、逆に1つでも好みの作品がみつかればこの映画を見た意義は充分にあると言えますので、是非おススメしたい一本です。そして自分の趣向や好みを知る良い機会にもなりますので、私のように採点表を手元にしながら見ると面白いと思います。

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