(画像:Amazon商品ページより引用)
もうしばらく、サメ映画はいいです。
国籍 アメリカ
製作 2010
販売 インターフィルム
今回の映画はこちら。レンタル版を吹き替えで視聴しました。あらすじと予告編からどうぞ。
【あらすじ】
人食いザメと超巨大ダコが合体した化け物が大暴れするモンスターパニック。ビキニ姿の美女たちがサンタモニカの海で戯れる中、1匹の巨大なホオジロザメが海底から姿を現し、ひとりの美女に狙いを定める。しかし、謎の触角がサメを飲み込み…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
【予告編】
ストーリー………D
モンスターの質…B
キャラクター……C
設定………………C
総合………………C
おすすめ度………C
【良い点】
人を襲う理由がきちんとある
シャークトパスのCG
【悪い点】
ストーリー構成
おススメはしませんが、モンスターのCG自体はなかなかよかったので、B級モンスターの入門用にはちょうどいいかもしれません。
【以下、ネタバレ注意!】
さてこの映画、良い点と悪い点がそれぞれあるものの、それほど致命的な傷はありません。唯一、ストーリー構成の粗さが目立った程度です。まあこれも十分致命傷かもしれませんが。
まず良い点悪い点の前にキャラクターですが、これは可もなく不可もなく、といったところですね。主人公はまあまあキャラクターが立っていていい感じですが、悪役は小物かつ死ぬ瞬間だけ善人になるので、なんだかなあという感じです。
では早速、まずは良い点からいきましょう。この映画の良い点は、モンスターが人を襲う理由がしっかりしていることと、シャークトパスのCGが良くできていることです。
今作の主役シャークトパスは、何と海軍が『税金でサメとタコの合体生物作って、カメラと遠隔操作機載っけて偵察機の代わりにしようぜ!』という
意味不明な発想
から生まれた生物です。
しかも後々、『この生物は偵察機ではなく、対人兵器だったんだよ!』という
さらに意味不明な設定
が繰り広げられるわけですが、この過程でこのシャークトパス、人を襲う様にプログラムされていたことが発覚します。
「で?」と思われる方も多いでしょうが、この手の映画で『モンスターがむやみやたらと人を襲う設定がきちんと存在する』例って本当に稀なんですよ。大抵の映画は、なぜかモンスターが理由もなく人間だけをしつこく狙ってくるという違和感満載の映像が理由もなく繰り広げられるため、その点この映画、この部分の設定だけはしっかりしていたので好印象でした。
次にシャークトパスのCGですが、これはなかなか高いクオリティだと思います。捕食シーンなど所々粗い部分はありますが、造形自体がしっかりしている点と、何よりぬるぬるとよく動くので、普段B級を見ない方でもそこまで違和感なく見れるレベルまで来ているのではないでしょうか。
そして今作の悪い点ですが、これはストーリー構成の一言に尽きます。
この映画、前半の出来はなかなかなんです。シャークトパス登場~暴走までの展開がかなり早く、また暴走したシャークトパスがちょくちょく人を襲いに来てくれるので飽きないで見ていられます。
では一体、何がいけないのかというとですね……それはこの映画、終了までパターンがずっと一緒なことなのです。
この映画は基本的に『シャークトパスを追って→ちょっと戦って→逃げられて→シャークトパスが人を襲って→また追って……』という構成になっています。これは前半に使われる分には飽きずに見れて良いのですが、今作は始まりから終わりまで、終始ずっとこのサイクルが続きます。誇張等ではなく、本当にこのサイクルが何週もするのです!
もちろん見ている側は、だんだん「どうせまた逃げられるんだろ」「またこのパターンか」となってくるため、終盤はなかなかに退屈でした。
さらにこの映画、先の展開が簡単に読めてしまうことも問題です。
サメの頭に載せられた、どう見ても壊れそうな制御装置。完全に失敗しそうな、鎮静剤による捕獲作戦。おまけに一般人は、死亡フラグを立てた人から順当に死ぬというご丁寧さ。捕獲作戦が失敗してシャークトパスを爆殺するところまで、ほぼ完全に予定調和です。この話の内容なら、無駄なところを削れば半分の時間で充分という印象でした。
また余談ですが、この映画の吹き替えは全体的に棒読み気味なので、気になる方は注意してください。まあ棒読みと言っても、
時間が通貨の映画
や
嫌われ者のヒーロー映画
、
銃弾を曲げる映画
に比べれば全然マシなので、そこまで神経質になる必要はありません。吹き替え版制作陣を許すな
総評ですが、ワンパターンなストーリー構成が完全に他の足を引っ張っている映画です。しかも一つ一つのシーンが短くパターンのサイクルが短いせいで、この点が余計に気になってしまっています。この構成のまま行くとしても、一つ一つの戦闘シーンや捕食シーンに割く時間を長くし、サイクル自体を減らせばかなりマシな出来になった気がしますね。
そうは言っても、この映画の主題であるシャークトパス自体の出来はかなり良く、ストーリーも死ぬほど退屈というわけでもないので、B級映画に足を踏み入れようという人に「B級って、こんなんなんやで」ということを分かってもらうためには最適な一本のような気もします。